比嘉愛未、ミムラ、佐々木希、「心の傷」を語る【インタビュー】

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(c)2016「カノン」製作委員会

WI 本作は、子供のころ大人から受けた傷を探求します。ご自身は探求しますか。

比嘉 私も、それをすごく考えました。ここまでモラハラやアルコール依存症だったりって、言葉にできたらいいんですが、“そうじゃない(言葉に出せない)傷”もたくさんありますよね。抱えていない人っていないと思うんです。

 

WI 私も、多かれ少なかれ、皆さんお持ちだと思います。

比嘉 でも、私もこの作品を通してたどり着いたのは、やっぱり辛いですが自分自身にとって、自分が一番気が付いていなかったり、見えてなかったりするんです。この姉妹もそうで、「分かっちゃいるけど逃げていた」んです。でもそこから一歩踏み出す勇気というものが、私の演じた役は“愛”がきっかけだったんですが、踏み出せたからこそ、確実に明るいほうへ進んでいったんです。その時は辛いんですが、踏み出すべきだと思います。藍は一度は逃げ出そうとしたんです、でも実は受け止めくれる人は、そばたくさんいる。自分だけで意固地になって閉じこもっているだけかもしれません。問題によって解決法はさまざまあって一筋縄ではいかないかと思いますが、自分が自分にどう向き合うか? それをできる勇気を持つことが、これから先も自分の人生の大きなテーマだと感じました。仕事もプライベートも公開したくないので“常に勝負して、突き進もう”と思えたので、いい時期に出会えた作品だと思いました。

佐々木 私も、一緒ですね。さっきも言いましたが、その時は一歩踏み出せないとしても、今回は3姉妹で助け合って、自分ひとりの力ではなく、前に進めたんですが……。たとえ一人っ子だとしても、周りに支えてくださる人はたくさんいるし、一人じゃないという気持ちを強く持って前に進むと明るい未来があると思います。また、自分の知らなかったことで、周りの人が良かれと思って隠していたことが見つかるかもしれないし、子供の頃にわからなかった感情とかを大人になってから知るのは、捉え方が全然違ってくることもあると思うので、絶対に踏み出してほしいと思います。

ミムラ 私も大本は一緒なんですが、ただ問題に取り組むとなった時に、問題の発生地点が自分だと逃げられないですよね。なのでうっかり手を付けて崩壊することもあり得る気が……。

比嘉 あ~。

佐々木 そうですね。

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WI なにが問題か?によってですね。

ミムラ そうですね。例えば比嘉ちゃん演じる藍ちゃんはとてもいい婚約者がいて、彼がお義母様と一緒に受け止めてくれて、自分にもうひとつ家族ができた。じゃこっちの家族ではトライしてみよう。もしへとへとになって疲れちゃっても、受け止めてくれる人がいる。というところで、勇気を持てた面もあるので、まず時間薬っていうのは、効いてはくれると思うんです。あんなに気になっていたのに、5年経ったらそうでもないとか。

比嘉 そうそう。あります。あります。

ミムラ ね。今思うと10代の頃のモヤモヤなんて、すっごくちっちゃいよね!(比嘉さん、佐々木さん 「そうそう」と大笑いしながら、うなずく)

 

WI その頃は大事に考えていますよね。トラウマにならない人もいます。

ミムラ トラウマはもっと大きなことですよね。実体験から応援の意味も込めてお話ししたいんですが……。心の傷になって過呼吸や蕁麻疹になって、でもそうなったときに「いま克服にトライできる?」「ノー、無理」ってこともあると思うんです。逆に「今だったら」と思いきってトライして、失敗でぼろぼろになったとしても、そこはトライ前とは大きく違う。そうして経歴として傷と付き合って、経験値があがったら楽になることもあるので、「時間薬」と「自主的なトライ」。うまくこのふたつを使い分けて、安心を得てほしいと思います。

比嘉 人間て「弱いな。繊細だな」があって、確かに時間がたってケロッもあるので、同時に強さもあるんですよね。

ミムラ この作品も、ファンタジックに見せかけて、実はどうなるのかわからない。みんな戻っちゃうかもしれないし。でも、やり続けていくだけの価値を得たと思うんですね。