AIはライバル?それとも味方?トラウデン直美と考える、上手なつき合い方【SDGs連載】

トラちゃんと考える「SDGs」RETURNS!

『SDGs』の目標達成に向かって、モデル・トラウデン直美が気になるテーマを深掘るこの連載。今回は、ぐっと身近になったAIを入り口に、これからの〝仕事のかたち〟をのぞいてみます!

環境省サステナビリティ広報大使・トラウデン直美/高校時代に環境問題に興味を持って以来、エシカルな生活を模索。SDGs関連の発信に力を入れ、『news23』(TBS系)、『NIKKEI NEWS NEXT』(BSテレ東)など報道番組にレギュラー出演、現場取材も務める。現在は、ドラマなど幅広い分野に活躍の場を広げ、1月からラジオ『裸足のおもいつき』(BAYFM78)がスタート!

AI時代に、私たちはどう働いていく?

◼︎AIはライバル? それとも味方? これからを安心して進むために学ぼう

AIは0と1の組み合わせで動く、デジタルな存在。でも、その積み重ねが、私たちのリアルな生活を少しずつ、確実に変えようとしています。最近では「数年後には今ある仕事の一部がなくなる」なんてニュースを耳にすることも増えました。職場で「この作業、AIでできるね」と話題になったり、SNSでAIが創った驚くほどリアルな動画を見かけたり。変化を肌で感じている人も多いのではないでしょうか。正体がわからないものを知らないまま不安になるより、「知って、選べる」自分に。今回は、難しく考えすぎず、新しい時代に向けてAIとの上手なつきあい方を学びたいと思います!

◼︎お話を伺ったのは…Women AI Initiative Japan(WAIJ)代表理事・國本知里さん

シンシアリー代表取締役。企業向け生成AIの人材育成・定着支援を手がけるとともに、女性のAIリスキリングやキャリア支援にも注力。実践的な学びとコミュニティづくりを通じて、AI時代に自分らしく働く選択肢を広げている。

『ビジネスパーソンのためのChatGPT活用大全【改訂版】』

國本さんが監修する、ChatGPTの仕事活用法を具体的に解説したガイド。メールや資料作成、アイディア出しのコツまで幅広くカバー! 

Microsoft Copilot版もあり。¥1,980/学研

▶︎AIで仕事はどうなる!? いま、気になるNEWS

☑︎ドラマや小説などのクリエイティブ領域に活用

2026年1月、生成AIを活用した新作ドラマ『TOKYO 巫女忍者』(日テレ系)が発表された。AIで映像表現や世界観を構築し、従来の撮影・編集では難しかった演出に挑戦している。さらに小説界でも、AIを執筆の補助に取り入れた作品『東京都同情塔』が芥川賞を受賞し話題に。創作の現場でも、AIは〝裏方〟として表現の幅を広げている。

☑︎米国では、ブルーカラービリオネアが増加中

AIや自動化が進むアメリカでは、事務や管理などホワイトカラーの仕事が置き換えられる不安が広がる中、電気工事や配管、設備メンテナンスといった〝手に職〟を持つ人たちの年収が1,500万円以上と増加傾向に。専門技術を武器に起業して、億万長者になる例も。「人にしかできない仕事」の価値が改めて浮き彫りになった。

☑︎2030年までに、約120万人の事務職が余る状況に…!

日本では、AIの普及でデータ入力や資料作成などの定型業務は自動化が進む一方、調整力や判断力が求められる仕事は人の手に残るという見方も。三菱総合研究所の試算では、2030年に事務職を中心に約120万人が余剰となる一方、専門技術職では約170万人が不足するとされ、すでに職種間のミスマッチが課題として表面化している。

人間の時間やメンタルを守る、AIがくれる〝安心〟に目を向けてみると…?

\20代で最も多い活用法は「相談」。親や友達より、AIを頼る人が増加/

/いよいよ分身AIの登場で、本人がいなくても仕事ができる!?\

トラ:最近、AIが「本人の代わりにコメントを返す」といった試みも進んでいますよね。國本さんが開発に携わられたプロジェクトの一例として、タレントさんのAIアバターがイベントに登壇したというニュースにも驚きました。

國本:AIタレントは、ご本人の話し方や思考パターン、エピソード、記憶を学習して受け答えをする仕組みです。AIがゼロから勝手に発言しているわけではなく、あくまで「本人の蓄積」をベースにしている点が特徴ですね。

トラ:いわば働く「分身」ですね。もし「AIトラちゃん」がいたら、私は自分と会話できるようになるのでしょうか(笑)。

國本:自分とも話せますし、かなり実用的だと思います。実際、「質問が大量に届く立場の人の代わりに、AIが一次対応をする」役割はすでにあって。初めての質問や深掘りが必要なものだけを本人にフィードバックする運用も可能です。

