言われてみるとわからない。そもそも「好き」ってなんなの?

言われてみるとわからない。そもそも「好き」ってなんなの?


好きってどういうこと

 

自分が本当に好きな相手が誰なのか、そもそもどこからが本当に「好き」ってことなんだろう? といったことで悩んでいる人、必見です。
心理学的な観点から、「好き」という感情を紐解いていきましょう。心理学においては、好き=愛着。その大前提を念頭に、そもそも「好き」というのはどういうことなのか、考えていきましょう。

 

好き=特定の相手との情緒的な絆である

まず、好きという感情、すなわち愛着に関して、心理学者ボウルビィはある理論を提唱しました。これは愛着を自らが安全であるという感覚を確保しようとする生き物の本性に基づくものと捉え、危険な状態に備えて特定の相手との関係を維持しようとする傾向であるとしました。つまり、好きというのは、特定の相手との情緒的な結びつきを指し、相互作用を通して形成される、確固たる絆であると言えるのです。

 

「好き」は親密性・情熱・コミットメントからなる

アメリカの心理学者スタンバーグの理論においては、好きというのは、親密性・情熱・コミットメントの3要素により成り立っているとされています。親密性とは、好意や尊敬の念をあらわします。相手とつながっている感覚、相手の幸せを願う気持ちなどの愛における感情的な要素のことをいいます。そして情熱は、性的欲求や相手と一緒にいたいという気持ちを指します。積極的に相手と関わろうとするきっかけとなる要素のことですね。最後にコミットメント、これは短期的なものと長期的なものとで意味が変わります。短期的な意味であれば「この人を愛そう」という決意。長期的な意味であれば「この人との関係を維持していきたい」という意思をあらわすとされます。こう考えると、好きというのは複数の要素から成り立つものだとも言えそうですね。

 

好きな人への接し方は不安―回避の傾向で決まる

心理学者エインズワースらは、研究によって好き合う関係は大人になってからの親密な人間関係に影響を与えていることを立証しました。恋人や夫婦関係、親しい友人との関係などにも、こういった愛着スタイルがあるとされます。研究では、乳幼児期の愛着スタイルと、成人になってからの愛着スタイルは、かなり一致しているのだとか。大人の愛着スタイルは、「不安」と「回避」のふたつの次元から捉えられます。親しい他者との愛着関係において、「不安」が大きい人は、見捨てられるのではないかといったことを過度に心配します。そして、できるだけ相手と近づきたいと願う傾向が。一方、「回避」が大きい人は、他者との間に情緒的な距離を置き、どんなことでも自分ひとりでやろうとします。自分だけが頼りだと感じているということですね。この不安と回避の傾向によって、好きな人への接し方が決まるのです。

 

好きという気持ちと切り離せないスキンシップ

心理学者ハーローの実験によると、好きというのは物質的な要素だけから生まれるのではなく、接触の快適さが何にもまして重要、つまりスキンシップによって形成されるのだと考えました。そして、スキンシップによって安心感を得ることができた人は、新しい環境や対象を探索することにもチャレンジすると提唱しました。確かに、信頼できる人が見守ってくれているからこそ、一歩踏み出せるということは多々ありますよね。好きとスキンシップは、切っても切れない関係にあるのかもしれません。

 

実は、好きという気持ちには定義なんてないと言われています。好きの定義なんて人それぞれなのです。「こうじゃないと好きとは言えない」という定義はありません。実際、好きの意味と言っても色々あります。まず、好きという意味には、「心が惹かれる」、「お気に入り」、「大切」などのように、恋愛としての好きという意味や、物に対しての好きという意味があります。もしかすると、好きというのは人の数ほど存在するのかもしれませんね。(脇田尚揮)

 

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脇田尚揮
認定心理士。Ameba公式No.1占い師として雑誌やTVなどに取り上げられ、現在テレビ東京「なないろ日和」にてレギュラーコーナー担当。また、自身が監修したアプリ 「マル見え心理テスト」はTBS 「王様のブランチ」 などでも紹介され、120万DL。著書『生まれた日はすべてを知っている。』(河出書房新社)。