「勝手な遠慮は、結果的に相手を傷つける」押切もえインタビュー

2月26日、モデル・タレントとして活躍する押切もえさんが、初の短篇連作集『永遠とは違う一日』(新潮社)を刊行。

『小説新潮』で短篇を連載しているときから、その完成度の高さが話題でしたが、単行本化するにあたって本人の意向で大幅に改訂。恋愛に仕事に立ち止まる女性の背中にそっと寄り添ってくれる、美しい作品が誕生しました。

 

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前回は取材先での出会いに「書きたい」衝動が突き動かされたエピソードをご紹介しましたが、実は執筆活動中に、大変だったこともあったようで……。今回はインタビューの後編をお送りします。

 

Woman Insight(以下WI) 初の連載ということで、プレッシャーや焦りはありましたか?

押切もえさん(以下、押切) 私は隔月連載だったので、月刊連載していらっしゃる他の方に比べたら余裕があるほうだと思うのですが、それでも「締め切りに間に合わないかもしれない」と思う瞬間は何度かありました。書き始めのころは表現も今よりずっと固いし、「短ければ短いほどいい」と言われても、あれもこれも書きたいからどうしても長くなってしまったり。阿川(佐和子)さんが「短編は筋トレよ」とおっしゃっていたのですが、まさにその通りでした。

 

WI 単行本にするにあたって、さらに大幅に書き換えたんですよね?

押切 やっと筆が進むようになって、担当編集の方に「文体ができてきましたね」と言っていただいたのが、(6話中)5話か6話あたり。そうすると、これまで書いたものも大幅に書き換えたくなっちゃうんです。最後、まとめる段階になってかなり直しました。あまりに直すから、編集の方も引いてたんじゃないかな(笑)。「もうこれは別の話ですね」「新しい物語を書いているレベル」って、ちょっと青くなってらっしゃいました。