映画『溺れるナイフ』の現場で起こる「化学反応を楽しみたかった」【小松菜奈×菅田将暉】

伝説的少女コミックを最旬キャストで贈る、映画『溺れるナイフ』が大ヒットスタート!

小松菜奈さんと菅田将暉さんを主演に迎え、日本映画界最注目の新鋭・山戸結希監督が、気高く危うい10代の破裂しそうな恋と衝動を描き、めまいがするほどのときめき、そして痛みと歓喜が全身を貫きます。

今回は主演のふたり、小松菜奈さんと菅田将暉さんの超ロングインタビューを数回にわたってお届け。17日間に及んだ撮影期間は、小松さんにとって、かなり大変な現場だったとか。そんな彼女のそばで支え続けた菅田さんとの特別なエピソードが満載でした。

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おふたりは『ディストラクション・ベイビーズ』で共演されていますが、それとは全く違う役柄で、今回はカップル役での共演ですが、切り替えはすんなりとできましたか?

菅田将暉さん(以下、菅田) 『ディストラクション・ベイビーズ』の方が楽な関係だったし、それを経て『溺れるナイフ』という流れでよかったと思います。前作では実際に殴り合っているんですけど、今回は“心で殴り合う”という感じ……と言うとよく聞こえるかもしれないですけど(笑)。

小松菜奈さん(以下、小松) 私もこの順番でよかったなと思います。『溺れるナイフ』は、また別の精神力を使ったので、菅田さんに頼らなければいけないというか、すごく頼らせてもらった部分はあります。『ディストラクション・ベイビーズ』のときは、役では仲がいい関係でもないし、現場でもほとんど喋ってなかったんです。前回はそれでもよかったけど、『溺れるナイフ』では、共演者の方やスタッフさんに、支えてもらわないと生きていけなかった状態でした。撮影当時19歳で、そのタイミングで『溺れるナイフ』が撮れてよかったと思います。

 

具体的にはどんなふうに支えてもらったのですか?

小松 菅田さんって、漫画から出てきたような……まさに“コウちゃん”じゃないですか(笑)。見た目もそうだし、目線とかも。

菅田 僕、あんな感じか?

小松 コウちゃんほどではないですけど、追いかけたくなる感じ、テレビや映画に出ていてもなんか目を引く存在というか。主役を支える役でも、自分の存在もきちんと残すような……そういう人なんです。だから現場でも、コウちゃんとして助けてくれて、コウちゃんとして存在してくれたから、私はただただコウちゃんを必死に追いかける日々だったんです。私はみんなより早めに現場に入って撮影をしていて、言葉にできないほど大変な現場でした。

菅田 僕は、小松さんが先にインしてますという状態で現場に入ったんです。ホテルに着いて、一体何があったんだ!?と思いましたが、でもそのとき“予感”がしたんです。「身を削る現場なんだな」と。物語のストーリー的にも、夏芽とコウちゃんが出会い、夏芽がコウちゃんを追いかけて、追いついたり離れたりしつつ……という感じですが、夏芽としては、その中でケンカしたり、振り回されたり、追いかけたりしなくちゃいけなかったから大変だったと思いますね。

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菅田さんが「身を削る現場」とおっしゃっていましたが、これまで経験した中でも、独特な作品と監督だったと思いますが、山戸結希監督とのお仕事はどうでしたか?

菅田 ふたりにとって、すごくいい経験になったと思います。小松さんの姿が、『共喰い』(映画)を撮っていた19歳のときの自分と重なるんです。そのときの僕なんてあんなもんじゃなかった……毎日怒られて、わけもわからず生きていたから。ただ僕は今回、小松さんを「支えよう」というよりも、ふらついたときに手がつける場所になれれば、とは思いました。10代の衝動を描いた作品で、現場ではそのときに起こった出来事を撮っていて、キレイに順番通り「よーいスタート」では撮れなかったんです。

小松 パンフレットに載っている山戸監督の写真を見るとおっとりしてそうに見えるんですけど、実際は男性にも負けない精神を持っていて、「私は絶対これを撮りたいんだ」というのを曲げないし、それはすごく素敵なことだと思いました。あるシーンにすごく力を入れて撮影したりして。

菅田 だけど、その「いまこれをやらなくちゃいけない」という感じは夏芽っぽいよね。

小松 そうそう(笑)。現場では監督が“夏芽”って感じでした。特に、監督はコウちゃんのシーンにすごく燃えてたんです。

菅田 どっちが夏芽かわからなかったもん(笑)。「あれ、夏芽がふたりいる!?」みたいな(笑)。

小松 夏芽の台詞を言う監督を見ながら、監督が想い描いている「夏芽」ってこういう感じなのかなとつかめた部分もあります。ただ、前の日に台本を覚えて行ったら、台詞が変わっていて、しかも長くなることがあったし、「水」に関する場所にこだわりがすごくて、夏芽とコウちゃんが感情をぶつけ合う大きな池も、その場所での撮影の予定はなかったけど「ここがいい」という監督の意向で撮影場所が変更になりました。そうやって監督がその場で感じたことや思ったことに、たぶん“やってみないとわからない精神”があって。私もそれはすごくわかるんです。実は、菅田さんが台詞合わせを手伝おうか?と言ってくれたのに、負けず嫌いな部分が出たのか「いや大丈夫です」と言ってしまって(笑)。

菅田 「覚えられない!」「手伝おうか?」「いや大丈夫です」ってどっちなのって(笑)。

小松 それは、本番前に合わせると面白くなくなってしまうような気がして、だから現場での化学反応だったり、「こうやったら、コウちゃんがどんなふうにくるんだろう」と客観的に見るのもすごく楽しみだったんです。それが、何が起こるかわからない『溺れるナイフ』の現場ならではというか。自分が決めていくものじゃなくて、現場で起こること、そこで感じなきゃくちゃいけないものがすごく多かったので、本当に苦労はしました。しかも夏芽の感情の浮き沈みが激しい上に、順撮り(ストーリー通りの撮影)ではなかったので、どんな気持ちで夏芽がそこにいたかとか、気持ちのもって行き方にすごく気をつけて撮影していたんです。

菅田 今日はしゃべるね(笑)。普段こんなにしゃべる子じゃないんですけどね(笑)。

 

小松菜奈さんと菅田将暉さんのインタビューはまだまだ続きます。次回、明日公開予定。お楽しみに。(さとう のりこ)

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映画『溺れるナイフ』
TOHOシネマズ渋谷ほか全国公開中
http://gaga.ne.jp/oboreruknife/

■キャスト:小松菜奈 菅田将暉 重岡大毅(ジャニーズWEST) 上白石萌音 志磨遼平(ドレスコーズ)

■原作:ジョージ朝倉『溺れるナイフ』(講談社「別フレKC」刊)

(c)ジョージ朝倉/講談社 (c)2016「溺れるナイフ」製作委員会

 

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