小松菜奈、「お互いが燃え尽きあってしびれる現場は初めて」

伝説的少女コミックを最旬キャストで贈る、映画『溺れるナイフ』が大ヒットスタート!

日本映画界最注目の新鋭・山戸結希監督が描くのは、気高く危うい10代の破裂しそうな恋と衝動……それはまさに、新たなる青春ラブストーリーの金字塔を予感させます。

公開を記念して、主演を務めた小松菜奈さんと菅田将暉さんの超ロングインタビューを配信中。本作の前に『ディストラクション・ベイビーズ』で共演しているふたり。そこで「信頼関係が生まれた」という小松さんに対し、前回はわからなかった「小松さんのある姿」を初めて目にしたという菅田さん。その姿とは一体……。

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小松さんと菅田さん、そぞぞれが思う“相手のすごい部分”を教えてもらえますか?

菅田将暉さん(以下、菅田) 『ディストラクション・ベイビーズ』のときにはわからなかったんですけど、通常撮影の現場は、まずスタッフさんと監督がいてドライリハーサルをやって、カメラを置いてテスト、それから本番と、工程が3つあるんですけど、僕は、その最初の工程からあんなに泣いてる人を初めて見ました。夏芽って劇中終始泣いてるんです。撮影期間の17日間、毎日のように泣くシーンがあるのに、3段階の初めから泣くのか!?と思いました。まるで、小学1年から大学受験を始めるようなもんです(笑)。それぐらい「先はまだまだあるよ?」と思いつつ、全然止めようとも思わなかったんです。小松さんのような女優さんを、僕は久々に見ましたね。ただ、ドライから全力でこられると、自分自身も目覚めさせられるものもあって、特にスタッフさんには撮る画が見えやすくなるし。でもそれでいて本番は全然違ったりするから、これは狙いなのか?それとも自分でも抑えられない何かがあるのか?と。どちらにしろ、すごく面白い演者だな、タフだなと思いました。あの姿はすごく格好よかった。それに、どんなに大変な現場でもキャストが先陣切って滝に打たれようとしてるから、きっとスタッフの方も「ついていこう」と思ったはずです。

小松菜奈さん(以下、小松) どうしていいのかわからないんですよね。私、不器用なんです。本番で急に「感情を出せ」と言われても無理だし、そこにいくまでに溜めていかないとできないタイプ。急に、ボロボロ泣けるタイプじゃないし、むしろ吸収していっちゃうタイプなので、最初から感情を作っていかないと本番に泣けないんです。もちろん本番で涙が出なくなることもあります。「ドライでできて本番でできないなら意味がない」と言われたりするときもあるけど止められなくて……。うまく感情をコントロールできるようになりたいんですけど、なかなか難しいです。菅田さんは、最初のイメージは「クールボーイ」と思っていて、あまり喋らず黙々とやるタイプだと思っていました。『ディストラクション・ベイビーズ』で暴行シーンがあったのですが、感情的にも画的にも、実際に当てないと難しい部分があって、でもそうはいっても役者さんだし、女優だから「できない」とか、「わかりました」と言いながら本番ではやってくれないことがあって。だけど、菅田さんに「ちゃんと当てて(殴って)ください」と言ったとき、「もちろんその気でいたよ」という一言があって、「この人すごいな」って。本番でももちろん当ててくれて、それでお互いが遠慮せずに全力で演技ができると思ったんです。

菅田 あの一瞬でお互いのことがわかったよね。

小松 「この人だったらどんなことを監督に要求されても大丈夫」という信頼関係が、『ディストラクション・ベイビーズ』で生まれた気がします。『溺れるナイフ』での菅田さんは、現場にいても普通だし、すごく自由で、休憩中にギターを弾いたり、自分の時間を大事にしていて、自分がリラックスする方法も知っているんです。私はそこにいるのが精一杯ですごくテンパっているのに、菅田さんはそれを見せないだけなのかわからないけど、たたずまいだったり、監督が無理難題を言ってもあっさりやっちゃう。すごく柔軟性がある役者さんだなって思っていて、心から尊敬できます。キャラクターによってぜんぜん雰囲気が違うし、いつも髪型も洋服もこだわっていて、そのキャラクターをしっかりつかめていて素晴らしいなって、現場でいつも思っていました。

菅田 それは全部自己満足のためです。いかに自分が気持ちよく、楽しくカメラの前に立てるかというのがすべて。こだわりというよりも、たとえば役作りで痩せても、そこで自分が安心できないと意味がないし、不安だからやるだけなんです。『共喰い』以降、そうするようになりました。

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今回、中学生~高校生の役を演じられて、10代の繊細さだったりとか、不安定さみたいなところはどんなところに気をつけて演じられましたか?

