2011年からモーニング娘。として活躍し、エースとして絶大な人気を集めていた佐藤優樹さんが、CanCam.jp初登場!
指原莉乃さんや松岡茉優さん、新木優子さんなど芸能界にもファンを公言する人多数の「まーちゃん」こと佐藤優樹さんは、2021年にグループを卒業後、現在はソロアーティストとして活動。11月6日に待望の2ndシングル『嵐のナンバー/花鳥風月 春夏秋冬』をリリースします。
インタビュー前編では、佐藤さんが信念を持って日々臨む「音楽」の話を深掘り。こだわりと詰め込んだ選曲やレコーディングの裏話など、撮り下ろし写真とともに、たっぷりお届けします!
選曲から携わって、あえて「不得意」をギュッと集めた1枚
―リリースする『嵐のナンバー/花鳥風月 春夏秋冬』はどんなシングルか、改めて教えてください。
今回は、私がこれまで挑戦をしてこなかったものや、不得意なものをギュッと集めました。たとえば、『嵐のナンバー』は低音、『花鳥風月 春夏秋冬』は大人の色気、アディショナルトラックの『Sorry!』はかわいさ、『とどめ』は私のキンキン声に合わせるのが難しい曲調。特に、『Sorry!』のようなかわいい曲は、モーニング娘。時代「かわいい担当」ではなかったこともあって、「苦手だし、かわいい系の曲は私が歌わなくてもいいや」と思っていたんです。でも、ソロでやっていくなら、いろんな歌を歌いこなせないと。いつかソロで2時間コンサートをするときに、同じ系統ばかりだとお客さんが眠くなっちゃう可能性もあるなと(笑)、それでいろんな歌い方に挑戦したくて、4種類まったく違う曲にしました。
―選曲も関わられたんですか?
そうです。前回の1stシングルは、ソロで活動すること自体が未知の世界で、基本的にスタッフの皆さんにお任せしていたんですが、そのときに「ソロは、自分が何をやりたいか、どうしたいかが大切なんだな」と気付いて。
アディショナルトラックの『とどめ』『Sorry!』は選曲から関わっています。40曲くらい候補があった中から、どういう表現や構成にしたいか考えて絞りました。中には「すごくいい曲だけど、パワーが強すぎて、今の私では歌えない」というものもあって、悩みながら「今の自分で挑戦するなら、これだ」と5曲まで絞って、ワンコーラスずつレコーディングして、『Sorry!』『とどめ』の2曲に決めました。今年の年明けくらいから、じっくり曲を選んで、レコーディングして、半年くらいかけて作りました。
―かなりたっぷり時間をかけて制作されたんですね! レコーディングでこだわった部分を教えてください。
『嵐のナンバー』は、まず4パターンの音質を作ってもらって、どれがいいか選ぶところから始めました。仮歌の時点では、もう少し「チャラめ男子」みたいな音だったんですけど、「佐藤の声には、もっとクールビューティーなほうがいいかも」と、ディレクターさんとエンジニアさんがたくさん時間をかけて音源を作ってくれて、今のものに変わりました。
マイリー・サイラスの『FLOWERS』のように、色っぽいけど締めるような声を出してほしいと言われ…苦戦しまして、4〜5時間のレコーディングを4回くらいやりました。1回めのレコーディングは、全部キーのチェックだけ。本当にこのキーがいいのか、マイナス1がいいのか、それともマイナス3くらいがいいのか、何バージョンかフルでレコーディング。半音ずつ下げてみて、コードもGマイナーがいいのか、Aがいいのか、バイオリンの音があったら歌いやすいんじゃないかとか。それとは別に、部屋を真っ暗にしたら声の出方は変わるのか、いろいろチャレンジしました。2回目からはいろんな声質で歌って、4回目のレコーディングでやっと決まりました。
―もうひとつの表題曲『花鳥風月 春夏秋冬』はどうでしょうか?
