「ちゃんと水を飲んでいるから大丈夫」なんて、熱中症を他人事に感じていませんか? ときには命にかかわることもある熱中症。とはいえ、具体的にどんな対策をすれば良いのかわからないという方も多いはず。
そこで今回は調理学を専門とする摂南大学農学部の安藤真美教授に「熱中症を防ぐ方法や効果的な栄養素」についてお話を伺いました。
熱中症対策の基本は?
そもそも熱中症とは「大量の汗をかくことにより、血液中の水分や塩分が汗と一緒に体外へ排出され、体液のバランスが崩れること」により生じます。したがって熱中症予防は、体温の上昇と脱水を避けることが基本です。
熱中症は、体温調節機能が未発達な乳幼児や、暑さ・のどの渇きを自覚しにくい高齢者は特に注意が必要なものですが、20〜30代でも「真夏のスポーツ」「温度や湿度の高い台所での調理」などでは熱中症を発症しやすいと言われています。
必要な栄養素は「ビタミン」と「ミネラル」
熱中症対策には汗と一緒に排出されやすい「ビタミン」や「ミネラル」を摂ることと、こまめな水分と塩分補給がポイント。
▼水分の摂り方
水分は、水やノンカフェインの麦茶などが適しています。
同じ水分であっても「カフェインを含む飲み物」は利尿作用があるため、水分補給としては効率が悪くなります。また、甘い炭酸飲料水など糖分を多く含む飲み物はエネルギー量の取りすぎにもつながるので、飲みすぎには注意が必要です。
また、水分だけを補給すると、血中ミネラルバランスが崩れてしまうので、水分と同時に適度なミネラルを摂ることが大切です。汗をよくかくとわかっている日は、麦茶などのお茶や適量のスポーツドリンクなどで水分補給を心がけましょう。
水分補給というと飲み物から摂取するイメージがありますが、実は食事からも水分補給は可能。人が1日当たりに摂る水分は飲み物から約1.2L、食べ物から約1Lとされています。
▼おすすめの食材
スーパーでも購入できる代表的な食材として、夏野菜(ナス・トマト・きゅうりなど),果物(スイカ)がおすすめ。夏に旬を迎える夏野菜や果物は,水分も多く体を冷やす効果があり、熱中症予防に必要なカリウムも豊富です。
簡単に作れる! 熱中症対策のおすすめサラダレシピ
温度や湿度の高い台所では熱中症の危険性が高まるので、火を使わない料理も上手に取り入れるのがポイント。
また、夏は食欲が落ちやすいのでさっぱりした料理が好まれますが、ただ味が薄いだけでは食欲がわかない場合もありますので、酸味や辛味・薬味を使って、味や風味にアクセントをつけることもポイントです。
▼水なすのあっさり和風サラダ
【材料】(2人分)
水なす 1~2個
大葉 5~6枚
塩 少々
すりごま 適量
鰹節 適量
ポン酢 適量
【作り方】
1.水なすは洗って、包丁で切り込みを入れて割くように一口大にする。塩をかけて軽くもむ。冷蔵庫で冷やす。
2.大葉はせん切りにして水に通してアクを流し絞っておく。
3.1が冷えたら器に盛り、すりごま、2の大葉、かつお節、をトッピングする。ポン酢をかける。
火を使わず手軽にできる1品。水なすは水分も多くあっさりとしており、熱中症予防に必要なカリウムも多く含まれています。
好みで薬味を変えたり、オリーブオイルやごま油をかけたりして味わうのもおすすめです。
暑さでおろそかになってしまいがちな夏の食事。飲み物だけでなく食べ物からも上手に水分補給をして、暑い夏を元気に乗り切りましょう!
摂南大学 農学部 調理学研究室 安藤真美教授