「もったいない精神」で気持ちよく使い続ける。資生堂の「持続可能なコスメ」【トラウデン直美と考えるSDGs】

資生堂が取り組む「持続可能なコスメ」、知ってる?

今、世界中で注目されている「SDGs」という言葉。これは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字を合わせたもので、世界193か国が貧困や環境問題の改善を2030年までに達成するために掲げた17の目標のこと。2020年からスタートした連載では、CanCamモデルのトラちゃんことトラウデン直美が「SDGs」について読者の皆さんと考える機会を作っています!

今回は企業の取り組みに注目! CanCam世代にも身近な企業・資生堂に、コスメを通して実現するサステナビリティについてお話をうかがいました。訪れたのは、東京・銀座にあるブランド初の旗艦店『SHISEIDO GLOBAL FLAGSHIP STORE(東京都中央区銀座3-3-13)』。2020年11月から、店内の専用ラボでアルティミューン ファウンテン(詰め替えサービス)をスタート。デジタル技術を活用したテスターも充実!

(写真左)大山志保里さん/SHISEIDO グローバルブランドユニットエクステンションプラットフォームカテゴリー室長。東京とNYを拠点に、15年間美容マーケティング・商品開発に従事。同社のサステナビリティ戦略を推進。
(写真右)トラウデン直美/高校時代から環境問題に興味をもつCanCam専属モデル。『SDGs』にまつわる勉強や発信、取材に力を入れ、情報番組コメンテーターとしても活躍。2022年3月、慶應義塾大学法学部を卒業。

今こそ「もったいない」精神で気持ちよく使い続ける

トラ 資生堂さんのコスメは素敵な容器が多くて、捨てるのがもったいないなと思っていたので再使用できるのはうれしいです! リユース以外にも、100%植物由来で、海や地中で分解される新素材を世界で初めて化粧品容器に採用した「アクアジェル リップパレット」もありますよね。今後は、他のブランドにも環境対策が広がっていくのでしょうか?

大山 より多くの方に普及していける方法を模索しているところです。「サステナブル」には、プロセス開発や素材開発などに多くの時間と労力がかかる現実があります。また、大量生産が追いつかないケースもあり、今は一部のブランドで積極的に推進している状況ですが、いずれはブランド・商品問わず応用していきたいですね。トラウデンさんご自身は、普段美容アイテムを選ぶときに大事にされていることはありますか?

トラ やはり「長く使い続けられるか」です。買ったのに1回しか使わなかった…というものを捨てると悲しくなってしまうので。

大山 捨てるときの罪悪感は、美しいものほどありますよね。

トラ 根がめんどくさがり屋なのでスキンケアは工程が多いと難しくて。お手入れは持続しないと効果も得られないだろうし。

大山 ひとつの化粧品をどれだけ長く愛用していただけるかは、つくり手にとってもサスティナビリティの軸だと考えています。

トラ そのためには五感にも心にも気持ちいいことって大事だなと。今回のようにお店で体験できると実感できます。

大山 日本は欧米的なSDGs観点では後進かもしれないけれど、古くからモノを大切にしてきた「もったいない」精神は〝サステナブル〟そのもの。自然への思いやりを喚起できるような、スキンケアやメイクの体験を提供できるよう準備中です。

サステナビリティへの思いが内面の美しさを育てる

トラ 企業活動で、社会課題を感じた部分はありますか?

大山 これまで「美容の力でどうやって社会貢献できるか」を追求してきました。がん患者の方へのお化粧のワークショップを開催することもひとつの取り組み例ですね。

トラ 気持ちまで明るくしてくれるメイクの力ですね! 美容って、「人から見て」とか「人と比べて」という視点になりがちですし、社会的にも漠然とキレイの定義はあるのかもしれない。でも、好きな色もテイストもみんな違う。自分が好きな自分でいられたらそれでいいんじゃないかなと思うんです。

大山 美しさの固定観念は、メディアの影響もありますよね。「これが美しい」という押しつけではなく、もっと自発的に多様な美を許容できるように、伝える側もコミュニケーションを変えていかなくてはと考えています。

トラ 美容とサステナビリティは世界でも議論されていますが、大山さんはどういった親和性があると思われますか?

大山 最近は外見だけでなく内面も美しくなりたいと思っている方が多いですよね。美容の領域でサステナビリティを取り入れることで、本質的な美しさに作用できるのではないかと。

トラ 心の内から出る美しさも育てられるということですか?

大山 はい、まさに! 以前、あるトークイベントで「『自分が美しくなるために地球を汚していいのか』という問題もありますよね」というお話が出まして。その言葉がずしんときたんです。SDGsには「つくる責任、つかう責任」という目標がありますが、モノをつくる身としてはより意識を高めなくてはと。一方で、過酷労働や不公正な取引など、倫理観に反する側面への関心も高まっていると感じます。化粧品は肌や健康に関わるもの。これまで同様に、どのようにつくられてきたのか過程をしっかり追跡し、安心して使っていただけるブランドであり続けたいです。

「つかう責任」を忘れずに、自分だけでなく環境もきれいに!

ガラス張りのラボで実際に充填プロセスを見られるのも安心♡ ラボ内に入れるのは、数か月のトレーニングを積んだエキスパートのみで、徹底的な衛生管理の下でボトルからスプレーノズルの中まで洗浄してもらえる。なんと水で1回、アルコールで5回、仕上げに美容液そのものでも洗うのだとか。充填後には、念入りな目視での微生物試験も。工場での新品出荷時と同レベルの品質チェックが心強い! 所要時間、約60分で詰め替えが完了。クリーンなボトルで気持ちよく使い続けられる♪

対象商品:アルティミューン™ パワライジング コンセントレート III/[30㎖]¥8,250、[50㎖]¥12,100、[75㎖]¥17,050/※公式サイトで要予約

世界基準でつくられたモノが自分を高めてくれる

プラスチック削減は、日本ではまだこれから…という段階ですが、欧米ではお店にも厳しい条件を課されているそう。世界で支持されるブランドだからこそ、基準も世界に合わせていかなくてはいけないんですね。丁寧につくられている背景を知ると、「使うときにも丁寧に」と思えます!

ワンピース¥90,200(コーチ)、ピアス¥24,200(e.m.表参道店)

目指せ「SDGs」!トラちゃんの今月の一歩

■健康とCO2削減のため、野菜中心の食生活

最近は、体のためにも野菜中心の食生活です! お肉は生産過程で地球温暖化の原因とされるCO2やメタンの排出が多い食品なので、毎日は食べないように意識しています。

■新生姜を余すところなく使って自炊を豊かに

先日、料理ライバー・りこぴんさんとジンジャーエール作りに挑戦! 新生姜から煮出してシロップを作ったのですが、残った生姜は佃煮にしてムダなく食べきりました♪

今月の1冊は…『最近、地球が暑くてクマってます。』

豊富な写真とユーモアをまじえて、簡単にわかりやすく地球温暖化について解説。環境問題がグッと身近になるはず。

著:水野 敬也、長沼 直樹 監修:江守 正多/¥1,595/文響社
2021年Cancam12月号「トラウデン直美と考える 私たちと「SDGs」」より 撮影/花村克彦 スタイリスト/鈴木千春 ヘア&メイク/秋山 瞳(PEACE MONKEY) モデル/トラウデン直美(本誌専属) 構成/佐藤久美子 WEB構成/坂元美月 ◆この特集で使用した商品はすべて、税込み価格です。