トラ:本人の負担が減るだけでなく、「どんな質問が多いか」といった傾向が可視化されるのも大きいですね。時間やメンタルを守ってくれる存在としても心強い! 先日、認知症の方の介護について話をうかがう機会があったのですが、同じ質問を何度も繰り返される中で、寄り添いたくてもケアする側が精神的に消耗してしまう場面もあると。AIが穏やかに受け答えしてくれたら、本人は安心できて、支える人の負担も軽くできそうです。

國本:実際に一部の高齢者施設では、会話を通じて脳を刺激し、認知症予防として対話型AIが使われ始めています。海外では、身につけているだけで会話を記録し、一日を振り返ってくれるペンダント型のAIも登場。忘れっぽい方やADHDの方、多忙なビジネスパーソンの記憶補助としても役立っています。

トラ:日常では、生成AIの『ChatGPT』や『Gemini』が身近になった印象ですが、実際にはどんな使われ方が多いのでしょうか?

國本:20代は主に「相談」。恋愛も仕事もなんでもアドバイスしてくれて、意識調査では「親や友達よりも、AIに相談するほうが安心・安全」と感じている人が多いです。

トラ:考えを吐き出し頭の中を整理する、その相手として私も使っています。キャラクターを設定できるのも面白くて。

◼︎変わっていく社会の中で、自分らしく生きていくには?

\AIは、挑戦への壁を壊してくれる味方!/


國本:
どんな口調や距離感にするか、そこにAIの奥行きがあります。私自身は、経営者として使うときには甘やかされすぎないよう、「厳しくコンサルタントのように返してください」と設定しています。

トラ:優しくほめてもらいたい人もいて、自分の特性を理解していないと危うさもありそう。「AIが言うなら正しい」と錯覚してしまう瞬間もありますよね。

國本:そこは注意が必要です。AIは正解を判断するのではなく、学習データをもとに「もっともらしい回答」を生成しています。内容が必ず正しいとは限らず、誤情報や権利侵害を含む可能性もある。医療や法律の分野では、特に慎重な使い方が求められます。

トラ:社会全体で安全に使えるのか、まだ不安が残る部分はありますね。

國本:だからこそ、国会や政府レベルでもAIの扱いやルールの議論が進んでいます。日本は比較的AI活用に前向きで、2026年には政府職員向けの生成AIも始動予定。個人情報保護を重視し、規制を強めるヨーロッパとは異なり、リスクを抑えつつ発展を進める方針です。

トラ:日本にとってはチャンスにもなりそうです。AIが広がることで、社会はどう変わると見ていらっしゃいますか?

國本:この4〜5年は大転換期です。「どんな人でも仕事の3分の2は影響を受ける」といわれ、特に事務職は自動化が進行。すでにアメリカではAI失職やリストラが起きています。「就職したら安泰」と思われてきた日本でも、キャリアを柔軟に変える必要が出てくるでしょう。

トラ:危機感は持ちつつ、AIが可能性を広げてくれる側面にも目を向けたいですね。

國本:もちろんです。例えば企画や文章、デザインなど、これまで「苦手」と感じていた分野でも強力なサポーターになる。できることが増えるのは純粋に楽しく、マルチに活躍できる人はどこでも重宝されます。

トラ:ミニミー(=もうひとりの自分)みたい! 働き方にもいい影響はありますか?

國本:8時間かかっていたリサーチが、AIを使えばわずか30分で終わることも。残りの時間をどう使うかは、自分次第です。

トラ:時短でも成果が出せるのは、結婚や出産を考えるCanCam世代にとって希望!

國本:面倒な雑務はAIに任せて、キャリアと時間の余裕を両立できます。フルタイムに縛られず、フリーランスや業務委託など、働き方の選択肢も広がります。

トラ:ただ、日本はまだ時間給が主流。成果で評価する制度への転換が必要ですね。自動化される仕事と人手不足の職種、そのバランスを取る過渡期にあると感じます。

國本:現実にアメリカでは、AIに代替されにくい肉体労働や技能職の高収入化が起きています。

トラ:生活を支えるエッセンシャルワーカーの方々の待遇を見直すきっかけになって、よりフェアな世界に向かうのかもしれませんね。それに、身体を使う現場でも、AIが助けになりそうです。私は趣味の馬術を通じて馬の環境改善に関わりたいのですが、馬の世界はDXが進んでいなくて。健康管理アプリを作りたくても、技術的な壁を感じていました。でも今は、プログラミングの知識がなくても形にできるとか!