『花鳥風月 春夏秋冬』は、これもまず音質だけ関わらせてもらって、もとは楽器が打ち込みだったんですが、生の楽器に変えてもらいました。「年季が入った、ヴィンテージエレキギターのように歌って」とディレクターさんに言われまして。今まででいちばん難しかったオーダーだと思います。「どういう声になったらヴィンテージギターなんだろう? サビてるのか?」と(笑)。私はもともとキンキン声で、エレキギターっぽい声じゃない。なので、キンキン声をまず捨てて、真逆の低音を響かせてエッジを効かせる歌い方をするのが本当に新しかったです。それで結局、喉が痛い日に「今風邪引いてるんで、ギシギシした声出せるので、いけます! 今日1回やりたいです!」と言った日にレコーディングしたものが採用になりました。大人っぽい色気がある歌い方を学べたので、今後もこの歌い方を使っていけるといいな、と思います。
―選曲から関わった『Sorry!』『とどめ』はどうでしょうか?
『Sorry!』はとにかく、通ってこなかった「かわいさ」。「ぶりぶりした感じは優樹にはできない!」という話をしていたんですけど、あえて挑戦しました。かわいさだけを考えると歌詞が抜けて、音程も取れなくて歌詞も伝えられなくなってしまうので、どうしたら「かわいいけど、リズムも保って、ちゃんと歌詞を伝える歌い方ができるのか」。そこのバランスが難しかったです。
『とどめ』は、トランペットとサックスの間のような音がシャ乱Qさんっぽくて好き。でも、とにかく私の声と曲が合わなくて、歌うのがめちゃくちゃ難しくて、これもレコーディングに本当に苦戦しました。本当はもっと大人というか、「エロさのある声」で歌いたかったんですけど、まったくできなくて。
モーニング娘。時代は、自分が担当するワンフレーズを全力で歌えばよかったけど、今は曲のすべてを自分で歌い切って、聴いている人に「妄想させる」ような歌い方をしなきゃいけない。「一旦、リズムで歌うのをやめてみたら?」と言われて、ここ1年くらいやめていたんです。でも、『とどめ』は、久しぶりに16ビートを中心にして、つんくさんっぽいエロさのある声で歌いました。
モーニング娘。時代にファンに伝えた「私から、一度離れて」の真意。
―ここまでの話を聞いていると、本当にたくさん佐藤さんが考え抜いて、意見が反映された1枚なんですね。
でも、実は1stシングルのときも、『愛のサバイバー』だけは、私の意見から急遽追加で作っていただいた曲だったんです。ぶっちゃけると、表題曲の『Ding Dong』のMVが出たときは、まだ『愛のサバイバー』は、音源もできあがっていませんでした。
―そんな裏話が! 急ピッチで曲を増やしたのは、どういう理由があったんでしょうか?
1stのときに最初に完成した5曲は、モーニング娘。時代の私とは、完全にガラッと変わるものでした。「新しいことに挑戦はしたいけど、今までの私も残してほしい、ファンの人を置き去りにした歌い方はしたくないな」と思って。
それで、レコーディング終わりに「私の意見を言ってもいいですか?」とディレクターさんに聞いたら「じゃあ、今の気分を教えて」と、そこから4時間くらいしっかりお話しました。たとえ話なんですけど「アメリカに住んでいたところから卒業して、違う国に引っ越したら、英語はもうしゃべっちゃダメなんて嫌、どっちの言葉もしゃべりたいし、どっちの友達とも仲良くしていたい感じ」というような話をして…そんな私の話を聞いて、ディレクターさんが急いで作って持ってきてくれた曲が「愛のサバイバー」で。「あ、ガチで私の話聞いてくれてたんだ」と思うくらい(笑)、しっかりハマりました。私のことを昔から知ってくださっている人のために作ってもらった曲というか、残っていたファンの方がいたからできた曲、という感覚です。
私、モーニング娘。を卒業することを発表した少し後に「私がモーニング娘。を卒業したら、私から一度離れてください」と、ファンの皆さんに伝えたことがあったんです。それは、きっとこうなるだろうな、とわかっていたからなんですけど…。
―どういうことでしょうか?
