なんで豆投げるの?節分に豆まきをする理由を聞いたら奥が深かった

なんで豆投げるの?節分に豆まきをする理由を聞いたら奥が深かった


今や節分と言えば「恵方巻を食べる日」としても定着しつつありますが、もとはと言えば「豆まきをする日」というイメージがありますよね。 小さい子どもがいるご家庭ならパパが鬼のお面をかぶり、鬼は外、福はうちなんて言いながら豆を投げる……しかし、そもそもなんで「豆まき」をするのでしょうか。 その理由を野菜ソムリエアワードで優勝経験がある凄腕野菜ソムリエ、そして「食のオタク」が集まる「365マーケット 食オタMAGAZINE」の編集長でもある藤田久美子さんにうかがいました。

Q.なぜ節分って、豆を投げるんですか?


節分
(c)Shutterstock.com

もともと「節分」というのは、「季節を分ける日」のこと。

つまり「立春・立夏・立秋・立冬」の「前日」のことです。旧暦では、新年の始まりは立春のため、いつしか「節分=立春の前日」だけを指すようになりました。

そんな現在の「節分」は、旧暦の年越しにあたる日。年の境目は鬼や魔物が出やすい! と言われていたので、神社やお寺では「豆うち」という行事が行われ、それが庶民に広がり「豆まき」の文化ができました。

「なぜ大豆を鬼にぶつけるのか」というと、大豆は神社などで奉納される五穀(米、麦、粟、ひえ、豆)のひとつで、豆は「魔(ま)を滅(め)する」、つまり魔物や悪霊を払うのに適している、とされているから。そして「魔(ま)をいる(射る=炒る)」ために「炒り豆」でなくてはいけません。さらに、豆まきを終えたあとにそこから芽が出てしまうと縁起が悪いということもあり、生の大豆ではなく炒り豆を使うのがならわしです。

 

大豆
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ところで……。 以前編集部が独自に行った調査では、やはり全体の大多数が「豆まきには大豆を使う」と回答。しかし地方によっては落花生を投げるところもあり、「北海道、東北」などを中心にした雪の多い地方は、かなりの割合の人が落花生を豆まきに使う結果が出ています。なぜ地方によって節分で投げる豆が変わってくるのでしょうか。引き続き藤田さんにうかがいました。

Q.どうして地方によって節分で投げる豆が違うのでしょうか?


これは、地域の気候と後片付けのしやすさが関係しています。

本来、節分で使うのは「大豆」です。家の中と外に豆をまいて鬼退治をしますね。ですが、雪が多い地域で「鬼は~外!」と外に大豆を投げると……雪の上に小さな大豆がまかれ、埋もれ、どこに行ったかわからない! という事態になります。

そこで現れたのが殻つきの「落花生」。落花生なら大きいので見つけやすく回収しやすい。しかも雪の上で殻が濡れてしまっても、炒れば簡単に復活しますし、さらに殻の中の豆まで濡れてしまうことはありません。こんな理由で、北海道や雪の多い地域では大豆ではなく落花生を投げるようになったため、大豆派と落花生派の地域・家庭が生まれたと考えられます。

落花生
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なるほど! 確かに落花生なら雪で濡れても大丈夫、殻がついていて見つけやすい……といいことずくめ。

本来の意味を考えると「大豆」を使うべきではあるものの、こんな風に地域の特性によって年中行事のベーシックが変わっていく、というのも、四季のある日本らしくて面白いですよね。今年の節分、恵方巻もいいけど、豆まきもしてみたら……いいことあるかも♡(後藤香織)

回答していただいたのは… 365マーケット 食オタMAGAZINE編集長 藤田久美子さん 野菜ソムリエ、健康マスターエキスパート、健康経営アドバイザーの資格を持ち、食のオタクが集まり食の情報を発信し続ける「365マーケット 食オタMAGAZINE(https://media.365market.jp/)」の編集長を務める。 第5回野菜ソムリエアワードで6万人の中から優勝した経験を持ち、その知識の広さには定評がある。