コロナ禍によって日々の過ごし方にも大きな変化が表れていますが、年末年始という1年の中でも特別な期間も例外ではなかったようです。例年であれば、旅行に行ったり帰省をしたりする人が多い時期ですが、今年は外出を控えた人が多いのではないでしょうか。
今回はCCCマーケティング株式会社が2,114人を対象に行った「年末年始の過ごし方」に関するアンケートを基にコロナ禍の年末年始の過ごし方の変化をまとめました。
コロナ禍で帰省・初詣・初売りに外出したという人は半減
◆年末年始の過ごし方の変化
■前回/今回の年末年始に実際に行ったもの(一部抜粋)
【外出を伴うもの】
「帰省」 14.9% (前回:31.9%)
「初詣」 23.8% (前回:44.9%)
「初売り・セール」 11.9% (前回:27.2%)
【屋内で行うもの】
「スポーツ観戦」 23.7% (前回:21.3%)
「NHK紅白歌合戦の視聴」 43.8% (前回:40.8%)
「おせち料理を食べる」 55.0% (前回:55.1%)
■今回の年末年始に計画が中止したもの(一部抜粋)
「帰省」 26.8%
「初詣」 28.2%
「初売り・セール」 21.4%
まずはじめに、今回の年末年始に実際に行った過ごし方・行動について見ていきます。
結果は、外出を伴うもののうち、「帰省(故郷や親・親類宅の訪問など)」「初詣」「初売り・セール」の3項目において、前回の年末年始では3~4割ほどあった行動が軒並み半減したというものになりました。「半減」という結果をを高いとみるか低いとみるかは、人によって評価がわかれるところかと思いますが、「計画したが中止したもの」においてもこの3項目のスコアが高いことからも、やはり新型コロナウイルスの影響が大きかったことがわかります。
また、上記を含め外出を伴う行動すべてが前回の年末年始よりもその率が低下しており、外出を控えようという動きに例外はなかったと言えそうです。その一方で屋内で行うものについても3項目聴取しましたが、こちらの実施率はいずれも横ばい、または微増という結果でした。
このようにさまざまな目的の外出が控えられたことは確認できましたが、その理由に違いはあるのでしょうか。外出しなかった理由も併せて聞いてみました。
◆外出を控えた理由
いずれも「自分や同行者が新型コロナウイルスに感染する恐れがあると思ったから」が7~8割程度と最も高く、自身や身近な人への感染リスクを強く認識していたことがわかります。
それ以外では、帰省しなかった理由として挙げられた「訪問先に新型コロナウイルスを持ち込んでしまう恐れがあると思ったから」や、初詣や初売り・セールを避けた理由として挙げられた「不特定多数の人が集まる場所には行きたくないと思ったから」などに高い点が目立ちます。親類など身近な人に会う帰省と、多くの人出にまみれる形になる初詣や初売り・セールでは、警戒するポイントが明確に違うことが明らかにされたと言えそうです。
また、国内旅行をしなかった理由において、「GoToトラベルキャンペーンが一時停止になったから」も2桁台のスコアとなりました。年末年始のキャンペーン休止によるキャンセルの発生については報道なども多くなされていましたが、アンケートからも行動の抑止に一定の効果があったことが確認できます。
長引くコロナ禍…「第3波」のいま、警戒感にも変化が
◆昨年8月時点と外出しなかった理由に変化が
CCCMK総研では、昨年8月に「夏休みの過ごし方」に関するアンケート調査を実施しており、その中で今回のアンケートと同様に、行動を取りやめた理由を聴取していました。
今回の年末年始における行動を取りやめた理由として多く挙げられた「自分や同行者が新型コロナウイルスに感染する恐れがあると思ったから」「訪問先に新型コロナウイルスを持ち込んでしまう恐れがあると思ったから」「不特定多数の人が集まる場所には行きたくないと思ったから」の3項目について、昨年8月の同項目の結果を比較しました。その結果、新型コロナウイルスに対して抱く警戒感に変化をがあることがわかりました。
まず「自分や同行者が新型コロナウイルスに感染する恐れがあると思ったから」は、すべての行動において約6~19ポイントと昨年8月時点よりも大幅に伸びていることがわかります。対して「訪問先に新型コロナウイルスを持ち込んでしまう恐れがあると思ったから」は大半の項目で減っており、特に帰省・国内旅行(宿泊)においては10ポイント前後の減少が見られました。
これは、昨年後半の「GoToトラベルキャンペーン」などによる宿泊を伴う人の動きが活発化したことによって、自分がウイルスを持ち込んでしまうのではないかという認識が低下した一方で、直近の「第3波」と言われる感染拡大が自分や身近な人に対するリスクとしての警戒感・恐怖心を高めたことの表れとみることができるかもしれません。