國本:言葉でイメージを入力するだけで、Webアプリのプロトタイプがつくれる『Google AI Studio』のようなサービスもあります。まずは触ってみて、行き詰まったらAIに聞きながら進める。うまくいかない部分も体験しながら学ぶのが近道です。

トラ:これまで属人的だった現場にも活かせそう! 経験に基づく知見をデータとして残せば、大切な知恵や技術を次の世代につないでいくことができますよね。

國本:はい、これまで時間がかかっていた修業やキャッチアップも、大きく短縮できます。実際、弊社の大学生インターンが、通常5か月かかる業務を、未経験ながらAIを活用して1か月で仕上げたこともありました。

トラ:それはすごい! AIは、助走期間を一気に縮めて、「知識や経験が足りないから挑戦できない」という壁を壊してくれる味方ですね。

國本:東京都では女性起業家を増やす支援が進んでいますが、AIはその流れも後押ししています。特に女性は、「ちゃんと経験を積まないと」「自信がつくまで前に出られない」と足踏みしてしまい、見えないガラスの天井にぶつかることも。AIが、ひとりひとりの力を増幅させて夢への一歩を加速させる。そんな〝ブースト〟を実感しています。

トラ:今後は、人間にしかできない役割もはっきりしていきそうですね。

國本:対面のつながりや雑談から生まれるひらめき、人の心を動かす力。つまり、AIには生み出せない「生の声」や「体験」といった一次情報です。私もリモートワークに頼りすぎず、あえて出社して、直接受け取る情報を大切にしています。

トラ:私にとってはそれが馬との時間。AIの進化はプラスですが、デジタルを離れて「触れる」「感じる」「没頭する」時間の価値は、ますます高まりそうです。

國本:デジタルで時間を生み、アナログな体験で心を満たす。その両輪が、人間らしい生活と幸せを叶えてくれるのではないかと思います。

\AIで時間のゆとりを生めば、幸福度も上がります/


トラ:AI時代、〝最初の一歩〟としてできることはありますか?

國本:いきなり仕事に活かそうと構えず、推し活など「好きなことを形にする」目的でAIを触ってみてください。見よう見まねで動画を作り、SNSに投稿してみたら「いいね!」がたくさんついた…という小さな成功体験でもいい。「自分にもできた」という実感が大事。PCやスマホに慣れたときと同じ感覚で、新しいテクノロジーを知れば怖さも和らぎます。

トラ:今日一日でグッとAIが身近になった気がします。これから自分に何ができるか楽しみです!

\自分らしい働き方や生き方を発見/

『わたしのAIライフスタイル診断』

國本さんが代表理事を務めるWAIJの公式LINE提供の無料診断コンテンツで、AI時代の働き方や生き方を16タイプに分けて楽しく発見できる。質問に答えると、自分に合ったAI活用法や具体的なプロンプトを提示。可能性を広げるヒントが見つかる!

対談を終えて…トラ’s MEMO

◼︎AI時代にこそ忘れたくない! キャリアとライフの心得

▶︎新しいテクノロジーは知ることで、怖さが軽減! まずは好きなことに活かしてみる

▶︎AIには生み出せない、生の声や体験といった一次情報を大切に

▶︎「奪う」のではなくAIのサポートで「叶える」夢に近づくスピードが変わる!

今月のトラの気づき:「自分にはできない」と思っていたことにも、手が届きそうなワクワク

「AIは何かを奪うというより、伴走しながら背中を押してくれる存在だと思えるようになりました。一方で、この便利さを支えるAIデータセンターには、電力や冷却水など環境負荷の課題があるという現実も。頼りきりになるのではなく、進化の行方や改善の動きにも目を向けながら、上手につきあっていきたいです」

今月のSDGsブランド「OpéraSPORT(オペラスポーツ)」

2019年、スタイリストとデザイナーのふたりがコペンハーゲンで設立。クラシックな優雅さと現代的なスポーティさを融合させた、タイムレスなデザインが特徴。責任をもって生産することを使命とし、リサイクル素材やオーガニックコットンを積極的に活用。洗練されたシルエットで、パリや北欧のファッショニスタからも支持を得ており、日常に寄り添う上質さが魅力。

〝OpéraSPORT〟のワンピース¥42,900・〝YOSTER〟のピアス¥24,200(エンメ)、中に着たトップス¥35,200・靴¥57,200(LEINWANDE CUSTOMER SUPPORT<LEINWANDE>)、靴下/スタイリスト私物

目指せSDGs!トラの一歩

\AIのサポートでアイディアが広がる!/

「仕事でAIを使う機会がかなり増えました。新しく始まる番組のビジュアルイメージを生成AIでつくって共有したり、資料の要点をまとめてもらったりと、日々の業務をしっかり支えてもらっています。今後やってみたいことをAIに相談することもあり、いまや日常に欠かせないツール。スマホやタブレットにアプリを入れて、外出先や旅先でも頼れる相棒になっています!」

CanCam3月号「トラちゃんと考える 私たちと『SDGs』RETURNS!」より 撮影/須藤敬一 スタイリスト/町野泉美 ヘア&メイク/神谷真帆 モデル/トラウデン直美 撮影協力/柴崎芙優 画像素材/PIXTA 構成/佐藤久美子 web構成/近藤舞弥 ◆この特集で使用した商品はすべて、税込み価格です。