ときに人は「結婚してないなんて不幸」「●●歳までにアレしなきゃ」とか、あくまで他の人のものさしで計った「幸せ」の基準に振り回されたり、焦ってしまうことがあります。
あの人は結婚して子どももいる、家も買ったみたい。でも私は彼氏もいないし……人生どうしよう!? なんて、焦れば焦るほどうまくいかなかったりする。
さらに、ひとりで楽しめる趣味を持っていると、なおのこと。
特に、さまざまな「アイドル」にハマッていると、テレビやラジオに雑誌をチェックするのはもちろん、ライブなど各種イベントで全国を駆け回り、恋愛するヒマもなければ、そもそも24時間365日の生活の中に、新しく誰かを迎え入れる余地がなかったりする。
この記事を担当しているCanCam.jp編集部スタッフ後藤も、そのひとりです。
毎週末コンサートで全国各地に遠征して、平日は夜遅くまで働いていたらデートをするヒマもない。「好き」の気持ちは、好きなアイドルに100%振っている。
中学1年生の頃から人生の半分以上、ずーっと誰かのファンで、ライブに行きたくて上京し、人生のかなりの割合をアイドルに割いてきた。
気づけば29歳。インスタもFacebookも、いつのまにかみんなの結婚生活や子育て報告が多くなっていた。今が楽しい、という気持ちと、これでいいのかな、と不安になる気持ちで揺れ動く現状、似た境遇の人生の先輩に、お話を聞いてみたくなりました。
「アイドルが好きで、バリバリ働く40代独身女性」……という、まさにうってつけの条件でインタビューを快諾してくれたのは、自分らしく自由に自立して生きる女性のためのメディア、「OTONA SALONE」編集長を務め、自身の体当たり婚活経験を赤裸々に書いた「40代編集長の婚活記」を連載する浅見悦子さん。
「ファン体質の恋愛」「仕事と恋愛の両立」「親に結婚について聞かれたとき、どうする?」など、さまざまなお話をうかがいました。
第1回の今回は「自分のものにするより、遠くから楽しく見ていたい。ファン体質の恋愛」編です。
◆Q.アイドルがお好き……とのことですが、これまでのファン遍歴を教えてください。
男女問わず、小さい頃からアイドルが好きでした。
幼稚園の頃に初めて買ったレコードはキャンディーズ。ピンクレディーやキャンディーズから始まって、80年代の松田聖子さんに中森明菜さん。おニャン子クラブのファンクラブに入っていたこともあるし、一方でジャニーズはずっと好き。たのきんトリオから始まって、シブがき隊、少年隊、 そしてSMAPの前身・スケートボーイズにお熱だったこともある。松浦亜弥さんのコンサートを観にひとりで今は亡き東京厚生年金会館にも行ったし、AKB48は初期から応援していた。もちろん一度好きになった人はみんな定点観測して応援しているけれど、ブームが来るタイミングくらいで「もう私が応援しなくても大丈夫かな、私の手元は卒業かな」と、向こうが巣立っていくような気持ちになります(笑)。
今いちばん好きなのはジャニーズJr.。これまでの流れからすると、必然ですよね。最近はJr.にどんどん新しい子が入ってきて、常に新しい子を見ることができる。まだ世間に見つかっていないキラキラした男の子を「この子かわいい!」と見つけるのが楽しいんです。
ちなみに、男の子の至高は、17歳だと勝手に思っています。
たいてい男の子って、高校1年生の夏休み以降から徐々にあか抜け始めて、16歳の後半くらいから急にかっこよくなる。その少年と青年のいいとこどりが男性の場合だいたい23歳くらいまで続いて、そこを超えたあたりで「大人になったのね」と感慨深くなりながら、次を探し始めます(笑)。自分の中で常に5人は追いかけている子がいて、でもデビューしたらしたでそれなりにチェックするから……どんどん応援する人が増えて、本当に忙しい(笑)。
◆Q.学校など、日常生活でも「ファン体質」だったのでしょうか?
