「将来は、自給自足の生活を体験したい!」Vol.15 森 星
CanCam創刊40周年を記念して、歴代のOGモデルをクローズアップするスペシャル連載。専属モデル時代から今日までの軌跡を振り返りつつ、今だから話せる撮影裏話やプライベートなお話など、自分らしく輝き続ける彼女たちのリアルなメッセージをお届けします。
第4弾は、CanCam専属モデル時代、抜群のスタイルとハッピーなビッグスマイルで人気を博し、現在はモデル・クリエイティブディレクターなど活躍の場を広げている森 星さんが登場! 全4回にわたって、森さんの軌跡を辿ります♡
森さんは、慶應義塾大学在学中にCanCamモデルとして誌面デビュー。初登場で初表紙を飾り、「このかわいすぎるモデルは誰!?」と大きな話題を呼びました。2012年から約2年間を専属モデルとして過ごし、人並外れたスタイルと愛され力で読者からもスタッフからも大人気に。かわいい表情もキリッとハンサムな美しさも持ち合わせた森さんは、当時ブームの兆しがあった“ハンサムファッション”を担当しCanCamに新たな風を吹き込んでくれました。
専属モデル卒業後は、国内外の雑誌、広告、ファッションショーで活躍するほか、自身が立ち上げたプロジェクト『tefutefu』を通して日本文化の魅力を国内外に発信するなど、その活動は多岐に。SNSでもInstagramやYouTubeが注目され、ファッショナブルでヘルシーなライフスタイルと飾らない人柄が、多くの支持と関心を集めています♡
第二回目のインタビューでは、専属モデル時代の思い出や今だから話せるホンネを語ってくれた森さん。第三回目となる今回は、CanCamを卒業した当時の心境やクリエイティブディレクターとしての一面についても伺いました!
卒業して改めて感じたCanCamの影響力
約2年間の専属モデルを経て、活動の幅をさらに広げるためCanCamを卒業した森さん。「カメレオンみたいなモデルになる!」という夢を持ちながら邁進するも、現実には厳しいこともたくさんあったそう。
ーーCanCamを卒業したときの心境は?
「専属モデル卒業を決めたのは、CanCamでの経験を通して湧き上がった『いろいろなファッションの形を表現したい!』という思いから。自分の意志で卒業を決めましたが、はじめは”森 星=CanCam”というイメージが強くて、次のステージに進むのは簡単なことではなかった、というのが正直なところです。CanCamの凄さを改めて感じたし、なかなかイメージ通りにいかない悔しさがその後の燃料になったような気がします。
さらに当時は”森家”という印象が今より強くて、いろんなファッションやカルチャーを私個人で表現したいと思うなら、自分で自分のお尻をもっと叩かなきゃいけないと思っていました。それまでは編集部の方に企画を組んでもらったり一緒に作り上げてもらっていたけど、卒業したら自分ひとりで考えたり取り組むことも増えたので。
今の時代、自己プロデュースが当たり前のようにもなっているけど、当時はちょうどその走り出しのようなタイミング。だから先陣を切っていく、というと大げさですけど、どういうことにチャレンジしたいか考えたり、周りの方々と密にコミュニケーションをとったり、自分の体を活かせるトレーニングに取り組んだり、悩みながら行動しました。SNSでファッションも発信したり、多方面でスキルアップできるようにいろいろなことをやりましたね」
自分のルーツを思い返して生まれた『tefutefu』
試行錯誤を重ねて、セルフプロデュースやモデルとしての表現の幅を広げていった森さん。国内外でのモデル活動に加えて、現在は『tefutefu』というプロジェクトのクリエイティブディレクターも務めている。さらにYouTubeやInstagramの投稿など、多忙を極める現在について。
ーー多岐にわたる活動。モチベーションのキープ法は?
「なんでこんなに自分で自分の首を締めちゃうんだろう…っていうくらい、私はいろいろなことにチャレンジしたくなっちゃうのですが…(笑)。でもさまざまな人に出会って、その人が大事にしているものや生み出したものを私なりにアウトプットしたいという欲求が強いので、モデル業もディレクター業もやっている時は大変さを感じていなくて。そのときに目の前にある仕事を全力でやる、という働き方だと切り替えもしやすいし、そのとき、その瞬間に全力投球するのが私のナチュラルな姿です」
ーープロジェクト『tefutefu』を始めたきっかけは?
