トラウデン直美×谷内 侑希子さんが「フェムテック」を語る
今、世界中で注目されている「SDGs」という言葉。これは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字を合わせたもので、世界193か国が貧困や環境問題の改善を2030年までに達成するために掲げた17の目標のこと。去年からスタートした連載では、CanCamモデルのトラちゃんことトラウデン直美が「SDGs」について読者の皆さんと考える機会を作っています!
今回のテーマは、最近よく聞く“フェムテック”について。フェムテック分野で起業し、様々な情報発信も行っている谷内侑希子さんに、気になることを教えていただきました!
そもそも“フェムテック”の意味とは?
フェムテックとは、女性が抱える健康課題をテクノロジーで解決する商品(製品)やサービスのこと。世界各国での“女性のエンパワメント”と技術的進歩の影響で、欧米を中心に2000年以降から一気に市場が拡大している分野なんです。「SDGs」の「目標5 ジェンダー平等を実現しよう」とも関わりがあり、日本でも大注目されています。
起業家・谷内侑希子さんに聞いた!今、気になる“フェムテック”について
谷内 トラちゃんは、フェムテックって言葉をいつ頃知りましたか?
トラ たしか、きちんと意味を知って興味を持ち始めたのは去年の春すぎくらいです。
谷内 あの頃から、メディアで一気に取り上げられるようになりましたものね。
トラ なぜ今、フェムテックが注目されるようになったんですか?
谷内 #MeToo運動以降、SNSで女性の意見が可視化されるようになりましたよね。それによって世界中で女性のエンパワメントが進み、フェムテック産業が急激に伸びたんです。日本では、数年前に吸水ショーツが登場してから急激に注目度が上がりました。
トラ そういうことだったんですね! もっとフェムテックが広がって、多くの女性の生きづらさが改善されたらいいな。
谷内 本当にそうですね。だからこそ、今のこの盛り上がりが一時的な流行にならないよう、多くの女性に自分の体のこととフェムテックについて知ってほしいです。
トラ そういえば、最近出ている新しい生理アイテムはどれもすごく便利らしいですね! 特に吸水ショーツや月経カップは、生理の日のケアが楽ちんになるだけじゃなく、繰り返し使えて環境にもいいと知って、私も使ってみようって思いました。
谷内 私は月経カップを使い始めて「人生が変わった!」と思うくらい、生理の日のケアが楽ちんになりました。吸水ショーツと併用すれば、モレの心配もほぼなく、洋服やふとんを汚すこともないんですよ。なので、安心して日々を送れるんです。
トラ それはすごい…! フェムテックには月経以外の分野のものもあるんですよね。
谷内 妊娠や産後ケア、女性特有の疾患の検査・治療やセクシャルウェルネスの分野もフェムテックに入りますよ。ただ医療に関わる部分が多く、開発にかなり時間がかかるので、まだ商品やサービスは少なめ。海外では認可されているけれど日本にはまだ入ってきていないものもたくさんあるので、これから徐々に増えていくと思います。
フェムテック分野の中でも話題! 生理アイテム
■サポートアイテム
女性の体をいたわるウェアや器具、女性特有のゆらぎに対応した化粧品や食品など、生理やPMSの不調を軽くし、毎日快適に生きていくための商品が続々登場している。
■月経カップ
シリコン製の生理用品で、洗浄・消毒すれば繰り返し使用可能。使い方は意外と簡単で、カップを折り畳んで膣に挿入するだけ。正しく使えれば経血が漏れ出ることはまずなく、12時間まで連続して使用できる。
初心者でも使いやすい『スクーンカップ』
■吸水ショーツ
吸水性のある布を何層にも重ね、ショーツ自体が経血を吸収する新しい形の生理用品。吸水量や機能性は商品によって様々ですが、吸水ショーツを使うことでナプキンやタンポンの消費量を減らすことが可能。さらに吸水ショーツは繰り返し洗って使え、経済的なだけではなく、環境にも優しいという利点も。
人気の火付け役的存在『Nagi』
お手頃で手に取りやすい『GU』
『Bé-A』は吸水力が素晴らしい!
■生理トラッキングアプリ
生理日などを登録することで、周期や排卵予定日を教えてくれるアプリも人気。また基礎体温計と連動して自動で記録をつけるアプリや、ピルを飲み忘れないようにリマインドしてくれるアプリも。
日本で有名なのは『ルナルナ』
女性の体や生理のことを、みんな知っているようで知らない!
