梅雨は「天気痛」に要注意!頭痛やだるさの原因と対策方法は?【医師&気象予報士が解説】

春や梅雨の季節になると、「なんだか頭が重い」「体がだるい」「肩こりやめまいが気になる…」など、つらい症状を感じることが増えていませんか? 実はこれ、“天気痛”の症状かもしれません。

写真/(c)shutterstock.com

そこで今回は、株式会社ウェザーニューズが全国23,955人の男女を対象に行ったアンケート調査の結果をもとに、気圧医学の第一人者・佐藤純医師と、体調管理アプリ「天気痛予報®」を担当する気象予報士・大塚靖子さんによる、“天気痛”のメカニズムとその対策法をご紹介します。

佐藤 純(さとう じゅん)医師
医師/医学博士
愛知医科大学痛みセンター客員教授、中部大学生命健康科学部教授
パスカル・ユニバース(株)代表
気象変化と慢性疼痛、自律神経の関係が専門

愛知医科大学病院 痛みセンターにて 2005年より天気痛・気象病外来を開設
気圧医学の第一人者、日本疼痛学会監事、日本運動器疼痛学会理事、日本生気象学会理事などを歴任
「天気痛ドクター」としてTV、雑誌等マスコミで活躍中、著書多数
大塚 靖子(おおつか やすこ)気象予報士
株式会社ウェザーニューズ 予報センター
気象予報士、「天気痛予報®︎」担当
日本生気象学会 気象病・天気痛研究委員会

佐藤医師と共に「天気痛予報®︎」を開発
ユーザーからの天気痛の症状報告を分析し、予報の評価や改善を担う

女性の8割以上が「天気痛」持ち?

まず、自身が天気痛だと思うかを質問すると、「はい」もしくは「持っている気がする」を合わせて女性の約8割、男性の半数が自覚していることがわかりました。

都道府県ごとにみてみると、天気痛持ちの割合が最も多かったのは徳島県、次いで長崎県。西日本と東日本で40%を超えるところが多く、また日本海側よりも太平洋側に多い傾向がありました。

▼大塚気象予報士のコメント
「気圧変動には低気圧や高気圧の通過に伴う変動のほか、大気潮汐や昼夜の寒暖差の影響で毎日決まった時間に繰り返される12時間周期の気圧変動があります。
周期的な気圧変動は、北日本より西日本や東日本で、また、日本海側より太平洋側で年間を通じて大きい傾向があり、これらの地域で天気痛持ちの方の割合が多くなっている要因の一つとして考えられます」

女性の2人に1人が「30代」までに発症

天気痛を感じ始めた年齢はいつ頃だったのかを質問すると、男女ともにばらつきはあるものの「40代」が最も多い結果に。また、女性は男性に比べて若い世代のうちから自覚することが多く、過半数が「30代」までに発症していることがわかりました。

さらに、天気痛の症状の変化傾向を聞いてみると、「変化はない(38%)」で最多となり、次いで「年々重くなっている(30%)」、「重い年もあれば軽い年もある(28%)」でした。「年々軽くなっている」との回答はわずか4%で、一度天気痛を感じ始めるとなかなか症状は改善していかないようです。

▼佐藤医師のコメント
「私の外来では女性が全体の80%以上を占めています。また、平均年齢は40歳程度で、10代から80代まで幅広い世代の方が受診されています。天気の影響を取るための治療はもちろんですが、天気痛のもとになる疾患の治療を早期からしっかりと行うことで、症状の改善がしやすくなります

天気痛によくみられる症状は「頭痛」「眠気」「肩こり・首こり」

天気痛の具体的な症状をいくつか挙げ、当てはまるものを複数選択で回答してもらった結果がこちら。男女合わせて圧倒的1位が「頭痛(回答者の87%)」で、2位「眠気(53%)」3位「肩こり・首こり(50%)」4位「だるい(44%)」でした。

男女別にみると、女性は5位に「めまい」6位に「耳鳴り」が、男性が5位に「関節痛」、6位に「腰痛」がランクイン。CanCam読者世代にあたる10~20代、30代の女性のみなさんの中でも、めまいや耳鳴りに悩まさせている方は多いのではないでしょうか?