「モデルの経験から感じたことのひとつなんですけど、さまざまな人たちのそれぞれのライフスタイルに調和するブランドを作りたいと思っていました。ありがたいことに、お仕事でいろいろな国に行くチャンスがあったのですが、日本について質問をされても答えられないことが多くて。むしろ海外の方に『小さな島国だけど、四季があって美しい国だよね』と言われたりして、きっと私より日本のいいところを知っているかも、と思いました。そんな経験もあって、自分のルーツを改めて思い返したのが『tefutefu』を立ち上げたきっかけです。身近なものでなくなりつつある日本文化やものづくりに光を当てて、人々がプロダクトを通して自分なりの調和を見つけられるようなブランドが作れたら、と」
手軽に楽しめるメディアが広がる一方で、実際に触れる機会が少なくなっている日本文化。そんな中、森さんが『tefutefu』を通して日本の伝統的な暮らしや工芸の魅力を発信することで、新しく興味を持った、という若い世代が増えている。
「私もまだまだ勉強中なんですけどね。先日も屋久島に行って、現地の暮らしや自然との共生について学んできました。屋久島は、水も土もきれいで、命がうまく循環しているんです。島の方々は、口を揃えて『自然と一緒に暮らしを作っている』と言っていて、みんなが自然をリスペクトして共生している意識があるんですよね。
最近よく、エシカルやSDGsという言葉を耳にしますが、私たちはもともと日本の自然の中で生きてきて、その活かし方を知っていると思うんです。だから、エシカルよりも”里山里海”という日本の言葉を使って伝えると自分も背伸びしている気にならないし、相手にも届きやすいかなって。例えば、一からお味噌を作るとか、着ないお洋服を藍染めにしてリユースするとか、今の便利な暮らしからすると手間かもしれないけど、そのプロセスを楽しめたり、後になって心地よさを感じられるものになったら心の調和にもなりますよね。その結果として、環境問題の改善につながることもあったらな、と思います」
私のパワースポットは…屋久島です♡
ーー調和を感じたいとき、どんなことをしていますか?
「最近は、部屋で電気を使わずに和ろうそくの火を灯して過ごしています。ゆっくりと日本酒を飲みながら、冥丁というアーティストの『古風』というアルバムを聴くのが好きで。エレクトリックな音楽なのに金継ぎとか花魁とか日本らしいテーマの楽曲が多くて、そのバランスがとてもいい。ジェネレーションが近いアーティストということもあって影響を受けていて、曲を聴きながらゆっくりと過ごすのが最近の私のリラックスタイムです」
ーー最後に、森さんにとってのパワースポットは?
「いっぱいあるけど…今は屋久島かな。屋久島にある屋久杉を間近で見てきましたが、先日の訪問で杉のイメージが180度変わりました。屋久杉は成長のペースがとってもスローで、年輪が細かく刻まれていくのですが、ゆっくり時間をかけて大きくなるからこそ、作られる油分に抗菌作用が含まれるそう。
そう考えると、私も今まで時間にとらわれているところがありました。でもコロナ禍で走りたくても走り出せない状況の今、このときを屋久杉のようにじっくりと自分を成長させていく機会だと捉えることもできるな、と感じて。屋久島は今の自分にフィットしている場所だなと思います。
もちろんほかにも、日本にはたくさんの森林があって水に囲まれていて、こんな豊かな国ってほかにはなかなかないと思うんです。私も今は生産者さんを通して自然の恵みをいただいている状態ですが、ちょっとずつ自給自足の生活をしていって、いつかはそんなライフスタイルが送れたら」
キラキラの笑顔で、今の活動や将来の夢について話してくれた森さん。その場の空気と調和しながら、自身から湧き出てくる誠実な言葉を伝える姿に、現CanCamスタッフもすっかり心を奪われました♡
次回の最終回は、森 星さんに「夢の見つけ方」や「人と自分を比べない考え方」など、楽しく前向きに暮らすヒントについて伺います! 次回もお楽しみに。