美容室に行った直後の髪の毛って、ツヤツヤ・サラサラで気持ちいいですよね。まるで自分の髪じゃないようなツヤサラ具合に、思わず何度も触ってしまうこともしばしば。
じつはあのサロン仕上げの髪、少しのコツ自宅でも近づけられるんです。
今回は、自宅でもサロン仕上げに近づく「ヘアケアのコツ」について、美容と健康にフォーカスしたサロン「1%er professional」のオーナースタイリスト・中嶋一嘉さんに伺いました。
中嶋一嘉さん
美容師・スタイリスト。ヘアメイク(TVCF、映画、舞台、ステージ、ヘアショー等)、コンテスト審査員、セミナー講師として活躍する他、東京・銀座にて美容サロン「1%er professional」を経営。ヘアサロン業務だけでなく、医療チームや栄養士と連携した生活習慣改善やボディケア等の指導も手掛ける。
■ヘアケアで大切な「2つの視点」とは?
中嶋さんいわく、ヘアケアには「今生えている髪」と「これから生えてくる髪」の2つの視点を持つことが大切とのこと。
今生えている髪については、ヘアケアアイテムの見直しと、洗い方・乾かし方の工夫で「キレイに見せるケア」を行うこと。
そしてこれから生えてくる髪については、睡眠や食事といった生活習慣を整えて「できるだけ健康な状態で育てるケア」を行うこと。
この2点を意識することがポイントです。
■髪をキレイに見せるコツ!美容室のケアはココが違う
まずは「今生えている髪」のケアについてチェックしていきましょう。
毛髪は皮膚のような新陳代謝をすることはないため、髪の毛は一度傷んでしまったら元に戻すことはできません。
でも美容室に行くと感動するほどキレイな髪になりますよね。髪質そのものが変わっていないのであれば、家で行うケアといったい何が違うのでしょうか?
中嶋さんによれば、美容室のケアとホームケアの大きな違いは「使っているアイテムの品質」と「洗い方・乾かし方」の2点とのこと。この2点を意識することで、家でのケアを美容室仕上げに近づけることが可能になります。
■美容室仕上げに近づけるコツ〜アイテム編〜
まずは毎日のヘアケアに使っているアイテムを見直してみましょう。ポイントは次の5つです。
- シャンプー
- ドライヤー
- シャワーヘッド
- アウトバストリートメント
- タオルや枕カバー
順番に説明していきます。
アイテム1.シャンプーを高品質なものに変える
美容室で使われるものと市販のものとで、品質に最も違いが出やすいアイテム。それはトリートメントではなく、なんとシャンプーなんです。
美容室で使われるプロ仕様のシャンプーは、汚れを洗い流すことに加え「髪に栄養を補給する機能」にも優れています。美容室で「仕上がりがいいな」と思ったら、美容師さんに相談して同じシャンプーを購入してみましょう。
アイテム2.ドライヤーを買い換える
ドライヤーの機能は、ここ5年ほどで大きく進化しています。古い製品をずっと使っている人は、ドライヤーを新調するだけで髪へのダメージがかなり軽減される可能性があります。
髪は濡れている状態だと傷みやすいため、できるだけ素早くしっかり乾かすことが大切です。ドライヤーを買い換えるときは、ヘアケア機能はもちろんですが、ワット数もチェックしてみてください。
ワット数が大きいほど髪を乾かす風圧が大きく、乾かしやすくなるため、できるだけワット数の大きなドライヤーを選びましょう。
アイテム3.シャワーヘッドを付け替える
バスルームのシャワーヘッドを付け替えるのもおすすめです。飲み水としては非常に優秀な日本の水道水ですが、安全性をキープしているカルキや塩素は髪の毛にとって大敵です。
カルキを除去する機能や、水を細かい粒子に変える機能がついたシャワーヘッドなら、髪はもちろん、お肌にとっても優しいですよ。
アイテム4.アウトバストリートメントを必ず使う
お風呂から出たら、ドライヤーをかける前にアウトバストリートメント(洗い流さないトリートメント類)を必ず使いましょう。
ドライヤーの熱やブラッシングによる摩擦は、髪のダメージの原因となります。これを最小限にしてくれるのがアウトバストリートメントです。洗い流す通常のトリートメントとは使う目的が異なるので、どちらか片方だけでなく両方使うのがおすすめです。
アイテム5.タオル、枕カバーの素材にこだわる
髪を拭くタオルや枕カバーも、髪に毎日触れるアイテムです。摩擦が起きにくく、ダメージを与えにくい素材を選びましょう。
タオルを選ぶときは、吸水性の高いものがおすすめです。タオルドライの際ごしごし擦るとキューティクルが傷んでしまうので、ぽんぽんと優しく叩くだけでよく水を吸う素材が理想的です。水泳選手がよく使うスポンジタオルは、ヘアケアに最適と言えます。
枕カバーも同様に「摩擦が少ないこと」を軸に選んでみてください。できるだけつるつるした素材がおすすめですが、ポリエステル等の化学繊維は静電気が起きやすいため、天然素材のシルクが最も理想的です。使わないシルクのスカーフがあれば、枕カバーの上に巻いてみましょう。
■美容室仕上げに近づけるコツ〜洗い方・乾かし方編〜
