絶対休めない人の風邪対策。「お医者さん」ってどんな風邪予防してるの?
風邪やインフルエンザが気になる季節。
学校や会社、電車の中などで周りの人がゴホゴホしているとちょっとドキドキしてしまいますよね。
では、日常的に「風邪の人」や「インフルエンザの人」に接することが多い「お医者さん」って、いったいどんな風邪対策をしているんでしょうか?
今回はさまざまなメディアで活躍する医師、大谷義夫先生に「お医者さんが実際にやっている風邪対策」をうかがいました。
Q.お医者さんはどんな風邪予防をしているんですか?
◆鼻や口にさわりません。
人は無意識に鼻や口をさわりますが、ドアノブや手すりなど、不特定多数の人がさわるところをさわった手で鼻や口をさわると、接触感染を引き起こします。そのリスクを下げるため、鼻や口を極力さわらない。もっと言えば不特定多数の人がさわるところも、極力さわらない。さわるとしたら「人がさわらない部分」を探してさわるようにしています。
◆患者さんと接するときは横や後ろから
風邪やインフルエンザの患者さんを診るときは、正面から接すると飛沫感染の原因になりかねないので、極力横や後ろから話すようにしています。もしご家族の方がインフルエンザになった……というときも、できるだけ正面から接さないことをおすすめします。
◆7~10分おきに緑茶を飲む
これはあくまで大谷流ですが、患者さんひとりごと、だいたい7~10分ごとに、お茶を1~2口飲むようにしています。緑茶の消費量が多いほどインフルエンザにかかりにくいデータがあるので緑茶のカテキンの作用を期待するのと、のどの繊毛は乾燥していないほうがよく動きます。のどの繊毛がよく動くと、免疫が高まりますし、細菌などが入ってきても外に出せます。
◆マスクは1日20回取り替える
マスクは2日以上同じマスクを使うと効果がありません。できれば外出ごとに取り替えるのが理想です。結局外出しているときに、知らないうちにウィルスが入った飛沫がマスクの表面に付着している可能性があるので、一度使ったマスクの表面はさわらないのが基本です。
僕は冬の診療日は1日20枚はマスクを替えます。休日も4枚くらいは使います。高いマスクを大事に使うのではなく、安いマスクをどんどん取り替えて使っていくほうがいいです。
◆1日4回歯みがきをする
日本の高齢者施設で実験したデータに「口腔ケアをしっかりした方々」と「適当にした方々」のインフルエンザ罹患率を比較すると、しっかりした群のほうが罹患率が1/10でした。
口の中の細菌は「プロテアーゼ」「ノイラミニダーゼ」という酵素を作ります。このふたつの酵素は気道の中にインフルエンザウィルスが入って増殖をしてしまうのを助けてしまいます。口の中が汚れて細菌が繁殖すると、このふたつによりインフルエンザにかかりやすくなってしまいます。そのため歯みがきをきちんとして口の中をキレイにしておくことが重要です。
ちなみに、インフルエンザの薬として出される「タミフル」「リレンザ」「イナビル」の作用は「ノイラミニダーゼ阻害薬」。つまり「歯磨きをしっかりして口の中をキレイにする」ことは、インフルエンザの薬効に匹敵するほど重要です。
朝昼晩の3食の後と寝る前の計4回歯みがきをするのが理想です。
◆睡眠時間を死守する
睡眠時間はやはり重要です。カリフォルニアで行われた実験で、あるホテルで、睡眠時間以外はまったく同じ環境・条件で、被験者の睡眠時間だけを変えて風邪の罹患率を調べたものがあります。
すると、睡眠時間が7時間の方に対して、6時間未満の方は風邪のひきやすさが4.2倍。5時間未満ですと4.5倍になりました。睡眠時間が変わるだけでもこれだけ風邪をひきやすくなるので、睡眠時間はきっちり確保してください。僕も最低でも6時間は死守し、寝不足のときは昼寝で15分睡眠時間を追加します。
実験データに基づいた風邪対策は非常に参考になります。「風邪やインフルエンザになりたくない」という方、是非試してみてくださいね!(後藤香織)
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池袋大谷クリニック 大谷義夫先生
医学博士、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本アレルギー学会専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医・指導医。日本一の呼吸器患者数を誇るクリニックの院長として知られ、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演多数。