相手にイライラしてしまったときの心理的対処法4選

相手にイライラしてしまったときの心理的対処法4選

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人間関係は喜びをもたらしてくれるものですが、同時に怒りを覚えることもありますよね。そんなとき、あなたはどうしていますか? ガマンする、怒りをぶつけるなどさまざまなアクションがあるかもしれませんが、建設的な対処法を知っていれば対人トラブルも少ないはず。そこで今回は、「相手にイライラしてしまったときの心理的対処法4選」をご紹介いたします。

■アンガーマネジメント(怒りのコントロール)を身につける

オーストリアの精神科医アントン・メスメルは、自分に暗示をかける“催眠療法”を提唱しました。これは言葉による暗示で心の状態の改善を目指すものです。他者に対して行うものと自分に対して行うものとの二つがあり、後者を自己催眠と言い自己暗示とも呼ばれます。この自己暗示を応用して、相手にイライラしたときに、「私は今心が穏やかになりつつある」、「私の怒りは消えつつある」と、現在進行形で自分の心の中で呟くようにしてみましょう。自然とイライラが無くなっていくはず。

■楽しい思い出を想起する

記憶は心理学にとって欠かせない研究対象。ゴードン・H・バウアーは、情動と情報は一緒に記憶の中に貯蔵されると考えました。言い換えると、感情と出来事は一緒に覚えられているということです。そのため、幸せな気分のときはポジティブな出来事を思い出し、イラッとしたときはネガティブなものを記憶しやすい傾向があります。そのため、相手にイライラしたときは不快な過去を思い出してしまいがちですが、なるべく楽しかった記憶を思い出すようにしましょう。楽しい思い出で塗り替えれば、怒りの感情は急速にしぼんでいくはず。

■別人になりきってみる

相手に対してイライラしたとき、ストレスを感じにくくする心理的方法があります。それが“ペルソナ・ペインティング”と呼ばれるテクニックです。心理学者ユングは、人は状況に合わせて「複数のキャラクター=ペルソナ(仮面)」を使い分けていると提唱しました。後輩に言われて腹が立つことも、先輩なら聞き入れるというのは、それぞれペルソナが違うからだと言えます。そのため、相手にイラっとしたら、「自分は一流のクレーム処理係」だと思ってみましょう。そうすれば、どんなことも受け流せるようになるはず。

■深呼吸して6秒間待つ

心理学者エバンスらがアメリカとインドのバス運転手を対象に調査を行った結果、両国において攻撃的な行動に出やすい性格の人が事故を起こす回数は、そうでない人に比べて数倍多いというデータが確認されました。このことからも、人に対してイラっとするような攻撃的な状態だと、言うべきでないことを言ってしまったり、失態を犯してしまうことが多くなってしまうのです。そのため、まずは深呼吸して自分の中の攻撃性を抑えるようにしましょう。たいていの怒りは、「6秒間」待つことで消えるという実験結果もあります。

おわりに

怒りという感情はあまり好まれないように思われがちですが、実は自分の主張を相手に理解して欲しいという大切な側面も含まれています。確かに、関心のない相手には怒りの感情も湧きにくいですよね。でも、そのイライラがあまりに攻撃性を帯びてしまうと、人間関係の摩擦やトラブルにも発展しかねません。自分で“アンガーマネジメント”できるようになれば、きっといい関係を築いていけるはずですよ。(脇田尚揮)

脇田尚揮
認定心理士。Ameba公式No.1占い師として雑誌やTVなどに取り上げられ、テレビ東京「なないろ日和」にてレギュラーコーナー担当。また、自身が監修したアプリ 「マル見え心理テスト」はTBS 「王様のブランチ」 などでも紹介され、120万DL。著書『生まれた日はすべてを知っている。』(河出書房新社)。