世界の地震の20%は日本で発生…「防災体験」から学んだこと【トラウデン直美と考えるSDGs】

トラちゃんが防災体験施設『そなエリア東京』を取材!

今、世界中で注目されている「SDGs」という言葉。これは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字を合わせたもので、世界193か国が貧困や環境問題の改善を2030年までに達成するために掲げた17の目標のこと。2020年からスタートした連載では、CanCamモデルのトラちゃんことトラウデン直美が「SDGs」について読者の皆さんと考える機会を作っています!

今回は、世界の地震の20%が発生している日本で、”もしもの時どうするか?”そのヒントを探しに「そなエリア東京」を訪れました。

今回体験したのは…防災体験学習施設 そなエリア東京/国の災害応急対策の拠点として整備された、有明の「東京臨海広域防災公園」内にある防災体験学習施設。『東京直下72h TOUR』では、被災地や避難所の様子を再現した実物大ジオラマの中で、地震災害後の支援が少ない時間を生き抜く知恵を学べる。※入場無料
トラウデン直美/高校時代に環境問題に興味をもって以来、エシカルな生活を模索。『SDGs』にまつわる取材や発信に力を入れ、情報番組コメンテーターとしても活躍する。初のフォトブック『のらりとらり。』が好評発売中。

30年以内にマグニチュード7の大地震が起きる確率は70%

災害が起きたとき、国や自治体などの支援体制が充分に整うまでの目安は3日間(72時間)と言われています。少なくともその間は自力で生き残れるようにしなくては! …ということで、まずは『東京直下72hツアー』を体験することに。駅ビルのエレベーターで下降中に、震度7の地震が発生。停電した薄暗い通路を歩き、「非常口」の明かりを頼りに恐る恐る出口へ進みます。

焦って建物から飛び出すと、看板や割れたガラスなどが降ってくることもあるので、揺れが収まるまではテーブルの下などにもぐって待つのが安全なのだそう。日本では、1981(昭和56)年6月から「震度5強程度の中規模地震では軽微な損傷、震度6強から7に達する程度の大規模地震でも倒壊は免れる」という新耐震基準が義務づけられていますが、これは「1回目の揺れには耐えられる」というもの。余震の大きさによっては倒壊の恐れがあると知りました。

停電で交通機能がまひしたり、携帯電話が不通になったりする可能性も。南関東には約3000万人以上の人が住んでいて、日中に地震が起きるとその多くが帰宅困難になってしまうそうです。日頃から、歩いて家に帰るルートを確認する、家族との安否確認方法や待ち合わせ場所を決める、といった対策をして、いざというときの不安をやわらげたいですね。

■タブレットで防災クイズにも挑戦

■外出先でエレベーターに→地震発生でエレベーターが緊急停止

■揺れが収まり外に脱出すると、変わり果てた町の姿が…!

1981年改正前の旧耐震基準の建物は倒壊のリスクが大きい。

■このステッカーを目印に探そう

コンビニ等の「災害時帰宅支援ステーション」では、水道水や情報を提供。

海岸付近で揺れを感じたら津波が見えなくても即避難

震災で大きな人的被害をもたらすのが、津波。海が深いほど速く伝わる性質があり、陸に近づいて浅くなるにつれて減速、波の高さが増すのだそうです。また、よく言われている「津波の前には潮が引く」という現象は、いつも当てはまるとは限らず、揺れながらでも急いで高台へ避難しなくてはいけない局面があるのだとか。

東日本大震災では、学校で子供たちと揺れが止まるのを待っていた先生が「今すぐ逃げよう」と判断した例もあると教えていただきました。特に静岡~宮崎県沖にかけてのプレート境界にあたる南海トラフはまさに水深4000ⅿ級。静岡や和歌山のように、場所によっては津波が最短2~3分で到達してしまう地域もあり、楽観視してはいけないと気持ちが引き締まりました。

■3日分の水だけで約10㎏! 防災リュックは、逃げられる重さ?

