社会人なら知っておきたい「カウンター鮨」のお作法は?基本マナーやうっかりやりがちなNG行動をおさらい!

社会人になったら“オトナ”なお鮨を食べてみたい♡

憧れはあるけれどハードルの高さを感じてしまう、本格的なカウンターのお鮨屋さん。内心ドキドキしちゃうけど、スマートに振る舞って「わかっている」って思われたいですよね…! 予約から退店まで、コレさえ読めば、初めてだけど「こなれた感じ」に振る舞えます!
いざカウンター鮨に行くときに気をつけるべきことや、「これ聞かれたらどうしよう…」っていうドキドキを解決するために、一連の流れを一緒にシミュレーション!


教えてくれたのは…

フードライター 浅野陽子さん

食の取材歴20年以上で豊富な知識に定評がある。著書『フードライターになろう!』(青弓社)も出版。
松乃鮨 四代目 手塚良則さん

大森海岸にある100年以上続く老舗高級鮨店の四代目。お鮨の素晴らしさを海外に広めるための活動にも精力的。

【予約編】お鮨を最大限に楽しむために重要!

Q. どう予約したらスマートですか?

A. ネット予約がいちばんスムーズ! 電話で予約するときは、どういうコースがあるのかを聞いて、予算苦手な食材を伝えましょう!

コースは「おまかせ」「おきまり」「おこのみ」の主に3つ。「おまかせ」は、あて(軽い料理)とお鮨もすべておまかせのコース、「おきまり」はあては自由、お鮨がおまかせのコース、「おこのみ」はあてもお鮨も自由に決められるコース。「『光り物が苦手』『甲殻類が苦手』など、苦手なものは予約時にしっかりと伝えましょう。退店したい時間が決まっている場合は、事前に連絡しておくと、全体の構成を考えて時間内にコースを終えられるようにしてくれると思います」(浅野さん)


【準備編】まわりの人への配慮もマナー

Q. お鮨屋さんに行く前に心得ておくべきことは?

A. 香りものはつけないように!

「お鮨屋さんに行くときにいちばん気をつけてほしいのは、香りものはつけないということ。香水はNGです。さらに、ボディクリームやヘアオイル、ワックスなども無香料のものを選びましょう。お鮨を食べに行く日は朝から気をつけて準備を! HPやネット予約時のメールにも記載されていることが多いです」(浅野さん)
「そのお店にリスペクトを持って準備することが大切です」(手塚さん)


【ファッション編】お店の雰囲気を大事に選びたい

Q. カウンター鮨に行くときに最適な服装は?

A. 最近は堅苦しいお店はあまりないですが…オフィスに着ていけるかを基準にするとGOOD

「最近はインバウンドで外国人のお客さまがかなり増えているので、堅苦しい服装マナーはなくなってきています。女性は肌を露出しすぎる服装は品がないのでNG。オフィスに着ていけるような、スマートカジュアルな服装を選ぶと◎。靴も、夏の時季はサンダルでももちろん大丈夫ですよ。ゴム素材のものやビーチサンダルなどは避けたほうが無難です」(浅野さん)

「カウンターを傷つけてしまいそうなデザインの時計や、アクセサリーは事前に外してから入店するようにしてくださいね」(手塚さん)

お鮨屋さんに行くときのコーデはこんな感じ♡

  • 肌を露出しすぎる服はNG。オフィスに着ていける服を判断基準に!
  • NGのアクセサリーは特にないけれど、カウンターを傷つけそうなデザインのものは控えて
  • 時計はカウンターを傷つけてしまうので、お店に入る前に外す!
  • ゴム素材の靴は避けて。出勤時に履くようなきれいめスニーカーはOK。清潔感を忘れずに!