続いて、洗い方や乾かし方のコツを見ていきましょう。意識すると良いポイントは、次の5つです。
- 使うアイテムの順番を守る
- ぬるめのお湯でよく流す
- タオルドライで擦らない
- 朝シャンしない
- ドライヤー後、1時間おいてから寝る
こちらも順番に説明します。
コツ1.使うアイテムの順番を守る
ドラッグストアなどのシャンプーコーナーでは、シャンプー、トリートメント、コンディショナーがシリーズになった製品を見かけます。この3つはすべて役割が異なるので、順番をきちんと守って使うことが大切です。
まずはシャンプーで毛髪と地肌についた汚れを洗い流し、次にトリートメントで栄養成分を補給します。最後にコンディショナーで髪の表面をコーティングし、補給した成分を閉じ込めます。順番を間違えるとせっかくのヘアケアが台無しになってしまうこともあるので、意識して守りましょう。
コツ2.ぬるめのお湯でよく流す
髪を熱いお湯で洗ってしまうと、毛髪も地肌も傷みやすくなります。髪を洗うときは、少しぬるめに感じる程度のお湯を使いましょう。
また、洗い残しがあるとフケやかゆみの原因になりますので、シャンプー、トリートメント、コンディショナーは、それぞれしっかりと洗い流すことが大切です。自分では「ちょっと洗いすぎかな?」と感じるくらいでちょうどよい、と考えてください。
コツ3.タオルドライで擦らない
髪の表面にあるキューティクルの層は、乾いているときは比較的強いのですが、濡れている状態では非常に脆く傷つきやすくなっています。とくに摩擦に弱いため、タオルドライの際はごしごし擦らず、優しくぽんぽんと叩くように水気を吸い取るのがコツです。
髪を拭くタオルは吸水性の高いものを選び、できるだけ速やかにドライヤーで乾かしましょう。
コツ4.朝シャンしない
髪についた汚れは、その日のうちに洗い流してから眠りましょう。汚れをそのままにして布団に入ると、髪や地肌のトラブルの元となる恐れがあります。
また、頭皮から分泌される油分は、日中の紫外線や乾燥による肌トラブルを防ぐことに役立っています。朝シャンで油分を洗い流してしまうと、かえってフケやかゆみの原因になることもあります。髪の毛は寝る前に洗う習慣をつけましょう。
コツ5.ドライヤー後、1時間おいてから寝る
多くの場合、「よく乾かした」と思っても髪には余計な水分が残っています。触ってもほぼ分からないくらいの微量な水分ですが、そのまま寝ると髪のダメージやカビの発生といったトラブルに繋がります。
ドライヤーでよく乾かした後、さらに1時間ほど置いてから布団に入るのが、完全に乾いた髪で眠るためのコツです。
■不器用でも簡単!ドライヤーだけで髪にツヤを出すコツ
ところで、ドライヤーのかけ方も人それぞれですよね。「よく乾かしたほうがいいのは分かるけど、具体的にどうやったらいいの?」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
ドライヤーを上手にかけるコツは、まず「しっかり乾かす工程」と「髪を整える工程」の2つを分けて行うことです。
1.まずは、乾かすことに集中!
アウトバストリートメントをつけてタオルドライしたら、まずはしっかり乾かすことだけに集中してドライヤーをかけましょう。
乾かしながら髪がボサボサになっても気にしなくて大丈夫です。整えながら乾かそうと思うと生乾きの状態になりやすく、かえって髪を傷めてしまいます。
2.乾かし終えたら、形を整える
寝る前にしっかりセットする必要はないものの、少し表面を整えておくと翌朝のお手入れが楽になります。ここでのポイントはキューティクルの流れを整えることと、髪の表面にポヤポヤと飛び出す毛=いわゆる「アホ毛」を目立たなくすることです。
まず、ポヤポヤしている「アホ毛」を落ち着かせましょう。
「アホ毛」と呼ばれるポヤポヤした毛の正体は、他の毛よりも短い髪の毛です。これが表面に飛び出していると髪全体がボサボサした印象になってしまうので、目立たない場所に移動させてツヤツヤ感を手に入れましょう。
髪をよく乾かし終えたら、毛先をつまんで髪が地面と平行になるように持ち上げます。その状態で髪の上からドライヤーの風を当てると、表面に飛び出していた「アホ毛」が下に落ち、髪の内側に移動します。髪全体をいくつかの束に分けて、同じ作業を行ってください。
次に、キューティクルの流れを整えます。
ドライヤーを冷風に切り替えて髪の表面に当てながら、手のひらで頭頂部から下へ向かって、髪をゆっくり撫でつけていきます。髪は熱い状態から冷めるときに形がつきやすくなるので、熱風で乾かした直後に冷風を使うのがポイントです。手のひらで流れに沿って撫で、ウロコ状のキューティクルを整えましょう。
「アホ毛」を抑えてキューティクルの流れを整える工程は、朝のセットにも使えます。コテがなくてもドライヤーだけで髪のツヤ感を出せるので、ぜひ試してみてくださいね。
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次回は、「本当に髪に効く生活習慣」について教えていただきます。
取材協力 ワンパーセンタープロフェッショナル