元赤坂「懐石 辻留」直伝の茶碗蒸し「卵と出汁、究極の黄金比」とは?

茶碗蒸しをおいしくつくるコツは「それは、だしと卵の割合」。北大路魯山人の薫陶を受けた「懐石 辻留」のご主人、辻義一さんのお言葉です。辻留の茶碗蒸しは、卵1に対して出汁が2.5。蒸しあがりはかなりやわらかくて、出汁が卵でちょっとつながっているという印象です。

『和樂』11月号では、そんな茶碗蒸しのおいしい作り方を、その辻義一さんに教えていただいています。

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【1】昆布とかつお節で出汁をとる
長さ15cmくらいの利尻昆布2枚を水に入れ、弱火にかける。沸騰する直前に昆布を引き上げて火を弱め、水を差して温度を下げてから、かつお節をひとつかみ入れる。かつお節が表面に上がってきたら、火を止める。ざるにふきんをのせて濾し、濾した出汁は、粗熱をとっておく。

【2】卵液を作る
1人前2個の卵を割り、できるだけ泡立てないように静かに溶く。冷ましておいた出汁を合わせ、混ぜ合わせる。卵は香りがわかりやすい材料なので、かつお節と昆布は上質なものを使うようにし、かつお節は削りたてが理想。昆布は長時間入れておくと、良い昆布でも「昆布臭く」なるので、必ず出汁から引き上げておくこと。

【3】卵液を濾してなめらかにする
溶き卵に出汁を混ぜた卵液を“すいのう”などで濾す。卵が固まらないように、出汁は必ず冷めてから混ぜる。すいのうに白身の一部が残るが、これは無理に濾して使わないこと。この濾すひと手間で、卵液が均一になり、仕上がりのなめらかさがまったく違ってくるので、必ず行いたい。

【4】卵液を調味する
【3】で濾した卵液を薄口しょうゆで調味する。食べ終わったときに、飽きない程度の味を目指す。出汁のうまみがしっかりとあるので、ほかの調味料は必要ない。ちなみに辻留では薄口しょうゆのみの味付け。また、【5】で入れる具の車海老や穴子に下味がついているので、卵液には過剰に味をつけないほうが良い。

【5】具を碗に入れる
具は、百合根、車海老、穴子、銀杏、三つ葉。戻して細く切った木耳を入れても良い。百合根は鱗片をはがしてやわらかく塩ゆで。銀杏もやわらかく塩ゆでに。さっと塩ゆでした車海老は食べやすい大きさに切る。穴子は付け焼きにして3cm長さに切り、三つ葉は2cm長さに切る。下ごしらえした具を碗に入れる。

【6】卵液を注いで蒸す
濾した卵液に泡が残っている場合には、箸の先で突いて泡を消しておくと、蒸し上がったときに表面がきれいになる。蒸し器を火にかけ、湯気が上がったら弱火にして碗を入れ、、15~25分蒸す。碗に蓋はしない。蒸し器の蓋にはタオルを巻いて、しずくが茶碗蒸しに落ちないようにする。碗い蓋をして供する。

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茶碗蒸しも、家でつくれば好きな具を入れられます。「何はなくとも百合根」という辻さんのお話のように、百合根だけの茶碗蒸しもいいかもしれません。

お鍋にはまだちょっと早いような、少しだけ肌寒い気候には、ひさしぶりに碗を出して、茶碗蒸しを作ってみたくなります。(鈴木 梢)

【店舗情報】
懐石 辻留(かいせき つじとめ)
住所:東京都港区元赤坂1-5-8 虎屋第2ビルB1
電話:03-3403-3984
営業:12~14時、17~21時
休:日曜

昼の松花堂弁当 ¥10,000
昼の懐石料理コース ¥15,000~
夜の懐石コース ¥25,000~
出張料理 ¥30,000~
茶事懐石 ¥30,000~
手まり寿司、小鯛寿司、お弁当などの持ち帰りが可能。月1回のお料理塾も開催している。
http://www.tsujitome.co.jp

和樂2014年11月号表紙(『和樂』2014年11月号)

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