「全員が時短勤務ママ」の会社が教えてくれた、休みやすい職場に大切なこと

体調不良や急用で、今日は仕事を休みたい。でも休めない。そんなシチュエーション、働く人なら誰でも経験しているものです。

でも世の中には、そんなときに即「休みます」と連絡できる職場もあります。しかも周囲がモヤモヤすることもなく、休む側も休まれる側も気持ちよく過ごすことができる。そのための工夫を徹底し、見事に成功させている女性ばかりの職場がありました。

女性の職場
(c)Shutterstock.com

そこで働くみなさんは、具体的にどんな工夫をしているのでしょうか? 休みやすい職場づくりのヒントを教えていただきました!

 

▼社員全員が時短ママ!休みやすい職場のヒント


今回お話をうかがった株式会社ルバートは、ママ向けサービスを取り扱う会社です。子育て支援サイト「ママハピ」の運営や、ママ向け就職支援イベント「ママハピEXPO」の開催などが主な事業。子育て中の女性にはとって頼もしい味方ですね。

そんなルバートで働く社員は、なんと全員が「時短勤務の子育てママ」。と言っても、とくに意識して採用したわけではなく、女性にとって働きやすい環境をつくっていく中で、偶然このような体制になったのだとか。

全員ママという環境を想像してみると、正直結構、大変そうです。子ども関係の用事や発熱など、急な休みも発生しやすいでしょう。普通、誰かが急に休むと職場全体がバタバタしてしまうものですが……ルバートではとくに混乱することなく、また周囲に大きな負担を強いることもなく対応できるそうなのです。

急に休んでも、周囲に迷惑がかからない。だから休みがとりやすい。そんな職場の秘訣は何なのでしょうか?

 

▼休みやすい職場をつくった「4つの工夫」


ルバートが心がけているのは、徹底的な「情報共有」と「ジョブシェア」です。

まず「情報共有」として、業務やクライアントについての情報を普段からみんなで共有し、特定の人にしか分からない仕事をなくすように努めています。

そして「ジョブシェア」。情報をただ共有するだけでなく、他の人にも自分の仕事を再現してもらえるよう、マニュアルを整備して引き継ぎを楽にしています。

具体的には、次の4つの取り組みが行われています。

1.業務をエクセルで一覧化

業務内容を細かいタスクに分けて、エクセルで一覧化。それを全員が共有サーバーにアップしています。誰がどんなタスクを行っているのかすぐに確認できるので、誰かが急に休んでも、別の人が対応しやすくなります。

2.チャットワークで報連相

社内の報連相はすべてチャットワークで行います。案件ごとのやりとりはグループチャットを使い、当事者以外にも状況が把握できるようにしています。

3.外部とのメールに共通アドレスを入れる

クライアントなど外部とのやりとりには、Ccに必ず社内でつくった共通アドレスを入れます。こうすることで、どのお客さまとどんなやりとりをしたのか、当事者以外にもログを確認できます。

4.細部まで分かるマニュアルづくり

ノウハウの共有や引き継ぎを楽にするためには、マニュアルが便利です。業務の運営マニュアルを丁寧に整備して、細かいことも分かりやすく可視化しています。

このように、業務内容や社内外でのやりとりを共有することで、誰かが急に休んでも慌てずに対処できます。この仕組みのおかげで助かっているのは、休む人だけではありません。自分の仕事をしながら休んだ人のフォローもしなくてはならない、出勤している仲間の負担も最小限に抑えることができるのです。

「特定の誰かにしか分からない仕事をなくす」という考え方は、ワーク・ライフバランスのプロも推奨しています。休みやすい職場をつくるためには、手持ちの仕事を見える化したり、「お互い様」という雰囲気をつくったりすることが大切なんですね。

 

▼休みやすい職場にしたい!自分から始められること


では、「お互い様で休みやすい職場づくり」のために、私たちは何をしたら良いのでしょうか? 経営者でもなんでもない、ひとりの従業員という立場からできること。それをルバートの代表取締役・谷平優美さんに伺いました。

「他社での成功事例を上手に使って、できそうなことから上司に提案してみるのはいかがでしょうか。たとえば、

・グループチャットをテスト導入してみよう
・業務をマニュアル化してみよう
・お客さまとのやりとり用に共通アドレスを作りたい

といったことを提案してみるのが良いと思います。

同時に、その提案が会社の経営戦略としてもプラスになる理由や、業務改善することで起きるポジティブな効果などを説明するのがおすすめです。上司を通して経営者や管理職にこれらの理由や効果が伝われば、提案が採用される確率も上がります。

課題や改善点に気づいたら、それをどう変えれば働きやすさにつながるかを考えて、諦めず声を上げてみてください」

また、将来子育てしながら働く女性に向けては、こんなアドバイスも。

「時短勤務をする側は、自分のことばかり主張して『理解して!』と望むのではなく、まずは求められている成果をきちんと出していくことが大事です。それから、ひとりで抱えて爆発してしまう前に、完璧主義を捨ててみましょう。家事育児でも仕事でも、完璧主義を捨てて人に相談したり任せたり、巻き込む力は公私共に重要なスキルではないかと思います」

全員が時短勤務でも効率よく働ける、だから休みがとりやすい。こうした株式会社ルバートの取り組みは、2019年2月発表の「第5回GOOD ACTIONアワード」(リクナビNEXT)に選ばれました。ルバートの実績を上司に紹介することも、もしかしたらあなたの職場を変えるひとつのきっかけになるかも!

体調不良や急用は、誰にでも訪れるもの。ひとりで抱え込むよりも、普段から周囲と情報共有しておくほうが、いざというときお互いの負担を最小限に抑えられるのですね。休みやすい職場づくりのための情報共有、できるところから試してみると良いのかも!
(豊島オリカ)

 

取材協力:リクナビNEXT「第5回GOOD ACTION」

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