また、「不特定多数の人が集まる場所には行きたくないと思ったから」も軒並み低下しています。こちらも、人の動きが活発化したことによる一種の「慣れ」のようなものが反映された結果とみることもできそうです。
◆コロナ禍に対する「慣れ」の一方で…混雑には警戒傾向
■今回の年末年始に行ったものについて、例年と比べて注意したり気を遣ったりしたこと(上位回答のみ抜粋)
【帰省】
「行った先で滞在する時間を短くした」 23.9%
「公共交通機関の利用を避け、車や徒歩で移動するようにした」 22.3%
「特に何もしていない(例年と同じように行動した)」 19.7%
【初詣】
「混雑を避けるため、時間をずらした」 41.4%
「混雑を避けるため、日程をずらした」 37.8%
「近場で済ませるようにした」 31.2%
【初売り・セール】
「混雑を避けるため、時間をずらした」 37.3%
「行った先で滞在する時間を短くした」 31.3%
「近場で済ませるようにした」 29.4%
ただ、先ほど「初詣」や「初売り・セール」を避けた理由として、不特定多数の人が集まる場所を避ける意識が高かったことをご紹介しました。上述した「慣れ」のようなものが生まれていたとしても、例年多くの人出が見られる「初詣」や「初売り・セール」については、別格の警戒感が発揮されていたのもしれません。
そのためか、「初詣」や「初売り・セール」に実際に行った人においても混雑を避けるために時間帯をずらしたり、滞在時間を短くするなど様々な注意や気遣いをしていたことがうかがえます。その一方で、帰省において「例年と同じように行動した」が約2割と高い点も印象的です。混雑する場には警戒感がある一方で、帰省のように行き先の人出が少ないような場所だとその警戒感が少し緩むようです。
恒例行事のオンライン化…どれくらい浸透した?
昨年以降、さまざまなものでオンライン化が進展しましたが、「ニューノーマルの年末年始」において、いわゆる恒例行事のオンライン化はどの程度まで浸透したのでしょうか。アンケートでは、「オンライン帰省」「オンライン初詣」「オンライン福袋」「オンライン忘年会・新年会」「キャッシュレスお年玉」の5つについて実施・検討の状況と、実施した人における感想を聴取しました。
■恒例行事のオンライン実施状況
【オンライン帰省】
「実際にやった」 8.4%
「検討したがやらなかった」 5.3%
【オンライン初詣】
「実際にやった」 0.9%
「検討したがやらなかった」 3.3%
【オンライン福袋】
「実際にやった」 4.6%
「検討したがやらなかった」 9.1%
【オンライン忘年会・新年会】
「実際にやった」 4.7%
「検討したがやらなかった」 6.1%
【キャッシュレスお年玉】
「実際にやった」 1.8%
「検討したがやらなかった」 3.9%
実施状況を見ると、「実際にやった」はいずれも1割を下回る結果となりました。オンライン帰省については、「実際にやった」人の割合が「検討したがやらなかった」を上回っています。つまり、検討した人のうち半数以上が実際に実施したということで、これは他の4つとは異なる傾向となりました。
「オンライン帰省」を実施した人の感想を見るとやはり「顔を見られて/見せられてよかった」というものが多く挙げられました。その一方で、楽しさと同時に寂しさを感じたり、余計に会いたくなってしまったという気持ちを抱いた方も多かったようです。なお、普段からテレビ電話などを利用して遠方の親類とコミュニケーションを取っているような方においては「普段と変わらない」という印象だったようです。同様の反応は「オンライン忘年会・新年会」や、「オンライン福袋」でも見て取ることができました。
「オンライン福袋」については「並ばずに購入できる」「持ち帰る手間が省ける」「ネットでゆっくり検討できる」といったメリットの発見があった方が多かったようです。反対にデメリットとしては「店頭で選ぶワクワク感がない」「人気のものや抽選で手に入らないものもあった」などが挙げられていました。
「キャッシュレスお年玉」については、便利・楽である反面、「味気ない」「有難みがわかない」といった淡白さの印象が残ったようです。オンライン初詣は実施した人の印象は概ね好意的なようでしたが、実施率自体はかなり低い水準にとどまったようでした。
昨年のこの時期には新型コロナウイルスが騒がれ始めていましたが、まさかこんなに長引くとは想像もつきませんでしたね。まだまだ影響は続き、思うように外出できなかったり、私たちの生活も変化が続きそうですが1日も早く終息することを願って引き続き感染対策に気を付けていきましょう!(山口彩楓)