体重が気になるときは、ついつい食べる量を減らすことを考えてしまいがち。ですが必要以上に食べる量を減らすと、全体的な健康バランスを崩すことにつながってしまいますよね。
ただただ「食事を減らす」でつらい思いをすることなく、「食べる内容や食べ方を変える」という方法を選ぶことで、ストレスフリーにダイエットをしたいもの。
今回は調理学を専門とする摂南大学農学部の安藤真美教授から、「体重が気になるときの食事法」を伝授していただきました♡ ぜひ毎日の食事に取り入れてくださいね!
そもそも、体重が増える・減るってどういうこと?
改めて基本に立ち返ると「体重が増える」のは、「摂取したエネルギー量が消費したエネルギー量より多い」とき。したがって、体重を減らしたいときは、食事の調整や運動などで、消費したエネルギーが摂取したエネルギーよりも多くなるようにしましょう。
つい「運動せずに食事制限だけで体重を減らしたい」と考えがちですが、運動により基礎代謝をアップさせるだけでも消費エネルギーを上げることができるので、適度な運動も大切です。
さらに、食事を我慢しすぎるとそれ自体がストレスになり、体にも良くありません。自分に合ったやり方で食生活を楽しむ視点は忘れないようにしましょう。
体重が気になるときに摂りたい栄養素
意識して摂りたい栄養素:たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維
〈たんぱく質〉
たんぱく質は、人間の体をつくるために大切な栄養素。意識的に摂るように心がけましょう。
基礎代謝エネルギーの2割程度を消費する筋肉をつくり、維持するために非常に重要です。筋肉が多いほど基礎代謝が高くなり、この基礎代謝エネルギーはじっとしていても消費するものなので、筋肉をしっかりつけることでやせやすい体となります。
無理な食事制限で基礎代謝を落としてしまうと、かえってやせにくい体になる可能性があるので気をつけましょう!
〈ビタミン〉
ビタミンB群は、炭水化物、たんぱく質、脂質の代謝に深く関わっています。
例えば、ビタミンB1は糖質など炭水化物の代謝に関係。「アリシン」という成分がビタミンB1の吸収率をアップさせることが報告されているので、アリシンを含むねぎやニンニクと一緒に食べる料理もおすすめです。
ビタミンB2は脂質の代謝、ビタミンB6はたんぱく質の代謝に関係しています。
ビタミンB群は水溶性ビタミン。煮物にする場合は煮汁に流出しやすくなるため、煮汁まで摂取すると良いでしょう。また熱にも比較的弱いので、必要最小限の加熱にとどめることがポイントです。
▼スーパーでも購入しやすい、ダイエット中におすすめな食材はコレ
・脂質が少なくたんぱく質が豊富な「鶏のささみ」「牛・豚のヒレ肉」
・エネルギー量が少なく、食物繊維が豊富な「野菜類」「キノコ類」「海藻類」、「切り干し大根」「干しシイタケ」「ひじき」などの乾物
・腸内環境を整えてお通じの改善をする「発酵食品(納豆)」「乳製品」
食べ方のポイント2つ
【1】 よく噛んでゆっくり食べる
よく噛んで食べることで消化も良くなり、満腹中枢が刺激されるので食べすぎを防ぐことが可能です。
現代は昔と比べて噛む回数が少ないので、乾物など噛む回数が増えるような食材を意識的に取り入れましょう。切り干し大根やひじき,昆布などの乾物は、面倒なイメージがあって敬遠されがちですが、保存性も高く、水に短時間つけておくだけで使えます。難しいレシピを調べなくても、戻したままサラダのトッピングにするなどの取り入れ方でもOK。積極的に取り入れてみましょう。
【2】 食事は野菜料理から
野菜に含まれている食物繊維は、血糖値の急激な上昇を抑える効果があると報告されています。野菜は、熱に弱いビタミンや酵素類を摂取するためには生で食べると良いですが、温野菜にすることでカサが減るので量的に無理なくたくさん食べやすくなります。それぞれのメリットを活かしながら生野菜と温野菜を適宜取り入れるのがオススメです!
体重が気になるときに食べたい簡単レシピ「切り干し大根のピリ辛サラダ」
【材料】(2人分)
切り干し大根…20g
きゅうり…1/2本
穀物酢…大さじ1
うすくち醤油…大さじ2/3
ゴマ油…大さじ1
鷹の爪…1/2~1本
【作り方】
1.切り干し大根は水で5分ほど戻す。水気をしぼる。
2.きゅうりは薄い輪切りにして軽く塩もみし、しぼる。
3.穀物酢とうすくち醤油、ゴマ油を合わせ、小口切りにした鷹の爪を混ぜる。
4.1を2であえて盛りつける。
乾物を利用した食物繊維がたっぷりで手軽な1品。きゅうりの食感と切り干し大根の歯ごたえがポイントです! 鷹の爪に含まれているカプサイシンは、エネルギー代謝を活発にする効果があります。辛味物質のため好みで量は調節して下さいね。
無理にがまんするダイエットは続きませんし、結局リバウンドのもと。できるだけストレスのない食生活を見つけて、楽しみながら自分の体を管理してみて。
摂南大学 農学部 調理学研究室 安藤真美教授