「ぼる塾」あんりが苦手だった”ネタ作り”を支えた救世主たち【思い、思われ、食べ、ぼる塾。vol.121】

昨晩オンエアされた『女芸人No.1決定戦 THE W 2023』にて、4人体制で地上波初のネタ披露だったことでも話題沸騰中の「ぼる塾」!
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さて今回は、あんりさんのターン!

THE Wで改めてぼる塾のネタに注目が集まっていますが、もちろん最初からネタ作りが上手くいってたわけではないみたい。苦手なネタ作りが楽しくなるきっかけになった人とは…?

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「ネタ作りのお供にって差し入れに持ってきたクッキー、ひとりで食べ終わっちゃったわ」by田辺さん

CanCamをご覧の皆さま、“最近どう?”
久しぶりに会った友達にそう聞かれて、最近の自分を振り返ったときにたいしたことがなくて焦って、結構な過去まで遡って、結果無言の時間が伸びて気まずい空気になったことってありません?
私は最近そんなことがありました。
あれってどう答えるのが正解なんでしょう。
ぼちぼちって答えるのもなんだかユーモアが足りない気がするし。

そんなこんなでせっかく結構な過去を遡って自分を振り返った記念に私の話をさせていただきます。

私はネタを完成させたことが一度もありません。
これが面白いんじゃないか、あれが面白いんじゃないか、案が浮かんでもそれを形にするのが私にはとても難しくて、いつも自分が作ったネタに満足できず、自信が持てませんでした。

最初はNSC(吉本の養成所)での授業で起承転結から学んで、テレビや劇場でたくさんネタを見て、見よう見まねで地元のフードコートで書いていた。

まとまらなくて長尺になりすぎたり、広がらなくて転も結もないようなネタで卒業間近になるまでいちばん下のクラスで、講師の方の選抜メンバーもキャラ選抜ばかりでネタ選抜には最後までなれなかった。

「君たちのネタはオチがいつも雑だね。始まってるだけで終わることができてないんだよ」

「そもそも君がツッコミかな?キャラがあるほうが正していても入ってこないんだよね。」

はるちゃんとツッコミとボケを逆にしたり、ネタも終わりかたから考えてみたり、自分なりに試行錯誤はしたが、NSC(吉本の養成所)の卒業ライブは予選落ちで同期の決勝を客席で見守ったときは屈辱だった。

劇場デビューしてからも、ピラミッドのいちばん下からずっと抜け出せず、作家さんからいただけるダメ出しも変わらない。

「お前がしっかりしてないと成立しないだろ」

「キャラがあるお前のほうがしっかりしてるのが違和感でもったいないんだよな」

じゃあ、私は一体どうすればいいんだ。

今思えばもっと親身になってくれた作家さんや先輩も周りに、たくさんいてくれたのに、ネガティブな言葉の威力は時々ものすごく大きくなる。

私は狭い世界でもがいてしまっていた。

そんな狭い世界からどうやって抜け出したか。

とにかく劇場に行った。
劇場にいれば誰かが必ずいる。
ひとりで考えているとついつい迷い込んでしまう狭い世界から抜け出すきっかけがそこにはいくつもあった。

私は出番がないときも劇場に行って、楽屋でネタ帳を広げた。

先輩や同期や後輩の芸人、作家さん。
ネタ帳を広げて頭を抱えていると、必ず誰かが声を掛けてくれて、新ネタの相談に乗ってくれた。
アドバイスをもらうと言いながら、もはや先輩が出してくれた案だけでネタができて、私は書記状態だったこともあった。

劇場は私の救世主達のたまり場。
私とはるちゃんで組んでいた「しんぼる」というコンビは、救世主達によって活動できていた。

今の私にも救世主はいる。
皆さまご存知、酒寄さん。
この救世主はとにかく仕事が早い。
とにかくたくさんネタを書く。
出番後の反省も早いし、直しも早い。
この救世主は忙しい。
だから、この救世主とネタに向き合っていると、ネタ作りへのコンプレックスに悩んでいたことなんて忘れてしまう。
何よりも自分がこんなにも苦手なネタ作りをこんなにも一生懸命、楽しそうにやってくれる姿にいつも見惚れてしまう

田辺さんの服をもらった救世主・酒寄さん

救世主はネタ作りへの自信を失くした私を「あんりちゃんとのネタ作りは楽しいよ」と仲間にしてくれました。
仲間に救世主がいるなんて、こんな心強いことはない。
私が出した案を笑ってくれて、時には正してくれて、私も酒寄さんの案に笑って、時に正して、ぼる塾になってからのネタ作りは本当に楽しい。

私は頑張らない人間なんだといつもどこかで自分が嫌いだったけど、救世主のおかげで、誰かと一緒にだったら頑張ることができる人間なんだと自分を認めることができた。

私ばかりが救われてちゃいけない。
私も救世主の救世主になりたい。

酒寄さんのように早くネタを作れないけど、
酒寄さんのようにたくさんネタを作れないけど、
私は息抜きなら誰よりも得意だから、それを酒寄さんに教えてあげよう。
酒寄さんが考えたボケを自分のツッコミで最大限面白くできるように努力しよう。

よく見返りを求めないのが本当の優しさなんて言うけど、私にはそんなのは無理。
やったらやった分だけ何かくれ!とまでは思わないけど、せめて感謝を行動で示したい。

自分が誰かに褒められたとき、いつもその救世主達の顔が頭に浮かぶ。

私を褒めてくれた方々、これから褒めてくれるつもりの方々へ。

私にはたくさんの救世主がいて、そのおかげで今の私がいるのです。
あなた方は私ひとりを褒めているつもりかもしれませんが、あなた方は同時にたくさんの人を褒めていることになります。
だから、これからもどうか私を褒め続けて下さい。

こんな講義でもして、終わりで売った壺の売り上げで救世主達と打ち上げでもしようかしら。

あんりさんを支えている救世主たち♡

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第7回 田辺さんの回「ディズニーの楽しみ方」

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ぼる塾 プロフィール
『猫塾』と『しんぼる』が合体したお笑いカルテット。現在、酒寄希望さん(写真左)が育休中のため、きりやはるかさん(中央左)、あんりさん(中央右)、田辺智加さん(右)のトリオで活動中。
 
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©吉本興業/マガジンハウス
芸能界でも指折りのスイーツ通で知られる田辺さん初の書籍。『あんた、食べてみな! ぼる塾 田辺のスイーツ天国』(¥1,430/マガジンハウス)発売中。

『ぼる部屋』毎週木曜 24:15-24:25 KBC 九州朝日放送にて放送中。
『ラヴィット!』毎週月曜~金曜 8:00-9:55 ※月曜レギュラーTBS系にて放送中。
★公式YouTube 『ぼる塾チャンネル』
★個人公式インスタグラム 酒寄さん@jiujixiwang はるちゃん @kiriyaharuka  あんりさん@f_y_e_b  田辺さん@chikaxxsweet
★個人公式X 酒寄さん@no_zombie はるちゃん@shinboru1001 あんりさん@takobu7 田辺さん@chi0314ka

文/あんり(ぼる塾) イラスト/mame 構成/田中絵理子