押切もえが書いた小説『浅き夢見し』が売れている。8月の発売以来版を重ね、10月2日に四刷りになることが決まった。累計で2万2千部となる。
「有名作家の新作でも数千部しか売れないことも多い」と言われるハードカバーの小説単行本だけに、「モデルが書いた処女小説」の評価は上々だ。
本人に今の気持ちを聞いてみた。
(著作について語る押切もえ)
「私が小説を書くことに意味があるのか、悩んで書けなくなったこともありました。リアルさを追求していったらエッセイみたいになってしまったり、フィクションとしての物語との兼ね合いが難しかったです。でも、書き終えられてよかった。読者の方から“元気が出た”とか“悩んでいたことがあったけど背中を押してもらえた”とか感想をいただき、すごくうれしかったです」
売れないモデルが芸能界の荒波にもまれながらも少しずつ栄光をつかみとっていく、というストーリーは、「さすがにモデル本人が書いているだけあってドキリとするほどリアル」という声が多い。
しかし、ここまでモデル業界の裏側を書いてしまうと、もう書くことがなくなってしまうのでは?と余計な心配もしてしまう。次回作もあるのだろうか?
「はい、2作目に書きたい話がもうあります。女性が働く、ある業界についての物語で、実は今日もこれから取材を兼ねて、その業界で働く友達と食事に行くんです。恋愛の話よりも、今は女性の仕事の話をいろいろ書いてみたい。モデルもそうですが、そこそこ狭い世界に女性が集まると、ドラマが生まれます。そのドラマを書いていきたい」
そう語る表情は、まさに「作家」の表情。モデルがお遊びで小説も書いてみた、ということではないようだ。今後も「小説家・押切もえ」から目を離せそうにない。
『浅き夢見し』押切もえ(小学館/1,260円)