比嘉愛未、ミムラ、佐々木希、「心の傷」を語る【インタビュー】

比嘉愛未,ミムラ,佐々木希,カノン,インタビュー

自分たちの傷に向き合いながら母の過去を辿り、未来への一歩を踏み出そうとする、3姉妹の愛と葛藤を描く家族再生の物語・映画『カノン』。Woman Insightでは、3姉妹を演じた比嘉愛未さん、ミムラさん、佐々木希さんにインタビューを行いました。映画のお話のほかに、皆さんの「心の傷」への思いや、家族の秘密などをお届けします。

 

Woman Insight(以下、WI 皆さんの見どころをお願いします。

比嘉愛未(以下、比嘉) 家族の再生と未来へ踏み出す、希望を描いている作品です。私は、3人姉妹とお母さんとの関係性が複雑で……。ディープな題材を元にしていて、見ていて辛くなるシーンもあるんです。でも母の足跡や人生を探るうちに3人姉妹は、お母さんの“思い”とともに、自分の抱えている傷に向き合う強さを身に着け、最終的には未来に希望が満ちていく作品になっています。

佐々木希(以下、佐々木) 茜はアルコール依存症で、辛い思いを“させられた”と思っている母親と同じ病気で、「止めたいけれど止められない葛藤」をしますが、でも弱いからまたお酒に頼る……。でもお姉ちゃんたちの支えがあって、それを克服していく。本当に重いけれど「明るい未来に向かっていく」ところが見どころです。

ミムラ ほとんどのロケを富山で行っていて、その土地の力に助けられたところがありました。晴れていても、海と山があるので湿度がぶつかって、すぐ雨雲ができる。本当にコロコロ変わる天気の中だったので、撮影隊は大変だったと思います。でも作品のベースにある複雑さと天候が妙に合っていて、湿った風が吹いたと思ったら、カラッとする。台本を読んで「ちょっと難しいかな」と思っていても「(演技が)できてしまう」そういう土地の“利”を感じました。実際に地元のかたにもご協力いただいて、行ったかいがあった風景映像もたくさんありますので、それも見どころだと思います。

 

WI 3人の共演は初めて?

ミムラ はい。みんな初共演です。

 

WI ロケは、富山・金沢が中心だったんですか?

比嘉 3週間ほどの撮影期間だったんですが、金沢は1日で撮りきって、あとはずっと富山で撮影しました。

ミムラ すごい贅沢な撮影でしたよね。(ふたりともうなずく)

 

WI 撮影がない時も、ずっと一緒に過ごされていたんですか?

比嘉 カメラが回っていない時もいろいろな話をしましたし、時間って大切ですよね。そういう時間がたっぷりありました。

ミムラ ときどき、仕事で東京に戻るかたもいましたが、撮影はパートに分かれていて「今は藍ちゃん(比嘉愛未)パートだよね」とか「希ちゃん(佐々木希)頑張っているかな」って。

比嘉 各個人に山場があるのでエールを送りつつ。そんな感覚が姉妹っぽくなっているのかも。

 

WI どのような話をされていたのでしょうか?

ミムラ モラハラだったりアルコール依存症だったり、それぞれの役が社会問題として取り上げられるような重いテーマを抱えていますが、比嘉ちゃんが「役へのアプローチと、ストーリーテーラーとしての引っ張り方」など悩みを話してくれたことにより「あ。なるほど」ってヒントになることが私はありました。

比嘉 役だと、自分の目縁でがんじがらめになっちゃうんですが、相談することで違った答えが見える。「こういう捉え方があるんだ」って広がる感覚に助けられました。

ミムラ 聞いてもらえただけで違う感じ。ディスカッションになるわけではないんですが。

佐々木 聞いてもらえるだけで、嬉しい。

比嘉 普段、孤独な仕事だと思いました。台本を覚えるのも。でもふたりがいてくれるから、心強い感覚がありました。今日久しぶりに集まって、ほっとしました。

ミムラ 先ほども取材材始めないといけないのに、わらわらしゃべっててすみませんでした(笑)。