グループを卒業したら、モーニング娘。の私とはガラッと変わる。私の意見が通らない可能性もあって、「こんなのまーちゃんじゃない」と思う人もいる。それに、モーニング娘。時代はメンバーのみんながいて心強かったから大きなステージに立てていたけど、ひとりで立つのは、今も緊張します。そんな未熟なところから始まるから、見ていてつまらないかもしれない。それなら、モーニング娘。のところにいたほうが幸せですよ、ということを伝えたくて「一度」離れてください、という話をして…。
たまに「離れてって言ってたけど、戻ってきたよ」とファンの方に言われることがあります。でも「ずっと離れてほしくて言ったわけじゃなくて、モーニング娘。とソロは全然違うだろうし、私も最初は自信を持って立てるとは限らないから、幸せよりもネガティブを与えちゃうかもしれない、今の私といても幸せになれないかも」という思いで「一度」と入れたんです。「私がもう一度皆さんを幸せにできるような、ポジティブなところに戻ってきたら、またいつか会いましょう!」という意味で。
…でも、思った以上にファンの方が残ってくれて。「それなら、私、自分の意見言います!」と、今回からはたくさん意見を言うようにして、特にアディショナルトラックは完全に私のやりたいことをやらせてもらっています。『Sorry!』は、実はもともとは『HELLO』という曲名だったんですけど、「あのときは、離れてなんて、あんなきつい言い方してごめんね。でもそれが私の性格だから、それもごめん!」という思いから、『Sorry!』というタイトルに変えました(笑)。選曲のセンスも、次回までにもっと磨いていかなきゃな、ということが課題です。
女の子の気持ちがわからない!
―今回の曲の歌詞についてはどうでしょうか?
まず、私、10年くらいずっとつんく♂さんが作った曲を歌ってきたので、女の人が書く歌詞って、難しいんですよ。
―どう違うんでしょうか?
つんく♂さんが書くのは「つんく♂さんという男性からみた女の子」。たとえばモーニング娘。時代の『私のなんにもわかっちゃない』という曲に「ああ 女なら感覚で分かるだろう」という歌詞があるんですけど、実はこれって男の人のつんく♂さんからは出てくるけど、女の人からはなかなか出てこない言葉じゃないですか。
それもあって、最近「男性が書く、男性の曲を歌ってみよう」と、イベントでポルノグラフィティさんの『サウダージ』や、二宮和也さんの『メリークリスマス』、Da-iCEさんの『TOKYO MERRY GO ROUND』のカバーに挑戦したら、やっぱり男性の曲のほうがつんく♂さんの曲と同じような感覚で歌えて、理解できて、純粋でかわいいところがあるなと思えて、ある意味一周回って女の子っぽい。でも、女性の曲は本当に難しい! 私、女の子なのに、女の子の気持ちがわからないんです(笑)。
―モーニング娘。やハロー!プロジェクトには、ありとあらゆるタイプの女性がたくさんいて、いろんな方に深く接してきたかと思うんですが、それでもやっぱり難しいものなんですか?
なんていうか…ハロー!のみんなは、そういう部分を見ることがないんですけど、友達の話を聞いていると、男の人が入ってくると、「何考えてるの!?」って思うことが多くて(笑)。たとえば友達でも、男性と女性で態度が変わるとか、男の人がお会計を払ってくれるのが当たり前とか、不機嫌だったら彼氏さんには当たって当然とか、「どうしてそう思うの!? いちばん大切にしている人にそれができるのが、全然わからない! 女の人は彼氏といたらプリンセスってよく言うけど、これがプリンセスだったら世も末だ〜!」って、友達とサヨナラしたこともあるくらいです(笑)。私にとって、女性が書く歌詞はそのくらい難しい。でも、もっと理解はしたいので「あっ、こういうときにこういう感情になるんだな」と受け止めるようにしています。
―ちなみに、歌いやすい曲を求めて、自分で作詞はされないんですか?
マネージャーさんにも「自分で作ったら?」と言われるんですが…全然まだまだです。今、大学で作詞作曲を学んでいるんですが、課題で作詞をすることがあっても「一生懸命、日本語を使っている感」が出てしまうというか。たとえば槇原敬之さん、aikoさん、Mrs. GREEN APPLEさんの歌詞の表現が好きなんですけど、何が好きかって、言葉の置き換え方が好きなんです。でも、私が「愛してる」を「愛してる」以外の言葉で表したいときにうまく違う言葉に置き換えられなくて、類語を調べてそれを当てはめたり、ちょっとくどい感じになってしまったり…。だから、まだ今は世に出せないです。
―MVで「ここを見てほしい」というポイントや裏話があれば教えてください!