小松 そっか……私、中学生の役をやっていたんだった。

菅田 中学生のシーンはちゃんと観てほしいです。僕ら4人(菅田さん、小松さん、重岡大毅さん、上白石萌音さん)だけ浮きまくってますから(笑)。

小松 中学生のテンションって、やっぱり「若いな」と思いましたね。

菅田 でもシゲシゲ(重岡さん)は上手だったね! 年齢関係なくムードメーカーなんですよ。爆笑をかっさらってたもんな。

小松 同級生?というぐらいに馴染み感がすごかった(笑)。10代って自分の気持ちの葛藤だったり、思春期や青春とかそういうのもあるし、その感情に自分も溶け込んでいかなきゃいけない時期。中学生から高校に上がるときには友だちも環境もすべてが変わりますよね。私もそうでした。中学校のときは、小学校からずっと一緒の子たちといて、高校はバラバラになって、新しい環境の中でどうやって自分の場所を見つけていくかっていうのはすごく自分の中で重要だったんです。でも勇気もいるし、努力もいるし、若さゆえの戦いみたいなのがあって……『溺れるナイフ』にもその瞬間が見つかると思います。普通の恋愛映画とは違い、人間の成長していく姿もあり、お互いを高めながら傷つけあって成長していく部分が描かれています。“胸キュン”と表現されていますが、私的にはそんな言葉では言い表せない。痛みに近い感情というか。私にとって特別な17日間で、あんなに全力を尽くせる場、お互いが燃え尽きあってしびれる現場は、『溺れるナイフ』が初めて。これからも忘れられない作品だし、あの現場が頭に焼き付いてる感じがあります。

 

恋愛をするにはしんどい相手ではありますが、夏芽がコウちゃんに引かれる気持ちは理解できましたか?

菅田 絶対、大友(重岡さんの役名)のほうが幸せだよね!

小松 夏芽は、東京でモデルをしていて、田舎でコウちゃんという自由な人間に会って、縛られることがないというか、自分が好きなように好きに生きている人の存在が衝撃だったと思うんです。それがすごく魅力的で、「生きる道をやっと見つけた!」というぐらい。大友には大友のよさがあって、一緒にいたら絶対に楽しくて、笑顔になれて、安定もある。だけどやっぱり若いときって、どちらかというと不安定さやミステリアスなほうに惹かれる……というのがすごくわかるんです。「明るくていい子よりは、ちょっと悪い男子がいい」みたいな。それは若さゆえのものというか。もちろん大友みたいなタイプは一途だし安心感はありますけどね。

菅田 婚活セミナーみたい(笑)。

小松 (笑)。コウちゃんには、夏芽が持っていないものが備わっていたので、そこに惹かれたと思うし、夏芽にはそれがすごく魅力的に見えたんだと思います。

 

小松菜奈さんと菅田将暉さんのインタビューはまだまだ続きます。次回、明日公開予定。お楽しみに。(さとう のりこ)

映画『溺れるナイフ』の現場で起こる「化学反応を楽しみたかった」【小松菜奈×菅田将暉】

映画『溺れるナイフ』
TOHOシネマズ渋谷ほか全国公開中
http://gaga.ne.jp/oboreruknife/

■キャスト:小松菜奈 菅田将暉 重岡大毅(ジャニーズWEST) 上白石萌音 志磨遼平(ドレスコーズ)

■原作:ジョージ朝倉『溺れるナイフ』(講談社「別フレKC」刊)

(c)ジョージ朝倉/講談社 (c)2016「溺れるナイフ」製作委員会

 

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