「コネ転職」って本当にいいの?メリットとデメリットの調査結果とは
人生100年時代ということもあり、「転職」もキャリアプランの1つとしてよく耳にする言葉になりました。そんな転職の中で、「コネ転職」は昔からありますが、現在は「リファラル(推薦・紹介)採用」という言葉に変わり多くの企業で取り入れられているようです。
実際このようなコネを使って転職活動をすることにはどのような、メリット・デメリットがあるのでしょうか。株式会社ビズヒッツが249名の男女におこなった「コネ転職に関する意識調査」の結果をもとに見ていきましょう。
転職時、誰のコネを利用しましたか?
1位 親…57人
2位 友人…42人
3位 親戚…33人
4位 上司…27人
5位 取引先…25人
6位 知り合い…20人
7位 母校・恩師…13人
家族や友人などプライベートでのつながりを利用した人が多かったものの、「上司」「取引先」など前職の関係者のコネを使った人も多くいました。6位「知り合い」の回答内容はさまざまで、「プライベートで知り合いになった経営者」「同じヨガスタジオに通っていた人」「アパートの大家さん」のコネを使ったという体験談が寄せられました。なお8位以下には「兄弟」なども入っています。
多様な関係者から繋がって転職をする人が多いコネ転職ですが、そのメリットはどう言ったところにあるのでしょうか。
コネ転職のメリットはなんですか?
ダントツの1位は「採用までがスムーズ」でした。2位には「採用されやすい」が入り、採用に至るまで楽さを挙げた人が多くなりました。3位以下は「待遇がいい」「事前に職場の雰囲気がわかる」と続きます。8位以下には「ハードルが高めの転職が叶う」「融通がきく」などが入りました。それでは具体的な回答を見ていきましょう。
【1位 採用までがスムーズ】
・最終面接までのスピードが他の方に比べて早かった(女性、転職時25歳)
・採用試験で1次面接だけ受けて合格した(女性、転職時32歳)
・採用試験結果がめちゃめちゃ早く判明すること(男性、転職時35歳)
「面接・履歴書なしで転職できた」「面接が1回だけですんだ」「採用の連絡までが早い」「即採用された」など、採用までがスムーズという意見が多数。面接を受けた人からも「たいしたことは聞かれなかった」「顔合わせのような挨拶で済んだ」という体験談が多く寄せられました。会社側も社員の推薦ということでコンパクトな選考を実現できるのかもしれませんね。
【2位 採用されやすい】
・採用試験は通常通り受けるが、安心感があった(女性、転職時24歳)
・100%内定が貰える(女性、転職時27歳)
・採用面接が形式的で入社は決まっていたため、面接で緊張しなかった(男性、転職時34歳)
「入社できるのは決まっており、試験・面接が形式的」「不採用になる可能性がほぼない」という回答が多く寄せられています。先行での一番の不安は合格か不合格かわからないこと。その天で安心することができるので、「精神的に不安にならなくていい」「採用前提で話が進んだので、転職に伴う引越しなどの準備に時間を割けた」という意見・体験談もありました。
【3位 待遇がいい】
・最初のスタートが平社員ではなく役職付きであることがメリット(女性、転職時23歳)
・入社の際、一般の給与と比べて高い初任給に設定してもらえた(女性、転職時29歳)
・外資系でやりたいポジションにつけるのと、年収UP(男性、転職時46歳)
「役職付きでの入社」「普通に入社した人より給料がいい」などの回答が寄せられました。
「パートとして入社し、半年で正社員になれた」「コネの力で出世できた」という声も。「部署を自分で選べた」という人もいました。昇進面でもコネ転職は大きなメリットがあるようです。
【4位 事前に職場の雰囲気がわかる】
・会社の雰囲気や給与や福利厚生面がわかり、不安がなかった(女性、転職時25歳)
・社内の実情や問題点などを理解したうえで、面接を受けられる(男性、転職時29歳)
・あらかじめ、転職先の職場ムードなどの情報をえられたことがメリット(男性、転職時48歳)
「社風や職場の雰囲気、働き方がわかること」をメリットとして挙げた人も多くなりました。入社後に社風が合わず退職を考える方も多数いる中で、事前に聞けると不安が少なくなりますし、社風が自分に合っているか知ったうえで面接に臨めますね。
【5位 事前に人柄について伝えられる】
・自分の身元と能力が相手にわかってもらえている(女性、転職時32歳)
・自身の人となりや人間性が伝わり、簡単な面接になるのがメリット(男性、転職時34歳)
・先に人となりを伝えてくれているから好評価で面接をしてもらえる(女性、転職時39歳)
事前に紹介者から採用担当者に「人柄」「学歴」「職歴」について伝えてもらえることをメリットだと考える人も多くなりました。「最初から信用してもらえる」「はじめから親しみを持って話しかけてもらえる」などの意見も。入社してから「私について伝えてくれたことで、働きやすい環境になっていた」と感じた人もいました。
【6位 気にかけてもらえる】
・叔父さんの友達である部長クラスの人達から声をかけてもらえる(女性、転職時24歳)
・コネのおかげで、周りが丁寧に教えてくれた気がする(男性、転職時32歳)
「上司や経営者が優しくしてくれる」「周りからサポートしてもらえる」といった体験談が寄せられています。「社長のコネなので、新入社員教育時、担当講師が優しい」「私の背後に紹介者の影がちらつくからか、転職先で丁寧に扱ってくれる」などの回答もありました。気にかけてもらえると、入社後も安心ですね!
