【祝!直木賞】作家・西加奈子が「人生で唯一後悔していること」とは?

第152直木賞作家・西加奈子さんへのインタビュー。最終回は、個人的な趣味やハマりごとについてお聞きしました。お話をうかがった際も、モードなピアスに靴下レイヤードのオジ靴がすごく印象的だった西さん。やはりファッションもお好きだそうです!

★1回目→ 【祝!直木賞】西加奈子に聞く、5%の喜びが支えた「サラバ!」誕生秘話

★2回目→ 【祝!直木賞】「作家になる気はなかった」西加奈子、ずっとなりたかった職業とは?

★3回目→ 【祝!直木賞】「普通でずるい人間だった」西加奈子が作家生活で得たもの、変わったこと

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Woman Insight編集部(以下、WI)  西さんの趣味や最近好きなことはなんですか?

西加奈子さん(以下、西) お洋服を買うのはすごく好きですね。作家になってからは、ハイファッションが気になります。たとえば安い服のお店に行くと、ハイブランドが今季出したものみたいなものが、100分の1の値段で売ってるじゃない? ハイブランドって、いくらなんでも高いやろと思うことが多いけど、あれはやっぱりアイディア料なんですよね。それには対価を払おう、というのは、作家になってすごく意識するようになりました。本は新刊で買おう、映画館に行こう、無理やったらDVDを借りるんじゃなくて買おう、とか、「オリジナルのものにお金をどんどん使おう」というのは思うようになりました。そうしないと、作っている人たちにまでちゃんと(お金が)回ってこないから。

WI それは、すごくハッとする価値観ですね。ほかにもそういった、ご自身のなかでいちばん大切している価値観ってありますか?

西 自分の言ったことに責任を持つということ。自分が一度でも「いい」「正しい」と思って信じたんだったら、それは自分の責任だから、たとえそうじゃないことがわかっても「だまされた」「こう思わされてたわ」っていうのはなしだよねって思います。なんか最近、芸能人とかが不祥事起こして、みんなめっちゃキレますよね。「だまされた」「がっかりした」感があるって。でもそれって、あなたが好きになったんですよね、って思うんですよね。そう思う人間でありたいですね。

WI  20代と30代で、ライフスタイルで変わったところはありますか?

西 私は今37歳なんですけど、夜遊びをほんとにしなくなりました。飲みには行くけど、朝まで飲むとか、そんなん無理。あと、体に気をつけるようになりましたね。ちょうど30歳くらいで、からだを壊して入院したんですね。そこから口に入れるものに気を使うようになりました。昔はロハスとか無添加とか何も興味なかったけど、食べ物は如実に体を変えますね。インスタントとか、自然と食べたくなくなってきたり、あとお肉が食べられなくなってきたり……ってこれはただの加齢ですが(笑)。あと、20代前半って、体冷やしてたなって思いますね。ほんと若い子の生脚見ると、「子宮冷やすでー」と思いますもん(笑)。万病は冷えから始まりますからね!

WI そういう「生脚」的な、「若者に対して思うこと」ってありますか?

西 自分が若いときに同じように言われても「ウッセーな」って思ってたから、あんまり言いたくないんですけど……。自分も大学生活とか楽しかったから、やり直したい、というのはないんですが、「旅行とか留学をしておけばよかった」とはほんまに思います。「帰国子女やから英語、話せるんでしょ」って言われるけど、まったくしゃべれないんですよ。私は翻訳文学が好きなので、原語で読めたり、好きな外国人作家と会ったときに話せないのがほんとに残念で。別に英語至上主義じゃないし、日本語でええやん、と思うんですけどね。人生の出会い、すべてが尊いなかで、そこだけは後悔しているというか、親を恨んでます(笑)。

WI 最後に、これからの人生、「こうありたい」というビジョンはお持ちですか?

西 書き続けていたいですね。デビューして何十年経っている作家さんの新刊が、未だに平台に置かれてるって、もう化け物ですよね。ウン十年やって第一線でいられるって、まずスポーツ選手じゃありえないじゃないですか。それをやっている人に憧れます。作家の先輩方にお会いすると、皆さんめっちゃおもしろくて、こうなっていきたいなあと思いますね。

そんな西さんが、最近美しいと思ったものは、ピースの又吉直樹さんが書かれた小説『ヒバナ』だそう。「本当に美しいラストシーンでした。今まで見た小説のなかで一番美しいかも。アホで優しくて美しい。ぜひ読んでみてください」とのメッセージを最後にくださいました。気が早いですが、西さんの次回作も期待しています! (五十嵐ミワ)

★1回目→ 【祝!直木賞】西加奈子に聞く、5%の喜びが支えた「サラバ!」誕生秘話

★2回目→ 【祝!直木賞】「作家になる気はなかった」西加奈子、ずっとなりたかった職業とは?

★3回目→ 【祝!直木賞】「普通でずるい人間だった」西加奈子が作家生活で得たもの、変わったこと

cover

『サラバ!』西 加奈子/著(小学館/1,600円+税)

http://www.shogakukan.co.jp/pr/saraba/

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