相手が考えていることは、なかなか読めないもの。「口では大丈夫だよーと優しく言ってくれているけど、目は笑っていなかったし、話が終わったあとにため息をついていたし、本当はもう関わりたくないんじゃ…」などと深読みをしてしまう癖がある方、いませんか? 誰にもわからない真実をつい考えすぎてしまって落ち込んでしまうと、なかなか辛いですよね。
この「あるある」なお悩みを解決する方法について、「おおざっぱに笑って健康に生きる」をモットーに活躍する「ラフドクター」、精神科医・産業医の井上智介先生にうかがいました。
井上智介先生
精神科医&産業医
「おおざっぱに笑って健康に生きる」をモットーにした「ラフドクター」として活躍中。書籍多数。近著に『がんじがらめの心がラクになる 「呪いの言葉」の処方箋 』など。
「深読み癖」をやめたい
Q.仕事の先輩に何か言われると「もしかして本当はこれも指摘したいのに私ができなさすぎて言えないのでは?」「大丈夫だよーと言ってるけどイライラしているのでは?」と、相手が本当に思っていることを深読みして考えて落ち込む癖があります。やめる方法はありますか?
このようなお悩みを持つ方は、おそらく自分に自信が持てなくて、自己評価が低い方です。だからこそ、相手が何を考えているのか過剰に心配して、人の心の中を無理やり読もうと深読みして、ネガティブな評価をしてしまう。自分に自信があれば、しない可能性が高い思考です。
ただ、こうして「私は深読みするクセがある」と気付けているのは、とても重要なこと。自分がそういうループに入っていることに気付くことが、大事な最初の一歩です。気付けないままグルグル悩んでいる方が、とても多いんです。
こうして「あ、深読みしている」と気付けたら、次にやってほしいのは「そう思う証拠の確認」です。「相手にネガティブな評価をされている」という根拠を探してみてください。
探してみましたか? ……きっとほとんどの場合、出てこないはずです。「なんとなくそう思う」でしょう。そういう場合は「思い込みだな」と、受け流せる考え方を身につけて、「本当に言いたいことがあるなら言ってくるよな」と着地させましょう。
もし本当にネガティブなことを思っているとしたら、それをきちんと伝えるのも、先輩や上司の役割です。伝えられている分だけがあなたの評価なので、勝手に膨らませないことが大事です。
ちなみに「先輩が毎回自分の前でため息をついているから、自分のことがイヤに違いない」などは、根拠になりません。あなたが想像で結びつけてしまっているだけで、ふたを開けてみれば、あなたとはまったく関係なく「ただ眠くて疲れている」「家庭のことで困りごとがある」だけかもしれませんよ。
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