あなたの周りにもいるかも｜働かないおじさん（おばさん）はなんで生まれるの？
突然ですが、皆さんの周りに、「この人、いったい1日何をしているんだろう…？」というくらい働かない上司や先輩はいますか？ 最近話題のいわゆる「働かないおじさん（おばさん）」とは、フルタイム正社員として勤続年数を重ね、給与が高くなっているにもかかわらず、それに見合った働きをしない人のこと。
今回は、弁護士ドットコム株式会社が一般会員1053名を対象に行った「働かないおじさん（おばさん）」に関する調査結果をご紹介します。自分には関係ない！ と思っていても、数十年後自分がなる未来があるかも。一緒にその特徴を見てみましょう！
職場に「働かないおじさん（おばさん）がいる」6割
回答者のうち、無職、個人事業主・自営業、学生をのぞいた雇用労働者767人を対象に、「職場に「働かないおじさん（おばさん）」がいるかどうか」を尋ねたところ、58.7%が「いる」と回答しました。「自分がそうだ」という回答も4.2%あり、合計では6割を超えています。
職場に「いる」と回答した人を対象に、「働かないおじさん（おばさん）」の実態について詳しく聞いてみました！
「いつもパソコンを眺めているだけで、何も仕事をしないくせに仕事を頼むと『何で俺がこんな仕事やらなきゃいけないんだ』と高圧的に騒いで断る。ただ居るだけ」（従業員数1000人以上）
「仕事がないので定時を待って帰るのだが、罰が悪いのか必ず外線電話がかかってきたふりをして出かけるから帰る。実はこの電話どこにもつながっておらず自作自演」（従業員数1000人以上）
「過去の成功体験をアップデートせずに、時代遅れのプランを裏付けもなく非論理的に主張してきて、その点を指摘しても強弁するだけの対応しかできない」（従業員数20人未満）
「自分はこれが苦手、できないを常に言う人がいます。あの人は出来なくても、仕方ない感を出していて、人に仕事を任せています」（従業員数300人〜999人）
仕事をしないことに対して後ろめたさを感じている「働かないおじさん（おばさん）」もいる一方、逆ギレに近い形で仕事を堂々と断っている人もいるよう。どちらにせよ、周囲の人に迷惑をかけていることには変わりないですね。
また、「自分がそうだ」と回答した人には、自身のキャリアについて思うことを聞いてみました。
「やっても、やらなくても給料は、さほど変わらない。やってるように思わせられれば、給料はもらえる」（40代男性、会社員・会社役員）
「毎年新たなスキルや資格を習得するよう心掛けているが、習得したスキル等を活かせる部署に配属されたためしがない」（40代男性、公務員・団体職員）
「年齢によって働くスタイル、働く内容が変わってくる。年齢が高くなれば若い時分のようにはバリバリ働けないが、培った経験則と人脈がありわずかな労力で相当な対価を得ることができると思う」（50代男性、会社員・会社役員）
「そろそろ若い者に仕事を任せて、自分はルーティンワークに徹したい」（50代男性、会社員・会社役員）
過去頑張っても報われなかったという苦い経験があると、働く意欲も失せてしまうようです。今回4つのコメントを抜粋しましたが、3つ目については効率的な方法を取得したから結果的に負担が軽くなった、というポジティブな結果として解釈できそうです。ただ、給料が上がっているならそれ相当の仕事をしてほしい気もしますね。
働かなくなった理由は待遇と職場の雰囲気？
「自分がそうだ」と回答した32人を除いた雇用労働者735人に対して、「なぜ「働かないおじさん（おばさん）」は働かなくなったと思うか」を選択式で尋ねたところ、「働いても働かなくても待遇が変わらないから（64.2%）」が1位となりました。その後、2位「年功序列で、ある程度の給与やポジションが保証されているから（51.3%）」、3位「職場の雰囲気がゆるいから（32.7%）」と続きました。
2割強が「自分もなる可能性がある」
「自身が将来、「働かないおじさん（おばさん）」になる可能性があるかどうか」を尋ねたところ、22.9%が「ある」と回答しました。パーセンテージ的にはそこまで高く見えませんが、実は「ない（48.8%）」の約半分の数値。また、5人に1人は「働かないおじさん（おばさん）になる可能性がある」と思っていることを踏まえると、そこそこ多く感じますね。
「年功序列をやめて、給与に差をつける」求める声が最多
無職、個人事業主・自営業、学生も含めた回答者全体に対して、「社会全体で「働かないおじさん（おばさん）」が増えないために何が最も必要なのか」を尋ねたところ、「年功序列をやめて、給与に差をつける」が30.2%でトップ、「解雇をしやすくする」16.0%、「中高年になってからの学び直しを促進する」14.1%と続きました。
降給降格など、働きぶりに応じて待遇を見直すことで、「働かない」状態ではいられなくなるはず。ただ、待遇を見直すだけでは、仕事ができず低待遇の「働かないおじさん（おばさん）」が増えるだけという可能性も考えられます。
自分が働かないおじさん（おばさん）になってしまう未来も無きにしも非ず。働かなくてもお金がもらえて生活は安泰かもしれないけれど、職場の人間関係が悪くなってしまうこと、少なからず他の人に迷惑をかけていることを肝に銘じておきたいところです。（平田真碧）
情報提供元／弁護士ドットコム株式会社
