コロナで退職、不倫ウォッチ用のインスタアカウントを作った29歳。【何もしない日何してる？】

あなたは「何もしない日」何をしていますか？
「何もしない」と言っても、食事をしたり、少し歩いたり、もしくはゲームをしたりSNSをチェックしたり…と「何か」はしているもの。

そんな誰かの「何もしない日」に密着した「何もしない日何してる？」連載、第2回目は神奈川県在住のTさん（29歳）。
早速「何もしない日」の1日を覗いていきましょう。

新型コロナウィルスの影響で、8月に彼女の職場だった場所は閉鎖となり、それから彼女は自由気ままに生活をしている。「コロナで外に出なくなったから、美容費とかの維持費がなくなった。だから退職金や貯金で半年くらいは生きれるなあと。崩すのはシャクだったけど、まあ自由のためにいっかって」と、想定外にやってきた人生の長期休暇を案外受け入れていた。
9月は病気を治すため病院に通い、10月は断捨離をし続けた。4段ある収納キャビネットのうち1段はまったく空になった。

＜1日の流れ＞

「寝て、起きて、ごはん食べて、ドラマを観る」が基本の生活だという。
起きるのはお昼を過ぎた頃だ。『ヒルナンデス！』『情報ライブミヤネ屋』と日本テレビ系列の番組を見るのが日課だ。そのまま他のチャンネルに移動しドラマを眺め『どうぶつの森』をプレイする。
日に当たるのが好きではないので、スーパーに買い物に出かけるのは日が落ちた後だ。ただ「もう少ししたら暗くなるから、そしたら準備しよと思っているうちに寝落ちして気づけば22時。店閉まっとるやん！　ってことがよくある」という。
ただ、この「日が出ている時間に一切外に出なくてもいい」という生活を逆手にとって、使用後に日焼けしてはいけないという注意書きがある家庭用脱毛器を使った脱毛がはかどっているようだ。

＜コンビニに詳しくなった＞

それまで料理に関する仕事をしていたので、基本的に食事は職場や、職場で余ったものを持って帰ってくることが多かった。
けれど不可抗力で仕事を一度辞め、寝落ちしてスーパーが閉まった時間に目を覚ますことを何度かしているうちに、これまでほぼ行かなかったコンビニに週2〜3回通うようになり、新商品に詳しくなった。
お気に入りはセブンイレブン。「小さなパスタ　カマンベール＆チーズクリームソース」がこれまでの中でスマッシュヒットだった。ただ、Twitterでよく流れてくる新商品のアイスはなぜかいつも取り扱いがないと不満を漏らした。

＜あえて「あつ森」ではないどうぶつの森をプレイする＞

『どうぶつの森』をプレイしているとはいっても、今彼女がメインでプレイしているのは2020年一大ブームになった「あつ森」こと、Nintendo Switchの『あつまれ　どうぶつの森』ではなく、「ポケ森」こと2017年に登場したスマートフォン用アプリ『どうぶつの森　ポケットキャンプ』だ。
最初は「あつ森」もやっていたそうだが、そのタイミングで彼女の姉が「私も森欲しい」と言い始めたところから「携帯でもできるよ」とポケ森の存在を教えたところハマり「お互いにレベルで負けたくない」とアイテムを交換するなど協力しつつ、争っている。「ポケ森」は3時間おきに「果物を収穫する」「動物のお願いを聞く」などやらなければいけないことが発生するゲームだ。育休中で授乳のため3時間おきに起きる必要がある彼女の姉にとっては、とてもちょうどいい存在だったらしい。彼女も何か別のことをしていても3時間おきにポケ森に果物を収穫しに行っては姉と交換したり、売ったりする。「ポケ森の基準で生きてる」と笑った。

＜ドラマは全部録画する＞

「『関ジャム』『鉄腕ダッシュ』『イッテQ』…見たいドラマや番組が10個くらいあってありすぎて、何曜日の何時に何をやっているか覚えられないから、とりあえず全部録画して、そうするとHDDがいっぱいになるから消すために見る。本当はリアルタイムでも見られるけど全部録画して、1時間遅れで見たりする」という見方をしているという。なぜそんな見方をしているかというと「CMを飛ばしたいから」だそうだ。
録画したテレビ番組を見るのは、ごはんを食べながら、脱毛をやりながら、ポケ森をやりながら、YouTubeやインスタを見ながら…など、何かしら「ながら」がスタンダードだ。

＜最近インスタでハマっている、不倫アカウント＞

YouTubeはkemio氏のものがポジティブで元気がもらえるからよく見ているそうだ。「kemioが料理を作ると絶対見る。火災報知器が鳴ったりして、それを見た同居人が私は食べませんってどっか行くみたいな…そういうのが面白い」と、チェックしている。

インスタグラムはいくつかアカウントを持っているという。
ひとつは友人や好きな芸能人を見るアカウント。こちらは美容系を一度見たらおすすめ欄が美容のアカウントで埋まり、新作レポートなどを見て楽しんでいる。
ただしもうひとつのアカウントがなかなか曲者で、これは「不倫レポートを見る用のアカウント」だ。

厳密には違う用途のためにアカウントを取ったはずが、ふとタイムラインに流れてきた不倫レポートを見たら、おすすめ欄がすべて不倫関連のもので埋まってしまって抜けられなくなり、結果的に不倫ウォッチアカウントになったという。
「無料の漫画を見ているようなノリで人んちの不倫を見てると思う。妊娠中に不倫されたとか、婚約したら実は彼に相手がいたとか、世の中にはそういう体験をしている人がこんなにいるんだなぁって…。いろんな人の離婚するまでの経緯をめちゃくちゃ見てる」と、実際の画面を見せてくれた。一般的にキラキラしたものやポジティブなものにあふれているイメージがあるインスタグラムの、意外な側面がそこにあった。
4万投稿以上あるハッシュタグ「#サレ妻」には、その世界が広がっている。

毎日見ている大量のドラマやバラエティ番組、インスタグラムで不倫ウォッチ…。彼女の「何もしない日」は「何かを見ること」に溢れていた。いつかまた動き出す日に向けて、自分の中にあらゆる人の人生を取り込むように、冬の巣ごもりをしながら力を蓄えていた。