富裕層の消費が戻ってきたという2013年。
富裕層の中でも、雑誌掲載された3000万円の時計をサッと買うような『Precious』の読者は、自分たちで仕事を持ち、積極的に社会と関わっているアクティブな人たちということが前回の記事でわかりました。
前回のインタビューはコチラ→ Precious編集長が断言!「富裕層の“消費マインド”は完全に戻った」
身近にいないとわからない、アクティブ富裕層の彼女たちは、いったいどういうメンタルで生活をしているのか。『Precious』『Men’s Precious』の鈴木深編集長に、さらに詳しくお話を聞きました。
Woman Insight編集部(以下、WI) 富裕層の中でも、自分でお金を稼いでいて、なおかつ消費欲もある『Precious』読者のような人たちを、勝手にアクティブ富裕層と定義してみました。他にどんな特徴があるのか、教えてください。
鈴木編集長(以下、鈴木) 基本的に元気が良くて、アウェーの状況に強いですね。知らないことは知りたいし、やったことがないことはやってみたい。「乗馬って面白そう、やったことがない」っていうときに、友達のツテとかがなくても「よくわからないけど、とりあえずココ行ってやってみようかな」って思える、いい意味での能天気さがある。
WI 積極的なんですね。
鈴木 そうです。今の若い子たちって、アウェーの状況が苦手ですよね。すごくおしゃれでエルメスに興味があっても、場違いと感じるのか「エルメスのお店に入ったことがない」って言う子も多い。そういう子がけっこういるんです。その点『Precious』の読者のマインドは、もし同じ状況でも「エルメス素敵だよね。持ってないけど、とりあえずお店で触ってみよう」って見に行ってみる。そういう意味でアウェーに強いんです。
WI 鈴木編集長は『Precious』の前は『Oggi』の編集長をされていましたが、読者のマインドの一番の違いはなんですか?
鈴木 『Oggi』の読者は堅実で、吟味して吟味して、今どれが一番役に立って、自分にとってメリットがあるかを考え抜く、「簡単に何でも買わないぞ」っていう人たち。『Precious』読者は、そういった費用対効果の高い「いいもの」は買い尽くしている。でも「もう持ってるからいいわ」とはならない。「もっと素敵になるには、何を持ってたらいいの」というところで、未知の世界に飛び込んでいくんです。例えば、時計なら「カルティエの名品は持ってる、本格機械式時計のパテック フィリップも買いました」という女性。でもそこで止まらずに「そういえば宝飾時計っていう世界もあるわね」と気づいて、「次はハイジュエリーブランドの時計を買おう」と、なるわけです。成金的な買い方はしないんだけど、新しいイイものをもっと知りたい、自分の世界を豊かにしていきたい、という気持ちが強いんです。だから「これはイイものだ」と納得すると迷わず買うし、リピーターにもなりやすいです。
WI 2013年にヒットした企画で印象的なものはありますか?
鈴木 僕は『MEN’S Precious』の編集長も兼任しているのですが、ブリッジ企画(※2誌にまたがってやる企画)が盛り上がりましたね。「ジャガー・ルクルト」の別冊時計付録だったり、パテックフィリップのカレンダーだったり、2誌にまたがって同じ付録を入れたのがすごくウケました。
WI 『MEN’S Precious』の読者と『Precious』読者は似ているんでしょうか?
鈴木 厳密に読者同士でなくても、『Precious』読者のパートナーは『Men’s Precious』のテイストの人であることが多いです。基本はどちらも「大人のラグジュアリー」なので、ブリッジ企画もうまくいくんです。
WI そんなアクティブ富裕層である『Precious』読者が、服飾以外で積極的にお金を使っているものは、他にありますか?
鈴木 化粧品ですね。いっときのボトックスやヒアルロン酸を打ちまくる……といった、プチ整形的な熱は収まっています。やっている人ももちろんいるけれど、そこに依存した形ではなくなっていますね。
WI 高機能化粧品も増えていますよね。
鈴木 そうです。高機能化粧品のすべてが良いわけではないけど、いいものを見極めて使えば、きちんとケアはできるということを『Precious』の3月号で大特集します。
WI 2014年はビューティを強化する年ですか?
鈴木 そうですね。日本は「若いほうがいい」っていう幼稚な男性も多いから、それに女性もつられがちですが、年を重ねて素敵になることってあるんです。表情の豊かさもそうだし、ちょっとしたユーモアや知性、良いことも悪いことも知った上での柔らかさなどもそうです。女性のキャラとしてのオーラってあると思うし、若く見せることばかり考えるよりも、長所を磨くべきだと思う。大人はやっぱりそこで勝負すべきじゃないかなと。大人の女性の柔らかさ(=女らしさ)っていうのは、ファッションでも2014年のテーマにしていく予定です。
知性や経済的余裕、社会的地位などの自信によって裏打ちされた『Precious』読者は、人生をより華やかに彩るために、上質のラグジュアリーを求めて雑誌を読み、行動する。でも目の肥えた、知識も持った女性たちを満足させるには、雑誌側も本気で提案をしていかないといけない。『Precious』は、そんな雑誌と読者が緊張感を持った関係で作られているのだと感じました。
次回は、いよいよ2014年、鈴木編集長が『Precious』読者にどんな提案をしていく予定かこっそり教えてもらいます!(安念美和子)
(『Precious』2014年2月号)
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