このモヤイ像に似たもの、なんだかわかりますか? 耳だけやたらリアルで、一見ちょっとコワイ……。
こちらの正体は「ダミーヘッドマイク」というもの。今、女性向けゲームやドラマCDで大人気のマイク機材なんです!!! と、偉そうに言いましたが、私もその存在を知ったのはつい最近のこと。声優好きのアルバイト女子大生Hちゃん(23歳)に「ダミーヘッドマイクって知ってる?」と尋ねたところ、「ダミヘがどうかしました?」と普通に返されたので、どうやら一部女子の間ではすでに常識なようす。
「ダミヘって略すんだぁ……」と思いながら「なんで頭の形してるの?」とか「どうして人気なの?」など、興味しんしんになったので、実際に女性向けドラマCDの収録現場にお邪魔してきました!!
じゃーん! こちらが「ダミーヘッドマイク」の全体像です。スタジオの方に聞いたところによると、耳の鼓膜の奥の位置に高感度のマイクが仕込まれていて、役者さんの話す位置や声量によって、実際にその場で聞いているような臨場感のある収録ができるんだそう。
役者さんは、演じるときにマイクを主人公(ユーザー)に見立て、きちんとシチュエーションに合った位置からセリフを言わなくてはなりません。台本には、セリフとともに立ち位置の番号が指定されていて、それに合わせて、役者さんは正面、後ろ、ななめ、と演じながら位置を変えていきます。
同じように「横」でも、隣に並んで歩いているときと、耳元でささやいているときでは、主人公との距離感が違うので違う番号が割り当てられています。細かい!! セリフごとに位置を指定する作業だけでも大変そう……!
演技しながら立ち位置も意識するのも難しそうです。この日収録に来ていた役者さんに聞いてみると、ヘッドがあることで感情移入しやすいというメリットもあるいっぽう、「感情移入しすぎると、マイクが高感度なので息が入ってしまったり、動きすぎて衣擦れのノイズが入ってしまうので、バランスが難しい」とか。さらに「ただ指定された番号の位置で演じるだけではなく、セリフを言いながらだんだんマイク近づくようにしたり、より臨場感が出るように心がけています」とのこと。SUGEEE!
制作側も演じる側も、通常の録音より手間と時間をかけて行っているダミーヘッドマイクでの収録。もうこれは実際に聞かせてもらうしかない…!
役者さんがダミーヘッドマイクの耳元で話すと…
私は離れた位置にいるのに、うひょおおおおお、隣から声がするーーー!!
役者さんがダミーヘッドマイクの後ろから話すと……
うひょおおおお、後ろに誰かがいる!!!(と、思わず後ろを何度も振り返ってしまった)
スタジオの方も「ぜひヘッドフォンを着用して聞いてほしい」とおっしゃっていましたが、この予想以上の臨場感は一見の……いや一聴の価値ありです。こんな素敵な声で耳元で甘いセリフをささやいてくれるなら、ダミーヘッドマイクでの収録が急増しているというのも納得です。
ちなみに、私がうひょーうひょーとしている傍ら、制作の方たちは、演じる声を聴きながらセリフの言い方などに注意するのはもちろん、「もう少し後ろから話してください」「もうちょっと耳元近くで」など、聞こえ方も冷静にチェック。制作の方のそういった細かいこだわりが、より臨場感アップにつながっているんだとわかりました。
ちなみに、こちらのスタジオで使用しているダミーヘッドマイクのお値段は1本約100万円。なかなか個人で入手できる値段ではありませんが、ぜひ作品でダミーヘッドマイクの威力を一度体験してみてください!(安念美和子)
取材協力:スノゥドロップス、株式会社フリークス スタジオ四次元
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