【入店編】“こなれた感じ”で焦らず振る舞いたい

Q. 何分前にお店に到着すべき?

A. 5分前~時間どおり! 早すぎる到着は避けて!

「予約した時間にスタートするよう構成内容を考えているので、着くのが早すぎるのはご迷惑。友人宅でホームパーティをするときと同じ感覚を持ちましょう。交通状況や急用でどうしても遅れてしまいそうな場合は、お店に連絡をすること。道に迷ってしまって少し遅れてしまうときも連絡はしましょう。遅れてしまいそうだからなど、いかなる理由でも当日キャンセルは御法度。フードロスになり、お店にも大迷惑です」(浅野さん)

Q. バッグはどこに置く?

A. お店の方が教えてくれる場所に!

「基本的にお店の方が『バッグはここへどうぞ』とアナウンスしてくれます。お店ごとに違うので、そのお店の方に従いましょう。わからなかったら、聞いてくださいね」(手塚さん)

「キャリーバッグなど、大きめの荷物を持っていく場合は予め連絡しておくと、お店側で食事中に適宜預ってくださいます。ハンドバッグなどは、背中といすの背もたれの間に置いても◎。基本はそのお店ごとにルールがあるので聞いてみましょう」(浅野さん)

Q. おいしそうなお鮨の写真を撮りたいです! 許可をもらえば撮影OKですか?

A. 基本は写真を撮ってOK

「SNSでお店や、日本のお鮨の伝統を広めてほしいと考えている店主は多いので、基本は嫌がられるお店は少ないです。撮影NGのお店は、SNSや食べログ、店内に記載されているところが多いのでお鮨の写真を撮りたい方は事前に調べると◎。席に着いたタイミングで『写真撮っても大丈夫ですか?』と聞いてみましょう。『無音シャッターでお願いします』などの指示がある場合もありますので」(浅野さん)

Q. 携帯はどこに置くのがベスト?

A. カウンターを傷つけないひざの上がベター

「カウンターの木や食器など、こだわりのあるお店が多いので、そういうものを傷つけない配慮は不可欠。カウンターの上に置いてOKというお店も多いですが、ベストはひざの上に置くことです。アクセサリーや時計など、カウンターを傷つけてしまいそうなものも、バッグの中にしまっておいていただけると助かります。お店への配慮とリスペクトを忘れずに、ご来店いただけるとうれしいです」(手塚さん)


【食事編】緊張せず堪能するために予習しよう

Q. 「おまかせ」「おきまり」の場合、どんなネタが出るのか聞いても大丈夫? カスタムはできますか?

A. もちろん大丈夫です!

「大丈夫なのですが、2万円台以上の高価格帯のカウンター鮨だと、あてで4〜5品+握りで13〜15貫くらい出るので、事前に聞いても覚えられないかも。苦手なもの、アレルギーは予約の際に必ず伝えて、他のネタに替えてもらうのもありです。ただ『コハダが好きだからコハダを5貫食べたい』というのは、“おまかせコース”だと難しいです」(浅野さん)

Q. 「おきまり」「おこのみ」の場合、あてはどのくらい頼むといいですか?

A. 1~3品くらいでOK!

「“あて2品か3品いただいてお鮨”というのが、お腹もいっぱいにならずにお鮨をおいしく召し上がれるのではないかと思います。好きなものを注文してくださいね」(手塚さん)

「女性ですとお腹いっぱいになってしまう恐れがありますので、あては1〜3品ほどにして、お鮨を食べたほうがいいです。お鮨を楽しみに行くのなら、何よりもおいしくお鮨を食べることに重きを置きましょう!」(浅野さん)

Q. 「おこのみ」で頼むとき、何系から頼むといいでしょうか? スマートな頼み方を知りたいです!

A. “ルールを気にしない”がトレンド

「昔は“白身→赤身→たまご→かんぴょう巻き”という王道ルールがありましたが、最近はこういうルールもないのがトレンド。食べたいものをおいしく食べてほしいというお店が多い」(浅野さん)

「どんなネタからでも、お好きなものを食べてほしいと思っているので、順番を気にしているお店は少ないと思います。何が好きなのかを教えてくださったほうがこちらもオススメしやすいです」(手塚さん)

