その肌荒れ「お薬に頼るタイミング」かも。化粧水がしみる、ヒリヒリする…なら「おくすりサイン」

肌あれの対処法を正しく知っている人は意外と少ない…

季節の変わり目や乾燥によって肌あれを感じる方は少なくありませんが、マスク着用が当たり前の生活になる中、肌あれを日常的に感じている方が増加しているという調査結果が出ました。そんな背景をふまえ、「肌あれへの対処」をテーマに調査を実施。

結果をもとに、肌あれのレベルごとの正しい対処方法について、皮膚科医の原みずき先生のお話をご紹介したいと思います。

⒞Shutterstock

<調査概要>
・調査内容:「肌あれへの対処」に関する調査 ・調査期間:2021年6月18日~21日・調査方法:インターネット調査・調査対象:マスクを常用しており、かつ1年以内に肌あれを経験したことがある20~40代女性500名(年代人口構成比割付)
※調査結果は、小数点第1位を四捨五入しています。そのため、単一回答のパーセンテージの合計が100%にならない場合がございます。

マスク着用で肌あれしやすくなった人は7割超え

「マスクを常用するようになってからの肌の状態」を聞いたところ、73%が「肌あれしやすくなっていると感じる」と回答。<図表1>

また、「肌あれが悪化しやすくなっていると感じる」と回答した人も6割超(61%)!マスク生活により肌あれの深刻化を実感している人が多いということが明らかになりました。<図表2>

マスクを長時間着用することで、蒸れる→擦れる→あれるという肌にとって負のループが起こってしまいますから、これだけ多いというのも納得ですよね。

「治療薬」を使うべき症状を「スキンケア」で対処する人が多数

続いて、肌あれの症状別に「症状が生じた際の対処の有無」および「対処方法」について質問しました。

その結果、「かぶれ」や「ただれ」などの症状にならない限りは、「スキンケア」での対処にとどめる人が多く、市販薬・処方薬といった肌あれの「治療薬」で対処する人が少ないことがわかりました。<図表3>

「化粧水が沁みる」という症状から下はすべて、肌において「炎症」が起きている状態であり、本来は治療薬での対処が必要です。

今回の調査で、本来治療薬を使うべき多くの症状において、「スキンケアのアイテムを変える」ことで対処している人が多いということがわかりました。

炎症が起きている肌に、市販薬や皮膚科の処方薬などの「治療薬」で正しく対処できている人が少ないという現状が浮き彫りになりました。

治療薬に「ハードルを感じる」人が5割超!

こうした結果をふまえ、肌あれにおける「治療薬」のイメージについても調査しました。

「肌あれの治療薬を使用することに対して、ハードルを感じたことはありますか?」と聞いたところ、実に51%が「ある」と回答。<図表4>

そこで、前問で「ある」と答えた人(257名)に、「治療薬の使用に関する認識やイメージ」を聞いたところ、57%が「治療薬を入手するのは面倒だと思う(皮膚科への予約や通院が必要など)」と答えたほか、53%が「治療薬を使うべきタイミングや症状がわからない」と答えました。

処方してもらうことを面倒に感じる人、どのくらいの症状になったら治療薬を使用すべきかがわからない人が多いと言えそうです。

肌あれの治療薬を使用した人は、約8割が「改善スピードが早まったと実感」!

一方、「これまでに肌あれを自覚した際、治療薬を使用したことがある」と答えた人(273名)に、「治療薬を使用したことで、肌あれの改善スピードが早まった実感はありますか?」と聞くと、約8割(78%)が「ある」と回答しました。<図表5>

ハードルを感じる人が多い治療薬ですが、肌あれを早く改善するうえでは、治療薬が有効な対処法ということがわかりますよね。

化粧水がしみる、ヒリヒリする、赤くなる…なら「おくすりサイン」!

このような調査結果をふまえて、肌の状態ごとの正しい対処について、皮膚科医の原みずき先生にお話をうかがいました。

原みずき(はらみずき)先生
皮膚科専門医(日本皮膚科学会認定)/ みずき皮膚科クリニック院長 
東京女子医科大学医学部を卒業後、皮膚科を専門に研修を積む。一般皮膚科を中心に皮膚科全般、美容皮膚科についても経験を重ね、2019年に「みずき皮膚科クリニック」を開業。皮膚科専門医としての知識や技術はもちろん、女性ならではの目線も大切にしながら診療に携わっている。また、『東京スポーツ』『女性自身』など、メディア出演も多数。みずき皮膚科クリニック https://www.mizukihifuka.com/clinic/

マスクを日常的に着用する生活が定着して以降、肌あれに悩む患者さまが増えています。特に、これまでマスクをする習慣がなかった方が、マスクによる「擦れ」や「蒸れ」で肌あれを実感して来院されるケースが多い印象です。
しかし、「肌あれ」とひとくちにいっても、症状の種類や深刻さには違いがあります。いくつかの症状が重なって出てきたり、人によっては症状が出る順番に違いがみられたりすることもありますので、あくまでも大まかな目安となりますが、今回は「症状が出始める」タイミングに注目して、以下の5つのレベルに分類しました。この「肌あれレベル」によって、とるべき対処が変わってきます。

特に大きなポイントと言えるのが、肌において「炎症が起きているかどうか」という点です。炎症が起きていなければスキンケアで対処可能ですが、炎症が起こっている場合は、「スキンケア=化粧品」ではなく、「治療薬=医薬品」で対処する必要があります。
そのうえで注目したいのが、Lv2の症状への対処です。昨今は特に、マスクの擦れなどにより、「化粧水がしみる、ヒリヒリする、赤くなる」といった、Lv2に該当する症状を訴える患者さんが増えていますが、今回の調査では、Lv2の状態で何らかの対処をしようとする人の多くがスキンケアで経過をみていることが多いとわかりました。しかし、これらの症状は、「すでに炎症が起きはじめている」状態であり、「スキンケア(化粧品)」だけではなく、「治療薬(医薬品)」による対処が必要になる可能性があります。皮膚科でも、Lv2のような状態を確認した場合は「炎症」と判断し、治療薬を処方することが多いです。「化粧水がしみる、ヒリヒリする、赤くなる」などの症状は、治療薬を使い始める「おくすりサイン」であると覚えましょう。
なお、今回の調査では、直近1年以内にLv2の症状を経験した人のうち、約7割(67%)と大多数が、治療薬による対処をおこなっていないという結果になりましたが、これは「おくすり」を使うタイミングを見誤っていることになります。仮にスキンケアだけで一時的に治ったとしても、繰り返してしまう、重症化してしまうリスクがあります。ご自身の対処で症状が軽快しない場合は、皮膚科の受診をおすすめします。

「市販の医薬品」を使用するという選択肢も!

また、今回の調査では、「治療薬を入手するのは面倒だと思う(皮膚科への予約や通院が必要など)」と答えた人が57%にのぼりました。もし、「化粧水がしみる、ヒリヒリする、赤くなる」=「おくすりサイン」を自覚しても、皮膚科に行く時間や余裕がない場合は、処方薬でなく、市販の治療薬を選択する方法もあります。ただし、それでも改善しない場合、あるいはLv3以上の症状になった場合などは、早めに皮膚科を受診するようにしましょう。

 

いかがでしたか?もしかして自分の肌状態はお薬に頼るタイミングなのかも…と気づいた方もいるのではないでしょうか。ドラッグストアなどで手に入る市販の医薬品には、テクスチャーの種類やお値段もざまざまです。医薬品を取り扱うお店には、薬剤師さんがいるので、悩んだときは相談して自分の肌にピッタリなお薬を選びましょう。

構成/鬼石有紀