ドラマみたいなキラキラ職場に憧れて入社。…のはずが、配属は埼玉営業所での汗だく飛び込み営業!
でも、そこでヘコむ桜子ではない。憧れの自分に近づくための決死の逆転劇が、ここから始まった。女の人生ルポルタージュ2人目、Vol.3!
Vol.1 キラキラOLのはずが、飛び込み営業マンに
Vol.2 仕事をしていてやってきた、人生でいちばんうれしい瞬間
Vol.3 頑張る女子が、男よりもマラソンにハマる理由
Vol.4 今どき「がむしゃら」はカッコ悪い。31歳が選んだ「カッコいい」働き方
南 桜子(仮名)31歳/IT企業 広報
1986年生まれ、東京都港区在住(ひとり暮らし)
職歴/音楽大学卒業後、IT企業に入社。約2年3か月間の営業職を経て、広報担当に。現在入社9年目。
似ているタレント/木村文乃
理想のタイプ/大沢たかお
Vol.3 仕事を頑張る女子が、男よりもマラソンにハマる理由
浮気の証拠
あれだけ好きだった松也との別れは、今思うとドラマみたいな顛末だった。
「彼の車のダッシュボードの中から、ハワイ旅行の計画表とイニシャル入りペアリングの注文書を見つけてしまったんです。ダッシュボードを開けたのは、今思えば、女の勘でしたね。出張だと聞いていたハワイ旅行は完全にプライベート旅行で、注文書にあったペアリングのイニシャルは私じゃない。彼に問いただしても、認めません。もう無理って思って、別れを決めて、彼の部屋に置いたままだった私の荷物を取ろうと、合鍵で入ったら…」
何か月かぶりに入った彼の家には、桜子のものではない服や化粧品が置かれていて、以前はなかった写真立てが飾られていた。それは、知らない女性とふたりで行っていたハワイ旅行の写真だった。ご丁寧におそろいの指輪まではめて。
「松也…。頭に血がのぼった私は、松也と女の写真立てを裏替えしにして、鍵をテーブルの上に置いて帰りました。それきり、松也とは会ってません」
イライラと同時にショックが大きくて、体を動かしていないと、どうにかなってしまいそうだった。そのころから、イヤなことがあったら体を動かしてストレス発散するのが習慣になった。夜のジムは、みんなもくもくと体を鍛えていて、何かに向かって闘っているような空気があって、好きだった。
そのころハマっていたお仕事ドラマ『リッチマン、プアウーマン』の世界に、自分をあてはめてイメージをふくらますのは、密かな楽しみだった。そのドラマでは、石原さとみ演じるヒロインが、IT企業の中で仕事に奮闘したり、恋愛したりしながら、成長していた。