『嵐のナンバー』も『花鳥風月 春夏秋冬』も、どっちも強めの前向きな歌詞で、強気な女性像を見せたいと思ったときに、「ちょっと私の眼球だとちゃっちいな」と思って(笑)、初めてカラコンをつけました! 今まで1回もつけたことがなかったんですけど、13種類くらいピンときたものを買い集めて、つけ比べて。メイクも本当は「もっとアイラインをぎゅいーんと引いてください」とお願いしたんですが「似合わないからやめよう」と削られました(笑)。
ネイルも、普段はピアノを弾くので短めなんですけど、強さが欲しかったので、MV撮影の1日のためだけに長さ出しをお願いして。どっちのMV撮影も次の日にピアノを弾く日だったので、1日だけですぐ取っちゃったんです…。確か、「ピアノ→MV撮影→ピアノ→特になし×3日→MV撮影→ピアノ」のスケジュールで。ネイリストさんに「こんなに上手くいったのに、なんてひどいことするんですか〜!?(笑)」ってふざけて言われました(笑)。外見の見せ方にここまでこだわったのは初めてかもしれません。
来てくれた人が、幸せになって帰れる場所を作りたい
―これから、こういう活動をしていきたい、というものがあれば教えてください!
私はそれこそ音楽を聴いて元気になって、音楽に助けられてきました。だから、「最近元気がないな、笑うこと忘れちゃったな」という人が、私のコンサートを見に来てくれたら、ひとりひとりが幸せになって帰れるような場所を作りたい。マイケル・ジャクソンとか、ジャスティン・ビーバーのように、人を幸せにできるアーティストになりたいんです。そのためにはいろんな歌い方をできるようになって、MCももっと上手になって、ドシッと自立した人間にならなきゃいけない。頑張ることがたくさんあります。
よく、母が言うんです。「まーちゃんは、いろんな人を幸せにできる仕事をしているのに、どうしてネガティブなことばっかり言っちゃうの? みんなを幸せにすることだけを考えなさい」と。「そうだ、確かに」と思っていたときに、今回の『嵐のナンバー』『花鳥風月 春夏秋冬』がやってきてくれて、踏み出したいけど踏み出せない一歩を踏み出させてくれました。
ちょうど、事務所の方に、去年の11月に「嫌なことから逃げるな」と怒られまして。
「やりたいことばっかりやっていると、嫌いなことが待ってる。でも、嫌いなことも挑戦しようという意識があると、いいことがある。なにごとも陰と陽で、好きな『陽』ばっかり選ぶな。それに、嫌なことがあるから、いいことがさらによく感じられるんだよ。モーニング娘。時代から来てくれているお客さんも、佐藤には挑戦し続けてほしいと思うよ、挑戦するから新しいことが広がるんだよ」と…。
今25歳なんですけど、このくらいの年になると、私のことを思って怒ってくれる人は、本当に少ない。「やりたいなら、それでいいんじゃない?」になるじゃないですか。でも、その方は1時間くらいかけてしっかりお話してくれて、「こんなに私のことを思って怒ってくれる人がいるんだ、頑張ろう」と、しびれました。そのお話を理解して、今までの私は苦手なお仕事を少なめにしてもらっていたのですが、「これからはいっぱい入れてください!」とマネージャーさんにお願いして。まだひとりでやっていくのは不安もありますが、これからも苦手なことにも恐れずチャレンジしていけたらいいな、と思います。
後編は、最近ハマっていることなど、プライベート編をお届けします。お楽しみに!
佐藤優樹
1999年5月7日生まれ、北海道出身。
2011年9月、「モーニング娘。10期メンバー『元気印』オーディション」に約6000人の応募の中から選ばれ、小学6年生でモーニング娘。に加入。類まれな音楽的センスで見る人を惹きつけ、圧倒的な人気と実力を兼ね備えたグループのエースに。2021年12月、惜しまれながらグループを卒業し、2023年3月にソロデビュー。
2ndシングル『嵐の難ナンバー/花鳥風月 春夏秋冬』11月6日リリース!
MVはコチラ→嵐のナンバー/花鳥風月 春夏秋冬
2ndシングル特設サイト https://up-front-works-sp.com/masaki-sato/A-number/
公式Instagram @masaki.s_0507.official
公式X @masaki_staff
公式TikTok @masaki_sato.official
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