Q. お酒を一緒に頼むのは必須ですか?

A. 必須ではありません!

「お酒が好きな方は一緒に楽しんでほしいですが、必ずお酒を注文しなければいけないというルールはありません。最初の1杯だけお酒であとはソフトドリンクに切り替えたり、最初からお茶でももちろん大丈夫。甘いジンジャーエールやオレンジジュースはお鮨との相性があまりよくないので、無糖の炭酸水がオススメ。日本の国産スパークリングウォーターとの相性はバツグン!」(浅野さん)

Q. 20代にオススメな日本酒の頼み方は?

A. お店の人に好みの味を伝える

「『辛口が好き』『飲みやすいのがいい』『後味がさっぱりとしているものが好み』などお伝えいただければ、こちらでセレクトしてお出ししますよ!」(手塚さん)

「白ワインがお好きな方でしたら『やや酸味が高めなものを』と伝えると、かなりワインに近いものが出てきて飲みやすいです。ビールやジントニックなどを注文するのもいいですが、お腹いっぱいになりやすいので日本酒にトライしてみて」(浅野さん)

Q. 正しいお鮨の食べ方は?

A. お箸でも、手でも

「お写真を頻繁に撮りたい人は携帯を触ると思うので、お箸のほうが衛生的ですかね。江戸前のお鮨は下味をつけているものなので、お鮨自体にタレがついていて手が汚れてしまうので」(浅野さん)

「お店によってはちらし寿司などを出すお店もありますが、カウンターに置かれた握りや巻きものは手で取って普通に持って食べてしまって大丈夫。そこまで緊張しないでくださいね」(手塚さん)

Q. 「おまかせ」「おきまり」のコース後になかったものを注文してもいいですか?

A. ご用意できるネタならなんでも!

「もちろん大丈夫です。季節によってネタがあったりなかったりしますので、『本日まだいただいていないネタはございますか? 私は〇〇が好きなんですが、今の時季にはありますか?』など、聞いてくださるとうれしいです!」(手塚さん)

「追加分は時価になりますが、『おいくらプラスになりますか?』など、細かく値段を聞くお客さんは高価格帯のカウンター鮨ではいないので、粋な振る舞いを心がけましょう」(浅野さん)

Q. 途中でお腹がいっぱいになってしまったときのスマートな伝え方は?

A. 「あと何品ありますか?」と聞く

「『あと何品ありますか?』と聞かれると、板前さんもお腹がいっぱいになってきたのかなと思い、そこから召し上がっていただきたいものだけをセレクトしてご提供することが可能です」(手塚さん)

「少食の人は最初にそう伝えるか、『コースでお鮨を食べるのが慣れていないので、握りはシャリを少なめにしてください』とお伝えしておくとスマートです。少なめでも女性ですと、かなりお腹いっぱいになります」(浅野さん)

Q. 「追加注文ありますか?」と聞かれて注文しないのは失礼ですか?

A. 無理して注文することはありません

「無理して注文する必要はありませんが、好きだったネタを最後におかわりするのがオススメ。コース料理だと結構な量のネタ数なので、どれがおいしかったのか覚えられない可能性が…。スマホ操作NGのお店でなければ、食べておいしいと思ったものは、スマホのメモアプリでメモしておくと◎。1〜2貫くらいの追加なら、最後のお会計でびっくり仰天! とはなりにくいですが、予算はしっかりと念頭に置いておくのがベター」(浅野さん)

今回撮影で訪れたのは…

松乃鮨
明治時代から続く伝統ある鮨店。カウンターだけでなく、離れ座敷や個室カウンターなど、様々なシチュエーションに対応。おまかせコースは¥24,200~。
住所:東京都品川区南大井3-31-14
電話:03-3761-5622
HP: https://matsunozushi.com/
定休日:日・祝日

社会人になると、様々な初体験が待っている! 「それ知っておきたかった~!」なお作法を知って、初めてのカウンター鮨も臆せずに飛び込んで♡

CanCam2023年10月号「初めて“カウンター鮨”に行ってみた。」より
撮影/古水 良 スタイリスト/たなべさおり ヘア&メイク/久保フユミ(ROI) モデル/小室安未(本誌専属) 撮影協力/橘 綾花 構成/安 彩楓 WEB構成/久保 葵