ヒット企画からOggi編集長が紐解く、働く女性の”いまどき”のリアル

Woman Insightでも紹介した記事が大人気だった、エディター三尋木奈保さんは、加藤編集長のインタビューによると、『Oggi』読者からも絶大なる支持を得ているようです。さらに、人気だった企画を聞いていくと、現代の働くアラサー女子が好む“男性像”も見えてきました。

★インタビュー1回目→ Oggi編集長が2014年を振り返り。「キーワードは”ネイビー”そして”エフォートレス”」

 

Woman Insight(以下、WI) 『Oggi』で2014年に人気だった企画を教えてもらえますか?

加藤編集長(以下、加藤) 7月号の「大人が満足!『かわいい値段』の極め方」特集が、読者に好評でした。これは、エディターの三尋木奈保さんに責任編集していただいた企画で、三尋木さんのフィルターを通した、“チープじゃない、大人が満足できるかわいい値段”という部分が良かったんだと思います。また、11月号の「スパイス・ブルゾン」に注目した企画、1月号の「三尋木さんの冬ベーシック最新版」など、三尋木さんの視点で発信する企画は、年間通して人気でした。

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↑2015年1月号、「三尋木さんの『マイベーシックノート』最新版」より。

 

WI 三尋木さんの企画が読者の人気を受けている理由は、どんなことだと思いますか?

加藤 読者の方は、ただ「この商品が流行っている、有名人が持っている」というよりは、商品を納得して買いたいのかなって思います。三尋木さんは、すごく論理的な人で、なぜこの商品をよいと思うのか、それがどうライフスタイルに活きるのか、という説明がしっかりできるんですけど、つまり三尋木さんのように商品を熟知しているプロから説明されて、自分で納得できる服を選びたいのかなと思っています。

マイ ベーシック ノート 表紙

↑会社員を経て、ファッションエディターになったこともあり、働く女性のリアルな物選びに定評あり。初の著書『マイ ベーシック ノート「ふつうの服でおしゃれな感じ」のつくり方』(小学館/1,400円+税)は、なんと10万部を突破!

WI いいものを見極めたい、買い物で失敗したくないという気持ちの表れでしょうか?

加藤 そうだと思います。11月号で「旬丈スカート着こなし”Do & Don’t」という企画で、バランスが難しいミモレ丈やひざ丈スカートをすっきり着こなすために、やってはいけない着こなし例も紹介したんです。小さな企画ではありましたが、それがすごく人気だったことにも読者の気持ちが表れているように思います。『Oggi』が提案する、シンプルで働く知的な女性を目指す人に「これはしてはいけない(Don’t)!」ときっぱり言ったのが、良かったのかもしれません。もしかしたら、「これがいいよ」と同じぐらいの分量で「これはダメだよ」と伝えたほうが、読者の方も喜んでくれるのかもしれないな、とちょっと考えてます。

WI 「いいよ」と提案したものから選ぶより、「Don’t」と言われた商品を外して選ぶほうが、逆に選択肢もぐんと増えますよね。ところで、働く女性が多い『Oggi』読者ですが、恋愛に対してはどんな意識を持っていますか?

加藤 好まれているのは、顔よし・性格よし・仕事っぷりよしの「モチ男(ダン)」(“モチベーションを上げてくれる私の周りの男性”という意味)。10月号で、このモチ男を載せたところ、とても人気でしたね。Oggi読者には、ギラついている男性よりも、清潔感やさわやかさがある男性のほうが好まれる傾向にあります。デートも、気合いを入れてシャンパンを飲む……というよりは、おしゃれなカフェのテラスでホットワインを飲むという、ちょっと“抜け”のある感じのほうが、最近は好きみたいです。

WI 恋愛においても“抜け感”ですか?

