【中条あやみ独占インタビュー】『水上のフライト』への挑戦で、私が得たもの

CanCam専属モデルの中条あやみが主演する映画『水上のフライト』が、現在絶賛公開中!あやみが演じているのは、将来有望とされていた走り高跳びの選手・遥。ある日遥は不慮の事故に遭い、一命は取り留めたものの二度と歩くことができなくなってしまう。遥は心を閉ざし自暴自棄になるが、周囲の人々に支えられてパラカヌーという新たな夢を見つけるというストーリー。あやみがこの作品にかける思いについて、CanCam独占でお話を聞いてきました!

中条あやみ/1997年2月4日、大阪府生まれ、O型。女優、モデルとして映画、ドラマ、CMにも多数出演。2017年よりCanCam専属モデルとして活躍中!天真爛漫なキャラクターで、CanCam撮影現場では〝ぽーりん〟の愛称で他モデルやスタッフから愛されまくっている存在♡

誰もがみんな迷惑かけて、支え合って生きていることを思い出させてくれる作品です

小さい頃から運動は好き。男のコみたいに育てられたから、海で泳ぐのも、ローラースケートも、ミニバイクも怖いもの知らずで、なんでも挑戦してみたいって思うようなコでした。母からは「あなたが保育園でほめられたのは、登り棒が速いことくらい」って言われていたくらい、体力が有り余っていて(笑)。中学生になって急に背が伸びた頃は、ちょっと苦労したことも。実際の体のサイズと頭のイメージが合わなくなって、得意だったローラースケートに乗れなくなったり、物にぶつかったりして「昔と何か違う!」と驚いた記憶があります。でも、体育の成績はずっと5だったので、なんだかんだ運動神経はいいほうなのかな。そんな私が、初めて主演映画『水上のフライト』でパラカヌーに挑戦しました。この作品は、走り高跳びの選手で将来有望とされていた主人公の遥が、交通事故で車椅子生活になりパラカヌーと出合って再起するストーリー。脚本家の土橋章宏さんと、リオデジャネイロパラリンピックのカヌー日本代表・瀬立モニカ選手の交流から生まれたお話です。

カヌーに乗ったこともない私に務まる役なのか…プレッシャーもありました

最初、お話をいただいたときは、題材を重く受け止めて、カヌーに乗ったこともない私がこの役をできるのかプレッシャーでした。でも、監督やスタッフと話すうちに、やったことのないパラカヌーの世界に挑戦してみたくなったんです。覚悟を決めて挑んだけど、カヌーは想像以上に大変でした。まず、まっすぐ前に進みません。右腕の力が強いから、すぐに曲がってしまうんです。最初はレジャー用のカヌーから始めてある程度できるようになってから、競技用パラカヌーに挑戦しました。パラカヌーは足のペダルがない以外は、(パラではない)競技用カヌーと差がないのですが、カヌー自体が細くて上半身をまっすぐキープできないくらいグラグラするんです。だから初日は、乗ってはひっくり返るの繰り返しでした。

映画の撮影現場で監督からの○○サプライズに感動!

クランクイン後も、カヌーの撮影は、カットがかかった後も気が抜けないことがわかって。カヌーを漕いだら自力で回転させて、みんなのところへ戻らないといけないんです。でも風や川の流れの影響で、回転させるのがすごく難しい。うっかり川に落ちて濡れてしまうと、体を乾かすことから始めないといけないので、撮影が滞ってみんなに迷惑がかかってしまう…。だからすごく緊張しました。でも、実力以上のことを集中して繰り返していたせいか、だんだん水の扱い方がわかって「もう少し腕もこうしたら」などと考える余裕が出てきたんです。そこからは、カヌーが楽しくなってきて…! 今まで「上手くならなきゃ」って難しく考えすぎていたけれど、「楽しい」気持ちが先にあると自然に上達するんだって気がついて、これってすべてにつながっているなって思いました。撮影中には、瀬立モニカさんにもお会いしました。太陽みたいなすごく明るい方で、私のカヌーを見て「できてる! すごい上手!」と言ってくださったのでホッとしました。いろいろとチャレンジが多い作品でしたが、現場は、とても暖かくて愛あって。撮影は昨年の夏だったんですけど、私がテレビで「流し素麺をやりたい」って言っていたのを見てくださっていて、サプライズで用意してくださったんです。しかも、監督お手製のつけダレが3種類くらいあって、どれもおいしかったな。

遥の前向きな姿はすごくかっこよくて、自分自身も勇気づけられました

障害やパラカヌーというと「自分とは違う世界」って思う人もいるかもしれないけれど、実は「誰にでも起こり得る話」だと思うんです。それに、瀬立モニカさんもそうなんですが、主人公の遥は、障害を弱点と思っていなくて、障害=自分の個性として受け止めて、むしろ強みにしている。その前向きな姿がすごくかっこいいと思って。人はひとりで生きてきたような顔をして生活をしているけれど、障害があるとか関係なく、人は赤ちゃんから死ぬまでの間に絶対に誰かに迷惑をかけて、支えてもらいながら生きてるんですよね。そういう当たり前だけど、忘れかけていたことを思い出させてくれる素敵な作品になったと思います。劇場でハンカチ必須で、観てくださいね。


CanCam.jp編集部も映画を観ましたが、あやみと大塚寧々さん演じるお母さんとの心の動きや関係性に何度となく涙が…。カヌーを必死に漕ぐあやみの姿もめちゃくちゃ輝いていて…(ラストシーンは特に美しいです!!)観終わった後は、目の前のことに丁寧に向き合ってチャレンジしていこう!と生きる勇気が沸いてくる作品でした。

 

CanCam2020年7月号 中条あやみ連載『ぽーりんのstill growing up!』より

撮影/中村和孝(まきうらオフィス) スタイリスト/松島 茜(io) ヘア&メイク/進藤郁子(TRON) モデル/中条あやみ(本誌専属) デザイン/岩見夏美(Beeworks) 本誌構成/西村真樹