【連載vol.8】コーヒー愛好家・ヤーレンズ出井隼之介おすすめコーヒー<浅煎り編>

『M-1グランプリ2023』準優勝で話題!ヤーレンズのツッコミ担当、出井隼之介のエッセイ連載がスタート!

日々過ごす中で思ったことや、おもしろかったことを独自の目線で綴ってくれます。

ヤーレンズ出井さんの連載を全部読む

第8回目は…
仕事への向き合い方について。「効率」ばかりを気にすることに対して、出井さんの意見も。
そして…知りたい人も多いはず!都内のおすすめ浅煎りコーヒーも教えてくれました♪

「結局積み重ね」

いわゆる一般企業で働いたことがないものでわからないのだが、個人の意思とは関係なく、会社の都合で配属先が決められたりするのだろうか。

我々の仕事も、オファーする側が適性を見出して配属を決めている節がある。

最近の我々の配属先は『ロケ芸人』である。(さあ!本日はコラムを書いております!いや〜、きれいなサイトですね〜)

だいたい朝5時くらいにジェット起床、どこか遠くにマッハ移動して、情報を織り交ぜながら親の仇のようにボケたりツッコんだり、あるいはおいしいものを食べたり食べなかったりして、帰ってきてジェット就寝する日々が続いている。

多分この道の先には、なすなかにしさんやタイムマシーン3号さん、U字工事さんがいるのだと思う。遠くのほうにうっすらと後ろ姿が見える気がする。うれしい。うふふ。

最近はテレビで芸人やタレントが仕事の愚痴をこぼす企画が多く、ロケの仕事はそういった場面では特に“効率が悪い”と言われがちだ。

確かに半日かけてロケしてもOAで使われるのは10分だったりするので、効率はよくないのかな。

でも、今のところ全然苦じゃなく楽しいし、もっとロケに行きたい。毎回発見があるし、反省があるし、もっと上手く面白くなりたいという向上心が俺たちにある。

積み重ねたい。積み重ねが大事なのは漫才で実感している。

何度も何度も、ウケてもすべってもとにかく舞台に立ち続けて、なんだかコツみたいなものをつかんだと思ったらそれは勘違いで、ひどく打ちひしがれてもそれでも懲りずに続けて、ようやくそれなりの形になるもんだと知っている。

天才じゃないから何事も最初から上手くはいかないけど、積み重ねて上手くなりたい。

配属先でのお仕事の様子

効率なんか上げてどうすんだよ

そもそも仕事に効率を求め過ぎるのは、あまりよく思わない。

そんなに効率よく生きてなにするの?「人生は死ぬまでの暇つぶし」なんて談志じみたことを言う気はないけどさ。

自分が空いた時間を有効に使えるほど器用じゃないことは、“空いた時間まみれ”だったステイホーム期間に痛感済みだ。

時間なんて空いてもなんもしない。でも、そんな自分が大好き。マジ人間らしくて愛おしい。

効率の話で言うと、買い物するとき男性は買いたい対象まで一直線だが、女性は店内をうろうろするというデータがあるらしい。本当だろうか?

僕はショッピングモールなんかでは大体のマップを把握して、なるべくたくさんの店を見て回るタイプだし、RPGでも入った洞窟を隅から隅まで探索したほうが楽しいタイプだ。あと、道の駅とかも大好き。隅々まで見て、結局買い過ぎる。結局人によるだろ、という話。

だが、LUSHだけは別だ。はっきり言ってLUSHは戦場だ。少しでも気を抜くと、ボウルにたっぷりの泡を持ったお姉さんが追ってくる。ついに、ついに振り切ったかに見えてもバスボム特別委員会は追いかけてくる。

僕の中でLUSHは『パワーマスク屋さん』と位置付けているので、パワーマスクの下へズドンと一直線。

その後レジまでの動線にバスボムがあれば1、2個カゴに入れて立ち止まらずにフィニッシュ。
これだ。この潔さ。武士。名乗るほどのもんじゃごさいやせん。1回みんなに見てほしい。

