Precious編集長が断言!「富裕層の“消費マインド”は完全に戻った」

「富裕層」と聞くと「すごくお金持ってるんだろうな」とは思うものの、具体的にどんな人たちなのかイメージしづらいですね。ファッション情報誌『Precious』に関して、2013年こんなエピソードが話題になりました。

「『Precious』に掲載された約3000万円の腕時計を即決で買っていった読者がいたらしい」

雑誌の掲載商品がヒットしたという話はちょこちょこ聞くものの、3000万円はさすがに衝動買いという額ではありません。『Precious』読者って、どんな人たちなんでしょうか? 『Precious』『MEN’S Precious』の鈴木深編集長にお話を聞きました。

Precious編集長が断言!「富裕層の“消費マインド”は完全に戻った」

 

Woman Insight編集部(以下、WI) 3000万円の時計を買っていかれた方のお話を、詳しく教えてください。

鈴木編集長(以下、鈴木) ブランドは「ブレゲ」だったんですが、その方は、はじめは「『Precious』で見たコレが欲しいんですが」と、700万円くらいの時計を指名したそうです。でもその商品が店頭になく、店員の方が『Precious』に掲載された他の時計を薦めたところ、「これもいいわね」ということで、その場でお買い上げいただいた。その時計のプライスがなんと3000万円弱だったんです。

 

WI 700万円の時計を買うのもすごいことですが、それが3000万円の時計になっても「いい」と思ったら即断するところに、すごく余裕を感じますね。どんな方だったんでしょうか?

鈴木 時間がたくさんあるようなマダムではなくて、本当に「仕事の合間に来ました」っていう雰囲気の上品でシンプルな方だったそうです。買い方も、店でサロン的にくつろいでゆっくり話をしながらではなく、本当にススッと店頭にいらして、パッと買っていかれたと。

 

WI 『Precious』読者はお金持ちのマダムというより、ご自分で稼いでいらっしゃる方が多いんですか?

鈴木 そうです。社交界の繋がりをゆったりと楽しんでいるマダムではなく、自分で働いて社会に関わっている人が多いです。ご本人が事務所をやっている公認会計士とか、医師とか、そういう職業の方が目立ちますね。そして、とにかくお金を持っている。

 

WI そういった富裕層の方の消費行動は、2013年はどんな感じだったんでしょうか?

鈴木 ハイブランドの調子がよかったですね。高額のジュエリーや時計が売れました。この2年くらいそんな流れでしたが、2013年は特に顕著でした。

 

WI その前と何が変わったんでしょう?

鈴木 3.11の震災以降、自粛ムードとか「モノじゃなくて心でしょ」っていう風潮があったと思うんですね。でも、40代以上のバブルを知っている世代は、お金を使わずにいられないんです。「もっといいものを手に入れたい!」という本来の気持ちが強いので、そこに戻ってきた感じです。

 

富裕層をターゲットとしたハイブランド市場は完全に調子が戻ったという2013年。とはいえ富裕層といっても広い中、自分でも稼ぐ力があり、ケタ違いのお金を持っている40代の女性たち。そんないわゆる“マダム”とは違う『Precious』読者と消費の関係について、次回はもう少し掘り下げていきます。(安念美和子)

 

Precious2014年2月号表紙(『Precious』2014年2月号)

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