【7位 職場に馴染みやすい】
・先に自分の人物像が先輩から社内に広がっているので、溶け込みやすい(男性、転職時23歳)
・入ってすぐに周りと馴染みやすい(女性、転職時44歳)
「先に顔を覚えていてくれたので、馴染むまでがスムーズだった」「同僚・上司になる人は全員知り合いだった」などの回答がありました。転職した本人は「知り合いがいることで、馴染みやすい」ですし、受け入れる側も「あの人の知り合いなら」と受け入れやすくなるのでしょう。
ここまで見ていると、いいことづくしと思うかもしれませんが、デメリットと感じる点もあるようです。それは一体どう言ったところなのでしょうか。
コネ転職のデメリットはなんですか?
ダントツの1位は「辞めにくい」でした。2位以下はかなり差がついて「周囲の視線がツライ」「期待が大きい」と続きます。8位以下には「仕事・職場への不満をいいにくい」「周囲から気を使われる」などが入りました。また「デメリットはない」と答えた人は11人でした。
ではメリットと同様にそれぞれの回答を詳しく見ていきましょう。
【1位 辞めにくい】
・「紹介者に迷惑がかかる」と悩んで、なかなか退職に踏み切れなかった(女性、転職時24歳)
・親切にしてもらっていたため合わなくても「辞める」と言えず、ギクシャクしてしまった(女性、転職時29歳)
・退職しにくいです(男性、転職時40歳)
「辞めたら紹介してくれた人に迷惑がかかるのでは」「スムーズに採用してもらったのに申し訳ない」と感じ、退職を言い出しにくかった人が多数。「言い出せずに数ヶ月経ってしまった」「結婚して退職しましたが、紹介者である父や採用してくれた社長のことを考え、かなり退職時期を遅らせました」などの意見も。また退職したあとに「コネを使って下さった方に、親が謝罪しに行った」という体験談もありました。
【2位 周囲の視線がツライ】
・コネを使ったことで、転職したばかりの頃は仕事ができないと思われた(女性、転職時25歳)
・同僚が冷たい目で見てきた(女性、転職時30歳)
・周りに努力して入社していないと思われる(男性、転職時37歳)
「コネ入社という色眼鏡で見られてしまう」「周りの視線が冷たい」という回答が目立ちました。「同期や年齢が近い人からはあまりよく思われていなかったので、昼休憩の時間が少し寂しかった」という人も。「紹介者と紐付けて見られる」「自分自身を見てもらいにくい」という意見もありました。まだ転職が普及したとはいえ海外ほど当たり前になっていないからこそこのように感じる人も多いようです。
【3位 期待が大きい】
・紹介されたくらいだからスキルが高いと思われている(女性、転職時22歳)
・最初からある程度仕事ができなければいけない(女性、転職時34歳)
・社長推薦での就職だったので、仕事の成果に対するプレッシャーがすごい(男性、転職時40歳)
「この人の紹介・推薦だから、もっとできるでしょ」「経験が過大評価された」など、期待されてしまったという人が多くなりました。「期待が重荷だった」「期待にこたえようとするプレッシャーがきつかった」という回答も。中には「期待されて入社したが、そこまでの能力はないなと会社の方から評価された」という経験をした人もいました。「転職=引き抜き」と言った考えに方があるようにスキル面が重視されることも多いのかもしれません。
【4位 紹介者に対するプレッシャー】
・「ミスをすると、紹介してくれた親族の顔に泥を塗ってしまうんじゃないか」というプレッシャーがつきまとう(男性、転職時25歳)
・仕事でミスをしてしまった時に、引き抜いてくれた人にペナルティがいかないかヒヤヒヤする(女性、転職時33歳)
「紹介者の顔に泥をぬれない」「仕事ができないと、友人の評判に関わる」などの回答が寄せられています。紹介者のためにも「ミスをしてはいけない」「雑な仕事では失礼」「まじめにしないと」「サボれない」など、プレッシャーを感じた人も多いことがわかります。
【5位 陰口・いじめにつながる】
・コネ入社を妬む人から陰口を言われたりしました(女性、転職時23歳)
・社長のコネと陰口を言われる(男性、転職時28歳)
「嫉妬によるいじめが多少あった」「同僚から嫌味を言われた」「親族の人なんだとコソコソ言われてしまう」「紹介者によくしてもらった分、それをよく思わない人からのいじめがひどかった」といった回答がありました。中には「根も葉もない噂を立てられた」という人もいました。
【6位 気をつかう】
・叔父さんの友達が直属の上司だったため、気をつかいました(女性、転職時24歳)
・親族が同じ会社内にいると、周りから弟の話をされることがあり、気をつかってしまいます(男性、転職時30歳)
「いつも礼儀正しい行動を意識していました」「休むのに気をつかった」などの回答が寄せられました。「紹介者とSNSで繋がっており、投稿を見られていると思うと気をつかった」という人も。「仕事とプライベートの知り合いが同じ」となると、プライベートアカウントにも仕事の愚痴などを書きづらくなりますね。
【7位 能力に見合わない仕事】
・必要な能力がないのに採用されてしまい、仕事ができずに困る場合がある(男性、転職時28歳)
・周囲と能力差があった(女性、転職時32歳)
「パソコンを使いこなせなかったので苦労した」「実力が足りない」など、入ってから苦労したエピソードが寄せられました。また「学歴やスキルが不足していたため、周りの同僚からよく思われなかった」という回答もありました。
メリットは多くあるものの、「紹介者に迷惑をかけられない」、「能力に見合わない」などの考慮すべき点があることがわかりました。そう言った不安を減らすためにもやはり企業研究をすることは新卒採用においても、転職においても変わりなく重要な取り組みなのかもしれません。