パワーマスク屋さんで買ったパワーマスク

都内のよく行くコーヒー店紹介〜浅煎り編〜

多忙っちゃ多忙だけど、そんなときこそ魂の逃げ場所はいくつか用意しておいた方ほういい。
推しがいれば推しでもいいし、スポーツでもなんでもいい。おすすめはお笑いだけど。

私の魂の逃げ場のひとつは前回も申し上げたが、コーヒーである。

で、そんな私がおすすめのお店をご紹介。挙げ始めたらキリがないので、あくまで「よく行く」お店に絞って。今回は浅煎り編。

『ACID COFFEE TOKYO』(代々木上原)

ことあるごとに紹介させていただいている。僕が東京で浅煎りと言われたらひとまずここを挙げる。まあ、店主が変態なのだが、その変態性を反映するが如く、とにかく豆の種類が多くて一度では飲みきれないので何度も通うハメになる。

テーマは『スーパーフルーティ』。コーヒーは、もともとコーヒーノキという植物になったコーヒーチェリーの種子部分のことで、つまり果物。その果物の果実味を存分に感じられるコーヒーが大集結。ラボのような怪しげな雰囲気に、抜群の音楽がかかる店内も最高。イエス!

『Definitive. Panama Coffee Studio』(高円寺)

その名の通り、パナマ産の豆のみを取り扱うパナマ店。もうその時点でかなりの変態度なのだが、通称パナ氏と呼ばれる店主と話せば、もうこの店のトリコにならざるを得ない。

僕は好きなもののことを話すときに口数が多くなる人を信用しているのだが、もうとんでもない話量である。おしゃべりを生業にしている私が言うのだから間違いない。

コーヒーは赤道の南北25度のライン(通称:コーヒーベルト)で多く栽培されるので、主に中南米、東南アジア、アフリカとなる。中でも中南米の豆(特にブラジル)には、さほどいいイメージがなかったのだが、この店で価値観を覆された。パナマ、めっちゃうまい。

『COUNTERPART COFFEE GALLERY』(西新宿五丁目)

清水橋の交差点に細長く佇むおしゃれカフェ。ここは、もう浅煎りと言えば言わずもがな、もはや観光名所になっている神保町『GLITCH COFFEE & ROASTERS』の豆を扱っている。

僕は元々浅でも深でも何でも飲むタチなのだが、しっかりと浅煎りの洗礼を受けたのはGLITCHで、この店。もうかれこれ何年通っているかわからないが、店員さんも段々入れ替わって今は素敵ご夫婦がやられている。こんな爽やかなご夫婦がいるのかというくらい、絵に描いたような素敵ご夫婦。バッチリの状態でコーヒーを出してくれる。

浅煎りといえば酸っぱいとか、そういうマイナスなイメージの人はぜひ1回行ってみてほしい。(ヤーレンズ・出井隼之介)

★ヤーレンズ・出井隼之介の連載は隔週土曜夜配信予定です!お楽しみに★

ヤーレンズ・出井隼之介(でい じゅんのすけ)プロフィール
1987年3月2日生まれ、神奈川県出身。楢原真樹(写真左)と結成したお笑いコンビ『ヤーレンズ』のツッコミ担当。『M-1グランプリ2023』で初の決勝進出を果たすも優勝を惜しくも逃すが、一気に話題に。好きなことは、コーヒーを飲むこと(カフェ巡り)、サザンオールスターズを聴くこと、美容&メイクなど多趣味で、インスタグラムではコーヒーについても発信している。

・ニッポン放送『オールナイトニッポン0』毎月最終土曜日担当 27:00-28:50 O.A.
・TBSラジオ『パンサー向井の#ふらっと』隔週木曜日レギュラー 8:30〜11:00 O.A.
・ラジオアプリGERA『ラジオの虎』毎週木曜日20時配信

★公式YouTube 『ヤーレンズオフィシャルチャンネル』
★個人公式インスタグラム @dei_junnosuke
★公式X @Yarlens_Dei

文/出井隼之介 (ヤーレンズ) イラスト/羽鳥好美 構成/田中絵理子