谷内 私がフェムテック分野で起業したのは、自分が生理不順やPMSに苦しめられたり、妊娠や出産のことで悩んだりしたからなんです。体のことって仕事に影響することも多いですし、年齢と共に体調が変化して不調が出始めることもあるんです。
トラ 私もPMSがひどくて、いろいろ勉強しました。日本って、まだまだ生理のことを話しにくいし、みんな意外と知識がないですよね。ピル=避妊薬と思っている人も多くて、生理不順やPMS改善でピルを飲んでいる人が誤解されたり…。大学の女友達にはタンポンの使い方を知らないコがいて、プール前に生理になってすごく困っていました。大切なことだし、もっと学校教育で扱ってもいいのに…。
谷内 ネットが発達し情報を入手しやすくなっていますが、それでもまだ届いてほしい人に届いていないのが現状。もっと知るきっかけやわかりやすい情報が増えればいいですよね。フェムテックの商品やサービスが、その一環になることを願って頑張ります!
自分の体のことは、健康だけでなく人生にも関わってくる大切なこと
谷内 CanCam読者の皆さんには、今後のライフプランニングのためにも妊娠・出産について考えたり、調べたりしてみてほしいです。特に生殖医療分野は年々進歩し、選択肢がかなり増えています。もちろん完璧に問題解決できるわけではないですが、早いうちからできることもあるし、知っておくだけでもためになることがたくさんあるんです。
トラ うちの父と母を見ていると、パートナーと生理について話し合うのも大切なんだろうなって思います。ずっと仲よく過ごすには、お互いの理解が必要だから。
谷内 そして社会全体が“女性の体”について理解を深めていければいいですね。
トラ この前、発展途上国では生理用品がなくて学校に登校できなくなってしまう女のコがいるって知ってショックでした。それで学業に支障が出てしまうんだそうです。
谷内 そういうふうに女性の活躍が妨げられてしまうのは悲しいですよね。その点日本は、生活環境は整っています。でもまだ婦人科に通いづらかったり、生理がつらくても休みたいと言い出しにくい空気があって、女性が活躍しやすいとはいえません。こういう空気を壊すには女性同士の連帯が欠かせないので、フェムテックをきっかけに、生活をよりよく変えながら周りの人と女性の体や生き方について語り合っていけたらいいですね。
トラ 私も本当にそう思います! 生活を変えることって意外と“社会構造自体を変える”ことにつながると思うので、フェムテックをどんどん取り入れてみますね♪
こんなのもフェムテック!
・卵子凍結
卵巣から採取した卵子を凍結保存することで、出産能力を保存しながらライフプランを考えたり、妊娠や出産の準備ができるように。女性のキャリア形成のために“卵子凍結を補助する社内制度”を導入する企業も。
・医療用ピル
ピルはフェムテックの起源とも呼べる存在。避妊だけではなく生理痛やPMSなどの治療にも使用され、女性が主体的に生理をコントロールできるメリットがある。最近日本でも、オンライン診療でピルが届くアプリが登場。
女性だけでなく、地球環境もフェムテックが救うかも!
谷内さんに吸水ショーツや月経カップの使い方を教えてもらったのですが、このふたつを上手に使えば生理ナプキンやタンポンがほぼいらなくなるんですって! 使い捨ての生理用品に含まれるプラスチックが海洋汚染につながっているなんて話も聞くので、これを機に新しい生理アイテムを使ってみます!
目指せ「SDGs」!トラちゃんの今月の一歩
■今月の1冊は…『「男女格差後進国」の衝撃』
ジェンダー平等にまつわる日本の状況や問題をわかりやすく解説してくれる本。自分の無意識のジェンダー・バイアスに気づくきっかけにも!
■畑仕事頑張ってます♡
色んな野菜を育てていて、この前は密集してしまったニンジンの苗を間引きしました。間引きしたミニにんじん、捨てるのはもったいない! ということでもらってグリルに♡
■旬野菜を隅々まで味わい尽くす!
旬のカリフラワーをたくさんおすそ分けしてもらったので、茎までぜんぶ刻んで冷凍! チャーハンを作るときにごはん代わりに使うと◎。エコでヘルシーで美味しいの♡
知っているようで意外と知らない、自分の体のこと。新たな選択肢と出会うことで、今まで感じてた「不便な当たり前」が解消される可能性も! トラちゃんと一緒に、もっとSDGsについて考えてみたい! という方は、ぜひ雑誌CanCamで連載中の「私たちとSDGs」をチェックしてみてくださいね♪
身近に、わかりやすく。SDGsをもっと知る!>
撮影/田形千紘 スタイリスト/奥富思誉里 ヘア&メイク/MAKI モデル/トラウデン直美(本誌専属) 撮影協力/田中かほ里 構成/衛藤理絵
◆この特集で使用した商品はすべて、税込み価格です。