【レシピ】人形町「芳味亭」直伝、絶品ビーフシチューに仕上げる究極の技

「芳味亭(ほうみてい)」は昭和8年(1933年)創業の洋食店。戦前からの味を守る老舗です。

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中でも、1か月かけて煮込むというドミグラスソースを使ったビーフシチューは、横浜や外国人記者クラブで仕事をしていた料理人の矜持を讃え「ビーフスチュー」という表記のままに。

日本では、ごはんに合う味に変化していったドミグラスソース。『和樂』10月号では、その魅力を支える技を教えていただきました。

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【1】牛バラ肉に焼き色をつける
牛バラ肉を細長く切り出し、フライパンで焼き色をつける。煮ている間にうまみが煮汁に出ないように、表面を固めておく。焼き色がついたところで、大ぶりの角切りにする。バラ肉は長時間煮込んでも固くなりにくいので、ビーフシチューに最適。

【2】焼いた肉を煮込む
焼いた肉を鍋に入れ、水を加えて強火にかける。煮立ったら火を細める。あくが出てきたらこまめにすくう。肉の大きさに応じて、やわらかくなるまで2~3時間煮る。煮立てないように、細火でことことと煮るのがコツ。ゆっくりと火を入れることで、やわらかく、しかも肉の質感が失われずに煮上がる。

【3】赤ワインを入れる
肉を煮ている間に赤ワインを入れると酸味がつく。少なくとも2時間は煮込むので、水分がなくならないように気をつける。水分が少なくなったら、ブイヨンか水を足す。肉が煮汁にひたっている程度の液面を保ち、煮汁が揺れる程度の細火で煮る。ときどきかき回して、底が焦げ付くのを防ぐ。

【4】ケチャップなどで調味する
ケチャップを入れ、さらに煮る。煮ている間に、付け合わせの準備をする。付け合わせは3種類。スパゲッティ・ナポリタンは、ゆでたスパゲティを炒め、塩とケチャップで調味する。ゆでたさやいんげんはラードでソテーし、塩で調味。セロリはベーコンを入れて風味をつけたスープで、やわらかく煮ておく。

【5】肉を取り出して切る
充分にやわらかくなったら肉を取り出し、大ぶりの角切りにする。皿に盛ってから肉にかけるためのドミグラスソースを、別に準備する。小鍋に基本のドミグラスソースを取り分け、赤ワインを入れて酸味を足す。味をなじませるためにしばらく煮込み、休ませておく。使うときには再度温める。

【6】肉を戻して煮る
切った肉を鍋に戻し、煮込み用(基本)のドミグラスソースを入れて、さらに煮る。肉とソースがなじんだら、できあがり。皿に盛りつけ、スパゲッティ・ナポリタン、さやいんげん、セロリの付け合わせを添える。【5】でつくった、かけるためのドミグラスソースを肉の上から回しかける。ごはんを添えて供する。

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【店舗情報】
芳味亭(ほうみてい)
住所:東京都中央区日本橋人形町2-9-4
電話:03-3666-5687
営業:11:00~14:00(LO)、17:00~20:15(LO)(日曜定休)
ビーフスチュー ¥2,500、コースメニューNo.4はカニコロッケとビーフスチューの組み合わせで¥5,000(税込)。カード不可。

肉の歯ごたえを残しながらもやわらかい。この食感は、牛肉を長時間ゆっくりと煮込むことで生まるそう。大きく切って煮込み、盛りつけるときに切り分けるのも肉の味が逃げない工夫のようです。

小さな手順、ちょっとした手間のように見えますが、老舗が伝えるつくり方には、その店が愛される理由が詰まっています。(鈴木 梢)

和樂2014年10月号表紙(『和樂』2014年10月号)

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