やらなきゃよかった。「食べないダイエット」で17kgやせた女の末路

今も病気と格闘中…|食べないダイエットで17kgやせた女の末路

“食べないダイエットは危険”。ダイエッターなら一度は耳にしたことがあるセリフですが、みなさんは食べないダイエットをしたことはありますか? 極端な食事をせずとも、適度なカロリー制限と効果的な運動を取り入れればやせる方向にシフトしていくことはわかるけれど、短期間で結果を出すためにはこれしかない…と、食べないダイエットに足を踏み入れそうなそこのあなた! ちょっと待って!! あなたが考えるよりも、食べないダイエットの弊害は大きいんです。

今回は、実際に食べないダイエットをして成功と同時に失敗をしたライター・平岡が、経緯と弊害をお伝えします。

1年で10kg太った体重を戻したかった

私が激太りしたのは、大学1年生の頃。実家を出て一人暮らしを始め、好きな時に好きなものを食べられる生活がスタートしました。ありがたいことに、家賃も交通費も教材費も、充実した大学生活を送るために必要なお金は両親が用意してくれていたため、バイト代は好きなことに使い放題。毎日の買い食いが定番化していた上に、食べ物はほとんどコンビニ弁当やスーパーのお惣菜でした。

その結果、当たり前ですが体重が増えました。その重量、1年で10kg増。明らかに洋服が似合わなくなってきた。…ということで、一念発起してダイエットをスタートさせたのです。

数字が減るのが楽しくて、偏った食生活が始まった

とはいえ、「ダイエットを意識しすぎると、かえって爆食いをしてしまう」という自分の性格をよくわかっていたので、やせようと思いすぎるのではなく、健康的な生活を意識するようにしました。「お風呂に入る前に筋トレをする」「寝る3時間前からは固形物を食べない」など、とても基本的なことからスタート。すると、徐々に体重が落ちていきました。元々の生活習慣が壊滅的だったので当たり前といえば当たり前ですが、体重計に乗る度に数字が減っていくのはゲーム感覚で面白く感じました

…ただ、いつしか食事の内容は極端になっていき、偏った食事ばかりをするように。

当時の食事内容例を再現したものがコチラです。

■朝

キャベツ、納豆

■昼

コンビニサラダ、おにぎり

※休みの日は10時頃起床することが多かったため、ブランチとして前述した朝ごはんメニューを食べていました。

■夕食

キャベツ、絹ごし豆腐、大量の韓国のり

キャベツと豆腐と納豆で生きていると言っても過言ではありません。夕食は抜くこともあり、1日1食、2食の日も珍しくありませんでした。プラス毎日30分の筋トレと登下校でトータル45分歩いていたおかげで、1年半後には-17kgの減量に成功。個人的には「イケてる!」と思う体重まで落とすことができました。ただし、その弊害は確かに存在していたのです

「食べないダイエット」で直面した5つの弊害

弊害① 体力がなくなった

今日は課題を片付けに図書館へ行こうと思い立ち、いざ電車に乗って学校へ向かってみたものの、到着したときにはすでに疲労困憊。身体的にも精神的にも課題ができる状況ではなく、何もできずにとんぼ帰りしてくるということがよくありました。最寄りのスーパー(片道徒歩10分)の往復だけでも疲れてしまい、その後は何もできず横になっていることも。体力の低下を感じざるを得ませんでした。

弊害② 食べることへの恐怖

体重を落としたところで、「ダイエット食」ではない食事に徐々に戻そうと思ったときのこと。これまでしばらく食べていなかったものを食べることに、若干の恐怖心を覚えるように。「これを食べたら太ってしまうのではないか」そして「少しくらいなら大丈夫でも、これでタガが外れて過食に走ってしまったらどうしよう」という不安は、いつもついてまわっていました。

弊害③ 体脂肪率は減らない

実は、食事はあんなに減らしていたものの、どうしてもお菓子だけはやめられなかった平岡。爆食いはしないにせよ、体重が増えない範囲でたっぷり脂質は摂取していました。また、毎日大量に食べていた韓国海苔も、海苔だからヘルシーそうに見えるものの、しっかりと油をまとっています。その結果、体重が減っても体脂肪率は30%前後をうろうろするだけにとどまりました。お腹にはつまめるお肉がたっぷりです。

弊害④ 病気になった

体重が17kg減った頃、急に耳の調子がおかしくなりました。自分が声を発する度、そして何か音を聞くたび左耳の中でカラカラと音が鳴るのです。まるで耳の中に鈴が入っているようでした。急いで耳鼻科を受診すると、突発性難聴の診断が下りました。その後、病状が変化し急性低音障害型感音難聴耳管開放症という病気に。前者は女性に多いストレス性の病気で、低音域の聴力が低下するもので、主治医によると、大学生女子に多い原因として恋愛・就職・ダイエットが挙げられるそうです。当時就活生でもあった平岡。就活での悩みはそこまで大きくなかったのですが、知らず知らずのうちに精神的なダメ―ジがきていたのかもしれません。加えて、偏った食生活で身体にも負荷を与えてしまった結果、病気になりました。主治医によると、後者は短期間で体重を変動させすぎたことが影響したのではないかとのこと。低音難聴のほうは改善しましたが、耳管開放症のほうは現在も再発と寛解を繰り返しています。

弊害⑤ やせにくくなった

当たり前ですが、極端な食事をして手に入れた体は、食生活を戻せば元に戻ってしまいます。現在再びダイエット中ですが、とにかく体重が落ちない!! 一度食べないダイエットをするとリバウンドしやすくなる、落ちにくくなるという話はよく聞くけれど、身をもって実感しました。

「俳優が役作りのため短期間で体重を落とす必要がある」のように、なんらかの理由で短期間で体重を落とさなければいけないという方は仕方がないかもしれませんが、一般人の私にとって、短期間で体重を落とすメリットはそこまで多くなかったはず。生涯体型をキープすることを念頭に置いて、長期的な視点を持ってダイエットをするべきだったなと思います。

目先の数字に執着してしまう気持ちは痛いほどわかるけれど、食べないダイエットをしてたくさんの弊害と生きるようになった平岡からすると、「食べないダイエット」は本当に危険です。「いや、私はなんともなかったよ」と同じことをしても何もない人もいれば、もっと悪い方向に行ってしまう人もいるかと思いますが、読者の皆様にはぜひ健康的にやせることを意識してほしいなと思います。(平岡あおい)

▼「ほとんど飲み物で1か月過ごして目標体重はクリアした。…でも、キレイにはなれなかった」深田えいみさんの話。

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