加藤 ファッションの質感も色味も……生き方も、すべてにおいて“重いもの”がアウトなのかもしれませんね(笑)。昔のキャリアウーマンにとっては、働くことがとても特別なことで、仕事にも力が入って、プライベートも一生懸命という時代だったかもしれませんが、今の女性は“働くのが当たり前”だから、毎日気張り過ぎたら続かないよね、みたいなところがあるのかもしれませんね。恋愛といえば、2015年1月号の「男のホンネ。77問77答」企画も、かなり人気でしたね(笑)。

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↑2015年1月号「男のホンネ77問77答」より。

 

WI これは、Woman Insight編集部のスタッフにも人気でした(笑)。男性に関するデータをまとめた企画は、『Oggi』では今までになかったものですよね?

加藤 なかったですね。この企画が人気だった理由のひとつに、最初のページに登場している男性のプロフィールが、いわゆる出たがりっぽい感じの男性ではなく、Oggi読者的に好感度が高くて、知的で年収も高い人たちだったのが良かったみたいです。あとは、この企画の中で密かに人気だったのが、「メール内『男心』連絡網」という、男女のメールのやり取りから見えてくる、男心を探る連載から派生した企画です。もう10年以上も続いている連載の企画なのですが、投稿でいただいているもので、本当に興味深いものばかりです。まさに“事実は小説より奇なり”、ですよね。

WI データでいうと、12月号の「働く女子の年収ビッグデータ」も個人的には興味深かったです。

加藤 働く女性にとって、他人の収入は気になるけど、表だって、なかなか人に聞けない話ですよね。「知りたいけど聞けない」それを根掘り葉掘り調査して発表するのも、雑誌の役割だと思っています。

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↑2014年12月号、「働く女子の『年収』ビッグデータ」より。

 

WI その企画を見て驚いたのは、Oggi読者の皆さん、かなり収入も預金額も高いですよね。

加藤 実は、アンケートに答えてくれたOggiブレーンは、正社員の方が多く、最前線で働く方々の集計データになっています。世間一般的なデータより収入など高くなりましたが、すべてリアルな数字なんですよ。

WI 実際にお会いした読者の方で、印象的な方はいらっしゃいますか?

加藤 毎月、いろいろな職業の働く女性にお会いしますが、そのなかでも特に、IT系や外資保険で働いている方たちには勢いを感じますね。その方々は年収は高いのですが、バブル時代のようなギラついた感じはないんです。あるIT系会社で働く女性が印象に残っていますが、見た目はボーイッシュ、ファッションもすごくシンプルで清潔感があって、“いい感じ”の雰囲気がありました。シンプルなものほど質の良さが出ますよね。聞いてみると、身に着けているものはすべて上質で趣味のよいブランドでそろえていらっしゃいました。流行に流されず、自分に似合うものを知っていて、そういう人がこれからの新しいおしゃれのリーダーになると思いましたね。

 

誰もがひと目で見てわかるブランドのファッションではないけれど、自分が心地よく着られる、そして自分のモチベーションを上げてくれる上質なものをさらっと着こなす人たちは、女性たちの憧れでもありますよね。最終回、Oggi編集長・加藤さんの“野望”を、Woman Insightだけに話してくれました。(さとうのりこ)

 

★インタビュー1回目→ Oggi編集長が2014年を振り返り。「キーワードは”ネイビー”そして”エフォートレス”」

 

【編集長インタビューシリーズ】

※CanCam編集長が振り返った2014年の流行アイテムは……「○○靴」「○○ストッキング」「○○アクセ」etc.

 ※AneCan編集長が見通す2015年。”万人受けファッション”の次に来るもの

※ヒット企画連発、Domani編集長が予測する2015年春夏ファッションの行方

※Precious編集長インタビュー「2014年は○○の流行がラグジュアリー世代に新しい価値観を……

※「メンズの2014年は”○○○”一辺倒」MEN’S Prescious編集長インタビュー

※『和樂』編集長が的中させた2014年の大ブーム「○○文化」とは

※SAKURA編集長が解説する、今どきママが大切にする「3つの軸」。

※NO.1美容誌『美的』編集長が語る、読者が求める”大人の色っぽさ”とは

 

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