美容師300人が本音で答えた「なりたい髪型」に近づくために知っておきたい4つのこと

美容室。1〜2か月に1回行って髪を整えてもらうと、見た目がすっきりキレイになるのはもちろん、気分もアガる欠かせない存在です。

毎日たくさんの人と接し、たくさんの人を次々と美しくしていく美容師さんたち。でも、やっぱり美容師さんも神様ではなく人間。お客さんのオーダーの仕方によって、願いにより近づきやすくなったり、ちょっと困ってしまったり…ということがあります。

今回は都内で働く美容師さん300人に「思い通りの髪型に近づきやすくなるオーダー」について本音をうかがいました。

Q.お客さん側から何を伝えると思い通りの髪型になりやすいですか?(複数回答可)


1位 好きな雰囲気の写真を何枚か持ってきてくれる…82.0%
2位 OKイメージとNGイメージをはっきり伝えてくれる…52.3%
3位 正面、横、後ろで頭が切れていない写真を持ってきてくれる…39.3%

 

やっぱり失敗しにくいのは「複数枚」イメージ画像を見せること。何枚か見せることで、共通しているなりたい像やしっくりきているポイントを美容師さんも見つけ出しやすくなります。何度も通っている美容師さん相手なら「いつもの感じで」でもいいものの、まだあまりお互いの好みや得意分野がわからない状態のときや、大幅にイメチェンをしたいときは「なりたいイメージ」「逆に、これはイヤだというイメージ」をきちんと共有することが重要です。

 

基本的には、美容師さんはもちろん「来てくれたお客さんをより美しくしたい!」という思いでひとりひとりに向き合っています。だからこそ「どうしても叶えられない」というオーダーが来てしまうと、叶えたい気持ちとできない現実に挟まれて困ってしまうよう。いったいどんなオーダーなのでしょうか? 本音を聞いてみると、私たちが取りたい行動・避けたい行動が見えてきました。

 

Q.美容師さんになりたい髪型を伝えるコツや避けてほしいことって、何ですか?


【1】「髪の状態によって、できることとできないことがあること」を知っておく

美容師さんは当然髪のプロですが、すべての願いを100%叶えられる神様ではありません。ひとりひとりの髪質や生え方などを見て、合った髪型を提案してくれるもの。

「このくらい髪にダメージがあるから、何回もブリーチが必要なこの色はできない」「この長さでは、この髪型はできない」など、その人の髪の状態によってはどうしてもできないことが発生することを、まずは知っておきましょう。「絶対この髪型になりたい!」という仕上がりイメージを持つことは素敵ですが、同時に「その髪型をそのまま自分にできるとは限らない」ことを認識して。

具体的には、こんなオーダーはできないことがほとんど。

・希望のスタイルと髪質・長さが合わない

「希望のヘアスタイルに対して、長さが足りない」(回答多数)
「やりたい髪型とお客様の髪質や長さ・生え方が違った場合、イメージ通りにならないからやめた方がいいとお伝えします。それでもどうしても…という場合は、やってみてもいい結果にならないことが見えているので困ってしまいます」(回答多数)
「黒染めをしてまだそんなに間もない頃、明るくしたいというオーダー」(回答多数)
「傷みすぎて施術できないとき」(回答多数)

・希望とオーダーが矛盾している

「ブリーチ必須のお色で、ブリーチしたくないとお願いされる」(回答多数)
「パーマ必須の髪型を希望されているのに、パーマはかけないでほしいという場合」
「クセが強めの方がカットだけでストレートにしてほしいというオーダー。なかなか不可能です…」

・その他

「アニメのキャラクターとまったく同じ髪型にしてというオーダー。どうしても実際の人間だとできるものとできないものがあるので、近づけることはできても、まったく同じは難しいことがあります」
「髪が痛みすぎているのに『髪が切れてもいいので、とにかくブリーチやパーマをしてほしい』という要望。髪のことを考えると難しいです」

どのメニューが、どれだけ最小限に抑えるにしても最低限どのくらい髪にダメージがあって、どのくらい髪の長さが必要で、どんな髪質だとどうやってもできないのか。美容師さんは髪のプロだからこそきちんと知っています。

もちろん、もしかすると希望に近づける道があるかもしれないのでひとまず伝えるだけ伝えてみるのはアリだとしても、美容師さんが難しい理由を説明しても「絶対にこれじゃなきゃイヤ」と曲げないことはお互いのためにならないので、控えましょう。

また「ネットで得た知識を信頼するあまり、こちらの提案を受け入れてくれないパターンがあります」という声も。髪質は十人十色千差万別。あなたの髪をしっかり見てくれている美容師さんのことも信頼して。

【2】したい髪型のイメージをできるだけ持っておく

美容院に行く前には「どういう髪形にしたいのか」というイメージをある程度持っておきましょう。まったくなにもイメージがない状態でカットするのは、美容師さんにとっても難しいもの。冒頭で出てきた「写真を見せる」「これはいい・これはイヤだということを伝える」など、お互いに最終的なイメージを共有しておくことが重要です。

一方で、こんなことをしてしまうと美容師さんも希望を叶えるのが難しくなってしまうようです。

・注文が何回も変わる

「カウンセリングをして切り終わった後に、「もっと切りたい」「やっぱり違う髪型にしたい」となってしまい、ずっと終わらない」(回答多数)
「途中でころころ注文が変わってしまう方」