プライバシー確保で避難所生活でのストレス緩和


SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」の中には、災害に対する強靭さの向上も含まれていますが、シミュレーション映像を観て、そもそも自分の住む地域や働く町でどんなリスクや対策があるのか、知らないかも? とドキッとしました。救急車や消防車など救助の車が通る大きな道路は丈夫につくられているけれど、事故や停電による渋滞は避けられなさそう…。今回、東日本大震災時の福島県いわき市の避難所を再現したスペースも見学できたのですが、段ボールで仕切られてはいるものの、立ち上がればすぐにお隣が見えてしまうし、ペット同伴では入れない施設もあるので、キャンプ用のテントを持ち込む方もいるとか。被災時は必ずしも「避難所に行く」一択ではなく、安全な地域の親戚や友達の家に身を寄せるなど、自分に合う避難スタイルを考えておくことも大事なのだと痛感!

写真は首都直下地震発生時、実際に緊急災害現地対策本部の候補地となるオペレーションルーム

災害が来る前に備えておこう

知っていることで命を守るだけでなく、普段の生活ができなくなったときに精神的な負担を減らす効果も。

■非常用品の準備

自宅が安全な状態なら「在宅避難」が原則。非常用品は置く場所を決めて準備しておく。水や保存食のほか、簡易トイレや生理用品も忘れずに!

■家具の転倒・落下防止

圧迫や窒息など、生死に関わる家具の転倒。重いものは下部に置く、棚を金具や突っ張り棒で固定するなど、できるところから早めに対策を。

■防災知識を身につける

震度5以上で自動遮断されたガスメーターの復帰方法や、ラップや大判ハンカチをケガの手当てや防寒に使う代用方法など身近な知恵が役立つ。

■地域の危険性を把握

各自治体では地震や水害を予測して、ハザードマップを公開している。被災想定区域や避難場所・避難経路とあわせて、公式HPで確認を。

 

もしも…を想定するだけで防災意識が高まる!

「怖いのはパニックで何もできなくなること…自分が安心できるよう先に想定しておくのが大切なのだと感じました。今回の取材では、ジオラマや映像がリアルで怖さも体感でき、防災への意識がグッと高まりました。ケガや寒さ、トイレの対策など意外と気が回らない部分も発見。普段から再利用や代用を習慣にすれば災害時も役立ちそう! 想像しながらさっそく備えたいと思います」byトラウデン直美

目指せ「SDGs」!トラちゃんの今月の一歩

■お肉やチーズ、野菜も量り売り♪

夏休みはドイツに帰省! 現地では、箱買いしたビールやペットボトルの空き容器をお店に持っていくと、その日の買い物から割引してもらえるデポジット制が浸透。量り売りが多く、過剰な包装を減らす工夫も感じました。

■今月の1冊は…『Are You Ready ? The Journey to the Veiled World』

絵本『じゅんびはいいかい? 名もなきこざるとエシカルな冒険』の英語版。京都のお寺の住職で世界的イラストレーターである中川 学さんが描く絵の世界に入り込んで、感覚的に学べます。

著:末吉 里花/¥2,200/山川出版

今月のSDGsブランド「gina tricot」

1997年にスウェーデンで生まれ、北欧やドイツを中心に店舗を展開。環境への負荷を軽減しながら、農家の生産性も維持するBCIの基準を満たした、ベターコットンを使用。品質やシルエットへのこだわりと手に取りやすい価格を両立している。

〝gina tricot〟のシャツ¥6,600・パンツ¥10,450・〝NODOKNITS〟の靴¥16,280(サスティナブル ケイスリー)、中に着たカットソー¥17,600(k3 OFFICE)、イヤカフ/スタイリスト私物
2022年CanCam12月号「トラウデン直美と考える 私たちと「SDGs」」より 撮影/花村 克彦 スタイリスト/町野 泉美 ヘア&メイク/坂口 勝俊(Sui) モデル/トラウデン直美(本誌専属) 撮影協力/柴崎 芙優 構成/佐藤 久美子 構成/坂元 美月 ◆この特集で使用した商品はすべて、税込み価格です。