朝起きてから夜寝るまで、私たちの生活になくてはならないものといったらスマホです。
かわいい写真を見ることができたり、友達とトークできたり、知らない人とつながることができたり、わからないことを調べたり……。とても便利なスマホですが、その裏で様々なトラブルが起きているのも事実ですよね。
というわけで、私たちが巻き込まれがちなスマホのトラブルに関して、東京フレックス法律事務所の中島博之弁護士に相談していきたいと思います。
前回のSNSでなりすましされた場合の対処法に続きまして、2回目の質問はこちら!
私が撮影した写真と書いた文章が勝手に他のサイトで使われています!
友人は、一生懸命書いたイラストを勝手に使われていて…
そんなときいったいどうすれば!?(22歳・学生)
いわゆる無断転載というものですよね。こんなとき、いったいどうすれば……。
教えて!中島先生!
■画像やテキストを無断転載された場合の正しい対処法
(自分が撮影したもの編、イラストなどの創作物編)
「ご回答いたします。まず、どこで使用されているか、ですが、twitter、Facebook、Instagramであれば、それぞれ著作権を侵害された場合の専用申告フォームがあります。これらを利用するのが良いでしょう。
このように専用フォームを用意しているのは、twitter等の本社がアメリカにあり、アメリカの法律であるデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づき処理を行なう方針からと思われます。それぞれのサービスの利用規約中にもアメリカに裁判管轄がある旨が明記されております」
なるほど! twitterやInstagramを日本で使っていてもアメリカの法律が適用されるんですね! そのDMCAってどんな法律なんですか?
「DMCAの特色としては、故意・過失がなくとも、著作権侵害の責任を問われる無過失責任を採用しているところです。つまり、プロバイダーやサービス提供者(以下、「プロバイダー等」といいます)は自己のサービス上で著作権侵害が行われた場合、自身にも責任が及ぶ可能性があるため、侵害には迅速に対応しなければなりません。また、著作権侵害の申告を受けた場合、当該コンテンツの発信者・アップロード者(以下、「発信者等」といいます)に対して確認をとる前に、当該コンテンツを削除したとしても、違法とならないノーティスアンドテイクダウンの制度をとっています。なお、日本では、同制度の採用がないため、プロバイダー等は発信者等に照会を行い、1週間以内に発信者から返答がない場合など、発信者等から損害賠償を受けないための法定の要件を満たしてから、当該コンテンツを削除する方式をとることが多いです」
つまり、twitterやInstagramは、アップした本人に確認しなくても削除してもらえる可能性があるということですね! じゃあ、著作権を侵害された投稿はすぐに削除してもらえそうですね。
「ですが、DMCAに基づく著作権侵害の申立は、プロバイダー等に迅速に当該コンテンツの削除を行なってもらえる可能性が高いという強力な効果を持つ反面、プロバイダー等も虚偽や誤った申立を排除すべく、申立の添付書類に一定の要件を課したり、発信者等の反論を聞くため、申立内容をそのまま相手方に転送を行なうことがあります。したがって、あなた(申立人)の名前や情報がそのまま発信者等に伝わる可能性もあるため、申立前に専用フォームの内容をよく読むことをお勧め致します」
具体的にはどのような内容なんですか?
「例えば、Facebookにおいては、以下の情報が発信者等に伝わることが明記されております。
著作権侵害の報告に応じてFacebookがコンテンツを削除する場合は、コンテンツを投稿した当事者に、問題のコンテンツが削除されたことを通知します。また、あなたの連絡先情報(メールアドレス、所属団体またはクライアントの名称など)や報告の内容を、コンテ>ンツを投稿した当事者に提供します。
なお、DMCAに基づく著作権侵害の専用フォームを用意していないプロバイダー等に対しては、名誉毀損などと同じように一権利侵害として削除申立をすることになるかと思います」
★Facebookの著作権侵害申告フォーム
https://www.facebook.com/help/contact/937027619679465?helpref=faq_content
★twitterの著作権侵害申告フォーム
https://support.twitter.com/forms/dmca
★Instagramの著作権侵害申告フォーム
https://help.instagram.com/contact/539946876093520
twitter、facebook、Instagramに関してはわかりました! では、無断使用されているのが海外のサービスではなく、日本で運営されていいる場合はどうしたらよいのでしょうか?
「プロバイダー等が日本の企業であれば、日本の特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダー責任制限法)に基づいた処理がなされるかと思います。なお、同法律では、削除依頼のことを「送信防止措置」という名称で定めておりますので、送信防止措置依頼などという名称で削除依頼の方法をアナウンスしている企業も少なくありません」
そうなんですね! では具体的にはどのようにしたらいいのですか?
「具体的な削除依頼(送信防止措置依頼)方法ですが、例えば、Naverまとめや、ライブドアブログであれば、末尾のフォームから権利侵害の申告を行うことになります。また、その際、本人確認資料等、必要情報の送信を求められるかと思います。ここでも前述したFacebook等の事例のように記載情報が投稿者等に伝えられる可能性がありますので、フォーム内の記載をよく読むことをお勧め致します」
どんな点に気をつければいいのですか??
「例えば、Naver社のフォームでは以下のような記載があります。
ご記載いただきました「お問い合わせの内容」は
「記事作成者」または「記事投稿者」にそのまま通知することがございます。
あらかじめご了承ください。
このように各プロバイダー等が用意したフォーム、フォームがない場合は、書面による直接の請求等から送信防止措置依頼を行なうことになるかと思います」
発信者に自分の情報が伝わってしまうのが怖い場合はどうしたらいいですか?
「発信者等に自身の個人情報が伝わることを望まない場合は、弁護士を代理人にたてるという方法もあります」
★Naverまとめ等、Naverに関する権利侵害申告フォーム
https://help.naver.jp/help
★ライブドアブログのお問い合わせフォーム
https://help.livedoor.com/help_form/inquiry/?sv=ldid
なるほど! ありがとうございました!
自分の作品が無断使用された場合は、まずは権利侵害の申告をしようと思います。
便利だけれど一歩間違うとトラブルに巻き込まれてしまうスマホ社会。そんなスマホにまつわる法律相談を受け付けています。
ぜひあなたのお悩みをお寄せくださいね。(高木美樹)
【中島博之弁護士】
2010年 衆議院議員秘書
2011年 弁護士登録
■主要取扱業務
企業法務、知的財産法、インターネット上の権利侵害投稿の削除業務、スマートフォン向けアプリに関する法律問題、スマートエネルギーに関する法律問題
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