アラサー婚活事件簿 第1回「写真と実物が違いすぎる、嘘つきバツイチ男」
婚活。
アプリ、パーティ、合コンのような会、友達に紹介してもらう、過去の人間関係をたどってみる……など、さまざまな形態の「婚活」が存在します。
基本的に共通の知人がいない、相手のバックグラウンドを知らない状態で、ある意味偶然の出会いの場に自分から突っ込んでいく「アプリ」「パーティ」などでは、いい意味でも悪い意味でも、「日常生活で出会うことのない男」に遭遇します。
これから私が実際に遭遇した、婚活にまつわる事件をご紹介していきます。
◆涙ぼくろフェチが巻き起こした悲劇と、伏せられた事実
婚活アプリに登録し、なんとなく「いいね」をくれる男性陣の中から、まぁいい人そうだなぁ、と思う人に「いいね返し」をすると「マッチング」という状態になり、メッセージのやりとりができるようになります。
なんとなく年齢や趣味が近かったり、写真の雰囲気でいい人そうだなぁ、と思ったら、いいねしてメッセージのやりとりをしてみる。
Aさん(仮)は、プロフィールの笑顔が素敵で、年齢のわりに童顔。そして涙ぼくろフェチの私は彼に涙ぼくろがあることを確認し、なんとなく「いいね」を押していた。
なんでもないメッセージのやりとりを重ねるうちに、会いましょうと誘われ、試しに、会ってみることにした。趣味関連でネットで知り合った友達も多いので、アプリで知り合った人と会うということはそこまで抵抗がない。いい人そうだし楽しい会になるといいな、と思って、会話の参考にするべく前日の夜に改めて彼のプロフィールを見直した。
そこには結婚歴を表示するステータスに「離婚 子どもあり(別居)」という文字があった。
やられた。
離婚はいい。でも、こちらが20代の身としては、別居していたとしても子どもがいる男性は結構複雑なので、どんなにいい人そうでも、申し訳ないけどナシにしていた。だからそこを読み飛ばしていいねをするはずがない。ということは、おそらく彼はアプリを始めた当初、そこをあえて空欄にして隠していたのだ。
前日になって行く気が失せた。しかし前日になってドタキャンする理由を考えたり、その後嘘に嘘を重ねるほうが面倒なので、行ってその後やんわり音信不通になるほうがいいと考えた。それに、食事代は「全額男性が払う」となっていたので、まぁいいか。美味しいものを食べて帰ってこよう。顔は好みだし。
そう思っていたのが間違いであった。
◆写真と実物、1ミリしか面影がない事件
雪が降る寒い日、待ち合わせ場所に向かった。そこまで待ち合わせ場所スポットとしてよく使われる場所でもなく、人は多くなかった。念のため5分前に着いておき、着きました、こんな服着ています、というメッセージを送る。
待ち合わせ時間を少々過ぎても、それらしき人は見当たらなかった。
もしかしたら私のことを見て「やっぱりなんか違うな」と帰ったのかもしれない。
まぁ、昨夜のプロフィール事件でそこまで気乗りもしていなかったし、それならそれでいいか、きっと私の気乗りしなさが向こうにも伝わったのだろう、とポジティブシンキングをしていた、まさにそのタイミングだった。
「○○さんですか?」
後ろから声をかけられた。誰だ。いやこのタイミングだからAさんに違いない……のだが、写真とはまったく違う…………いや、もはや逆にまったく人違いの別人であってくれたほうがよかったくらい、1ミリくらい面影はある、全然違う人(デブ)が現れた。涙ぼくろは、写真と同じ位置にあった。
よく婚活アプリなどでは盛りすぎ写真と実物が違うということが話題になる。
しかし、そんな問題じゃない。盛ってるとか盛ってないとかそういうレベルじゃない。何十キロ単位で見た目が違う。確かに写真を見て「年齢のわりに童顔だな」とは思った。そりゃそうだろういつの写真使ってるんだよ学生時代か? 10年前か?
昨日の夜の時点で82%くらい「行きたくない」という気持ちだったが、やっぱりこういう虫の知らせのような予感は的中するもので、99.9999%くらい「帰りたい」になった。が、もうここまで来たら引けない。それに、メッセージの流れだと某誰もが知る有名企業勤務っぽかったので、普通に話したら楽しいだろうとは思い、そこそこ有名な焼肉屋で昼から酒を飲み、そこそこの値段がする焼肉を食べた。昼を指定しておいてよかった。早く切り上げても、夜ほど不自然ではない。
話していれば、普通に面白い人だった。でも、ものすごく大事な「子どもあり」を隠していたこと、そして何十キロ単位で写真と見た目が違った時点で「ナシ」である。あとついでに私の最寄り駅を執拗に聞きだそうとしたのもイヤだった。
焼肉を食べて本当だったらJRの駅に一緒に向かうところだろうが、一刻も早くひとりになりたくて別に用事もないのに「じゃあ私こっちに用事があって、ありがとうございましたご馳走様でした!」と、60%の男性が別に用事がないことを察するであろう言葉を最後に別れた。
そもそもなぜ昼にしたかというと、土日で予定が合うのが向こう1か月でその日の昼しかなかったからだ。私はその後友達と合流し、買い物をしたりお茶をしたりと、いつもの週末を楽しんだ。
よくわからん人と食べる有名店の高い焼肉より、気ごころ知れた友達と食べるチェーン店のパスタのほうがよっぽど美味しいと思ってしまった。
いつかそんな、一緒にいたら何を食べても美味しいと思えるような男性に会えるのだろうか。世の結婚している人はみな、そのようなパートナーに出会えているのだろうか。そう思うとちょっと羨ましくもなった。
なんとなくAさんとはその後もLINEでやりとりは続いた。
でも、やっぱり別居していたとしても、お子さんがいるのにはどうしても抵抗があった。きっと私がもう少し年を重ねたらまだ考えは変わるかもしれないけれど、そのときの私は、まだ20代だった。
未読スルーで返信するのをおしまいにした。
それから何回か連絡は来たけれど、すべて、未読のままだ。
【次回予告】
刺身を食べながら「これはチューブのわさびだね」と評論する、他人にも自分にも厳しく細かすぎる男との婚活事件簿
結婚したいかしたくないのかいまだにわからないまま婚活を続けるアラサーライター、菅原ひかるの実録婚活記。持ち前の星回りの悪さと思い切りの悪さで、彼氏いない歴ウン年の更新を続ける。
★婚活のプロに聞いた「結婚できない人」にありがちな4つの特徴