女性の3割が「週に2~3日」のペースで発症

天気痛の症状がどのくらいの頻度で訪れるのかを質問すると、男女合わせて最も多かったのが「月に数回(72%)」、次いで「週に2〜3回(22%)」。そして6%の方が「ほぼ毎日」悩まされているようです。

男女別・年代別にみると、女性の若い世代ほど発症頻度が高いことがわかりました。とはいえ、月に2,3回症状があるだけでも相当つらいですよね…。

5人に1人は「梅雨」に症状が悪化

 

 

とくに天気痛の症状がひどくなる季節について質問したところ、過半数が「季節問わず1年中」悩まされていることがわかりました。

季節の中では「梅雨(22%)」が最多で、約5人に1人が梅雨に症状の悪化を感じていることに。さらに「春(15%)」も比較的多くの回答が寄せられました。

▼大塚気象予報士のコメント
「天気痛には気圧のほか、気温や湿度の変化も影響していると言われています。梅雨に天気痛の悪化を感じる方は、雨で湿度が上がることで体調を崩しやすくなっている可能性がありそうです。また、春の症状悪化は、発達した低気圧の接近・通過に伴う気圧や気温の変動が影響している可能性があると考えられます」

3人に1人が「学校・仕事を休む」など生活に支障あり

 

一番ひどいときはどのくらいの症状であるかを質問すると、約3人に1人が「仕事・学校を半日休む程度」あるいは「仕事・学校を1日休む程度」と回答し、天気痛の症状が生活に支障をきたしていることが明らかに…! 「少し休む程度」を含めると、7割近くがガマンできないほどの症状に悩まされているようです。

男女別・年代別にみると、30〜40代女性で「家事や仕事を休むほどつらい」症状がある割合が高くなっています。

▼佐藤医師のコメント
「女性は男性よりもどの世代においても痛みの程度が大きいことがわかりました。女性はホルモンの変化で体調が変わりやすいので、天気の影響を受けると症状が強くなりやすいのです。
とくに、学校や仕事を休んだり、家事がこなせなくなるなど、社会生活に影響が出ている人が20代から40代に多いこともわかります。これらの世代の女性は、さまざまなライフイベント(出産、育児などを含む)を経験中でもあるので、心身のストレスがたまりやすく、症状が悪化しやすいものと考えられます」

9割以上が天気痛によって「仕事・勉強の効率低下」を感じている

天気痛によって仕事や勉強の効率がどれくらい下がるかを質問し、影響なし(0%)から100%まで10%刻みで回答してもらいました。

すると、「影響なし」との回答はわずか8%で、9割以上が効率低下を感じていることに。中でも男女ともに「30%低下した」との回答が最多となっています。

全体を通してみても、多くの方が天気痛で普段より10~50%ほどパフォーマンスが低下してしまうようですね…。

対策方法として多いのは「薬を飲む」「横になる」

 

症状がひどいときにおこなっている対策方法を質問すると、「薬を飲む(通常量)」が最も多く、「薬を飲む(多め)」との回答を合わせた約7割が頭痛薬などを服用しているようです。

その他、「横になる」「体を温める」「頭を冷やす」といった応急処置や、「鍼灸・整体・マッサージに行く」など何らかの対策をとる人が多い一方で、約3割は痛みがあっても「ひたすら耐える」と回答しています。

▼佐藤医師のコメント
「天気の影響を受ける人は、天気が変化するたびに体調が悪くなるので、どうしても痛み止めに頼ってしまいがちです。一方で、痛みが強すぎたり痛み止めを飲み過ぎると、薬が効かなくなってくるので、痛みを我慢しないといけない状況になってしまいます。
天気の変化をあらかじめ予測できれば、痛みが悪化する前に痛み止めを効果的に使うことができるようになります。自分の体調の傾向を知り、タイミングよく服用することを心がけましょう


天気によって左右される体の不調は、目に見えないぶんまわりに理解されにくく、つらさを抱えやすいもの。だからこそ、自分の体調と向き合いながら、できることから少しずつ対策していくことが大切です。

天気の変化をあらかじめ知っておくと心の準備ができるので、天気や湿度、気圧などわかるアプリを活用して、ひどくなる前にケアを始めるのもおすすめ。無理のない範囲で、自分らしく過ごせる毎日を目指していきましょう!

情報提供元/株式会社ウェザーニューズ 構成/Mai