・「とりあえず切ってみてほしい」というオーダー

「長さがまったく決まっていなくて『とりあえず切ってみてください。あとで長ければもうちょっと切れますか?』と言われたとき。『切る』は取り返しがつかないので、できるだけ具体的なイメージがあったほうがいいです」
「スタイルが何も決まっておらず、カウンセリングでイメージのスタイルをお話しするより、カットしながらイメージを伝えたい方。切っても切っても、こうしたいが終わらなく延々と終わりが見えない。やっぱり最終的なイメージは伝えていただいたほうが、より素敵にできると思います」

・髪の状態を全て教えてくれない

「カウンセリングでブリーチ・黒染めや縮毛矯正をやったことがないと言われたのに、施術し始めてから『やっぱりある』と言われたとき。ここの有無でやるべきことが変わってしまうので、最初に伝えてもらったほうが理想のヘアスタイルに近づけます」

「一度やってみて、後から調整したらいい」とうっかり思ってしまいますが、美容師さんたちは繊細なバランスで私たちの髪を整えてくれています。やりたい髪型によっては「後から調整」が効かないことも。もちろん「やってみたらどうしてもイメージと違ったから、変えてほしい」というときはモヤモヤしながら帰るよりも伝えたほうがいいですが「そもそものイメージがまったくなくて、やっぱりこうして…」と変わっていくのは危険。料理でたとえるなら、しっかり中華風の味付けをしたあとに「やっぱりもう少し甘めの照り焼き風味にしてほしい」と伝えられてもなかなか難しいようなものです。

 

【3】「おまかせ」「なんでもいい」には注意

「おまかせ」問題もなかなか難しいもの。何度か担当して好みがわかっているなら問題ないこともあるものの、少しでも「こうしたい」というイメージがあるなら伝えるのが理想を叶える近道です。

「おまかせでと言いつつ、実ははっきりなりたいイメージがあるなどおまかせではないとき。イメージがあるなら伝えてもらったほうがいいです」(回答多数)
「何を聞いてもまったく希望を伝えてもらえず『お任せで♪』は困ってしまいます。微調整程度がいいのか、5cm程度は切ってもいいのかなど、少しは意見を聞けたほうがより好みのスタイルに仕上げられます」(回答多数)
「『なんでもいい』は、何度か担当した方やご指名を頂いている方だと嬉しいです。ただ、まだ好みがまったく見えていない初めての方には正直やりにくさを感じてしまいます。何パターンかカタログを見て頂いても『なんでも大丈夫!』と。いざカットしてから『もっとこうして』と言われると、最初からそれを教えて欲しいな…と思ってしまいます。ただ、本当に何が良いかわからない場合は一緒に色々考えたいので嬉しいこともあるので一概には言えませんが…」

こちらも料理でたとえるなら、一度も食事をしたことがない相手に「自分好みのメニューを作ってほしい」と言われるようなもの。何度か食事の機会を重ねているならいざしらず、好みの食材や味付けがわからない状態でドンピシャ好みのものを作るのは難しいですよね。

「本当に何も希望がない」ことは、実はそうないはず。もし明確に「これがいい」が思い浮かばない場合でも「これはイヤ」などを伝えるなど、少しでも希望を伝えることで、美容師さんはあなたの意志を汲み取りやすくなります。

 

【4】何事にも必要な時間があることを知っておく

どんなものにも「所要時間」があります。ある程度急ぎめにしたとしても、限界があります。1分でカットはできませんし、パーマやカラーも時間を置く必要があります。そのため「遅刻or当日にメニューを追加&終わり時間指定の合わせ技」などはできないことがあります。

具体的にこんなパターンは、どうしても希望を叶えられないことも。

「遅れてきたにも関わらず、急ぎで…と言われた場合」(回答多数)
「カットとカラーを合わせて1時間で終わらせてほしいなど、無理な時間指定は困ってしまいます」
「予約時のメニューにプラスして当日追加メニューをして、さらに終わりの時間を指定してくる場合。できないこともあります」

とはいえ「終わりのほうになって、次の予定があるから早く出たいと伝えられると、そこから急ぐのが難しいことも。もし時間指定があるなら最初に一言言っていただいたほうが助かります」という声も寄せられています。「出る時間の指定」そのものは悪いことではありませんが、忙しくて予定が詰まっているなどの事情があったとしても「遅刻」「その場でメニューを追加」との合わせ技は控えるのがベター。

 

ちなみに、意外と「親切心でやってもらっていると思うんですが、実はこれ、やってもらわなくて大丈夫なんです…」という声が多く寄せられたのが、私たちがシャンプー中によかれと思ってしているある行為。そう「親切心で、頭を持ち上げる」でした。自分であげてしまうとお湯が漏れないか心配になってしまうようなので、美容師さんに言われるがまま、されるがままでOKです。

繰り返しますが、美容師さんは髪を通して人を美しくするプロです。でも、なんでもかんでも願いをすべて叶えられる魔法使いではありません。でもきっと、イメージを共有して対話を繰り返していけば、「まるで魔法のように」あなたを美しくしてくれる強い味方になってくれるはずです。「美容室に行ってもいまいちうまくいかないことが多いな…」と思うことが多い方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみて!

★美容師さんとの会話が苦手な方はこちらをチェック→ 美容師に聞いた。美容室で「正直、会話したくない」ときのちょうどいい伝え方4パターン

 

構成/齋藤有紗・後藤香織