きのこをダイエットに取り入れるべき理由
数年前に「まいたけダイエット」が流行り、きのこがダイエットに向いている食材として注目を集めたことを覚えている人も多いかもしれません。そろそろ秋が近づいてきて、きのこが旬な季節。美味しくてダイエットにもいい「きのこ」について、この機会に知ってみませんか?
今日は管理栄養士の廣瀬直樹さんに、きのこがダイエットに向いている理由や女性におすすめのポイント、ダイエットへの取り入れ方をうかがいました。
きのこがダイエットに向いている理由
廣瀬さんは、「キノコ類はダイエットに適した食品です。特に女性のダイエットにおすすめできます」と話します。どんな理由なのか、詳しくお話してもらいましょう♪
【きのこが女性のダイエットに効果的な理由】
1.食物繊維が多く、低カロリー
「まいたけやエリンギ、しめじなどのキノコ類には食物繊維が豊富に含まれています。さらに食後の血糖上昇を緩やかにする働きや食べた脂質の吸収を抑える働きも知られています。丼ものや揚げ物を食べるときはキノコ類とセットで食べてみてください。
また、食物繊維は胃の中に食べ物を留める働きに加え、独特の歯ざわりから噛む回数が増えることで満腹感を感じやすく、食べ過ぎを抑えてもくれます。そして何より、キノコ類は低カロリーなのでたくさん食べてもOKです」(廣瀬さん)
2.骨を強くし、むくみ解消にも!
「キノコ類には食物繊維だけでなく、ビタミンDやカリウムといった微量栄養素(※1)も豊富です。ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあるため、加齢によって骨密度が低下しやすい女性では摂取しておきたい栄養成分です。骨の成長は10~20代が活発なので、若い女性ときのこダイエットは相性が抜群といえます。
そしてミネラルの一種であるカリウムは、塩分(ナトリウム)の排泄を促進することからむくみの解消に効果的です。顔や体がむくみやすい人はキノコ類を積極的に取り入れることで、むくみ知らずの小顔も夢ではありません」(廣瀬さん)
特にまいたけについては、特別に次の作用があるといわれています。
●コレステロール吸収を抑制・排泄を促進(※2)
まいたけの独自成分である「MXフラクション」は、肝臓でのコレステロール合成を抑える作用、小腸および肝臓におけるコレステロールの吸収を抑える作用、コレステロールの排泄を促進する作用があり、体内の余分な脂質を減らすことが分かっています。
きのこをダイエットに取り入れるには?
ダイエット効果が期待できるきのこ。ダイエットに効果的に取り入れるには?
「普段の食事にキノコ類を積極的にプラスすることで、ダイエット効果が高まると考えられます。ダイエット期間中であれば、取り入れれば取り入れるほど食物繊維摂取量が増えますし、満腹感も獲得できるからです。そして食事の最初にキノコ類を食べる『キノコファースト』を行うとダイエット効果が高まるのでおすすめです。
ただし、キノコ類は消化が悪いため、食べ過ぎによる消化不良、胃腸不快感や便秘などには注意が必要です。しっかりとよく噛んで食べることを心がけましょう」(廣瀬さん)
きのこダイエットには、やはり運動は必要なのでしょうか?
「そもそも、運動せずに食事管理のみでダイエットを行うのはおすすめしません。筋肉量が減り、毎日の消費エネルギー量、いわゆる基礎代謝量が減ってしまうからです。
近くのトレーニング施設でプロのトレーナーさんから指導を受けて運動習慣を付けるのが理想ですが、むずかしければウォーキングから始めてみても良いですね。『きのこ+運動』で、美しく健康的にダイエットしていきましょう!」(廣瀬さん)
きのこダイエットはどのくらいで効果が出る?
きのこを取り入れるダイエットは、どのくらいの期間続ければ効果が現れるのでしょうか?
「効果が現れるまでの正確な期間は人によってさまざまです。これは、きのこ以外の食事内容や運動量、性別、ダイエットスタート時の体重など、さまざまな影響を受けるからです。
まずはキノコ類を毎食取り入れながら、月1~2㎏程度の減量を目標にしてみてください。これ以上のペースで減量すると筋肉が減ったり、貧血のリスクになったりするため、焦らず続けてみましょう。月1㎏の減量と聞くとペースが遅く感じるかもしれませんが、1年間継続できればマイナス12kgになります。1年後の自分を強くイメージしながら取り組むと良いですね」(廣瀬さん)
まいたけ・エリンギ・しめじのおすすめの調理法
ぜひ継続したいきのこダイエット。まいたけ、エリンギ、しめじのおすすめの調理法を確認しておきましょう。
●まいたけのおすすめの調理法~糖質食品、肉類と一緒に調理!
まいたけはキノコ類の中でもビタミンB群が豊富!ビタミンB群は糖質をエネルギーに変換する働きがあるため、糖質食品との組み合わせがおすすめです。
また、まいたけのタンパク質分解酵素であるマイタケプロテアーゼは、熱安定性および活性が高いためお肉をやわらかくする働きがあります。そのため、お肉類と一緒に調理することで食味が高まります。ただし、生食は中毒の危険があるので必ず加熱調理で食べるようにしましょう!
●エリンギのおすすめ調理法~カルシウムが多い食品と一緒に調理!適度な油料理にも
「エリンギにはビタミンDが豊富に含まれています。ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける働きがあるため、カルシウムが多い魚類や大豆製品と相性が良いので、一緒に食べると良いでしょう。また、ビタミンDは脂溶性ビタミンの一種であることから、脂質と一緒に食べるとビタミンDの吸収率がアップします。脂っこい料理のときほどエリンギを取り入れましょう」(廣瀬さん)
●しめじのおすすめ調理法~ビタミンCが多い食品と一緒に調理!「ゆでる」よりも「蒸す」調理法を
「しめじにはむくみを解消するカリウムが豊富に含まれています。カリウムは、調理の際に水に溶け出す性質があるので、ゆでるよりも蒸す調理方法を選択することで、逃さず摂取することができます。キノコ類にはほとんどビタミンCが含まれていないので、ビタミンCが豊富なパプリカやブロッコリーと一緒に蒸して食べると良いですね」(廣瀬さん)
コロナ太りが気になる今、きのこは救世主となりそう。上手に取り入れて、コツコツ地道にダイエットを続けていきましょう。
管理栄養士、2ッ星栄養コンシェルジュ、スポーツ栄養実践アドバイザー・健康運動指導士。Original Nutrition(株) 統括本部、(一社)日本栄養コンシェルジュ協会 講師・三幸学園 栄養学講師・(一社)地域QOL研究所 理事・Dr.トレーニング 栄養アドバイザーなどを務める。
一般社団法人 日本栄養コンシェルジュ協会
https://nutrition-concierge.com/
1)Anti-Diabetic Activity Present in the Fruit Body of Grifola frondosa (Maitake) I
Keiko Kubo, Hisao Aoki and Hiroaki Nanba
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2) Anti-Hyperliposis Effect of Maitake Fruit Body (Grifola frondosa ). I
Keiko Kubo and Hiroaki Nanba
Biological and Pharmaceutical Bulletin, 20 (7), 781-785 (1997)
3)肥満モデル動物におけるキノコキトサンの抗肥満効果
宮澤紀子,栗原昭一,浜谷忠生,瀬山智子,吉本博明,江口文陽
日本きのこ学会誌, 21(1), 30-35(2
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