考えてみれば、本当に根っからのファン体質なんでしょうですけど、「この人かっこいい」という男性がいても、自分がその隣にいたいわけじゃなくて、遠くから見てキャーッとしていたかったタイプでしたね。
たとえば、高校のときに憧れのカップルの先輩がいました。……「憧れの先輩」じゃなくて「憧れのカップル」なのがまたミソで、謎(笑)。
2つ上のバレー部の先輩がかっこよくて好きだったんですけど、彼女と一緒にいる姿が良かったんですよね。たとえば教室の窓から見ていた風景は、彼は自転車通学で彼女は徒歩通学。自転車置き場から彼が自転車を出してきて、カゴに彼女のカバンを入れて、彼は自転車を押しながら帰るのが超かっこいい。
でも、そのときの私が思った「先輩がかっこいい」って、「自分が先輩の彼女になりたい」じゃなくて、「あの彼女との絵面が素敵」なんですよね。
ただ……今振り返れば、自分も中高生の頃、見ているだけじゃなくて、やってみればよかったのに、とは思います(笑)。人生で、告白というものも、制服デートもしたことがないんです。制服を着て、先輩を呼び出して、「これ読んでください」ってラブレターを渡すようなことは、もうさすがにできないから、やれるときにやっておけばよかったなぁ、と思います。
◆Q.告白をしたことがないのには、何か理由が……?
この「告白」という行動は、「好きな人を自分のものにしたい」という独占欲がある人がするんだと思うんですよ。ファン体質の私はつい「みんなで好きでいればいいじゃない」と思ってしまって(笑)、独占欲があまりない。だから告白したい、と思った人がいるかと聞かれたら、それもいませんね(笑)。
以前、仕事でお会いしてインタビューをしたタレントさんに「好きな人がいたら、彼氏がいても告白する」という方がいて。理由を聞いてみると「結婚していなくて付き合っているだけなら別れるかもしれないし、自分のものにしたい」と言っていて、そこまで自分のものにしたいものなのか、と驚いたくらい、独占欲というものが当時はよくわからなくて……。
かっこいいとか、そういう「なんとなく好き」の気持ちはいっぱい持っています。だからいろんな人の「ファン」になるけれど、そこから先の「自分だけのものにしたい」という独占欲や所有欲があるわけではない。
……考えてみれば、結婚って、独占と所有の最たるものじゃないですか。
私が結婚していない理由のひとつには、それもあるんじゃないかと思います。でも「自分は一生誰にもそう思わないんだ」という考えをかたくなに持っているわけではなく、「欲しい」と思う相手にまだ出会っていないのかもしれないし、今までの人生で仕事を理由にデートを断ってしまった人の中にいたのかもしれない。だから、今後誰かに独占欲や所有欲を持つ可能性もある。もちろん、ずっと思わない可能性もあります。
◆Q.私もファン体質で「100%楽しいことがここにあって満たされているのに、なぜ楽しいかどうかわからない恋愛をする必要が?」と思ってしまうことがあるのですが、そのあたりはいかがでしょうか?
そう、ファンって、楽しいんですよね。
中学生の頃から、 クラスの男の子の誰かしらのファンで、友達とファンクラブを作ったりしていた。たとえば高校の修学旅行のときに「ファンクラブ会員と一緒に写真撮ってー」とお願いしたり(笑)。
今も仕事関係で会った人が偶然ジャニーズが好きで仲良くなることもありますし、SNSの趣味用のアカウントで出会うこともあるんですが、趣味でできた友達って「あの子かわいい」とか、「あそこのあれ、いいよね」「わかるー!」とか、ただただポジティブで楽しい話しかしない(笑)。そういうところも魅力ですよね。もちろんいろんな人がいますから、中には「ダメな部分を言うことが愛情」という「貶し愛」の方もいますが、私は積極的にそういうところに加わることはないかな。ただ、キャーッて言って、全員ハッピーで楽しくいられるのがいちばん。
今私は45歳。この年まで結婚をせず、こうやって誰かのファンでいると、もちろんいろいろ言われることもあります。けれど、私は断じて不幸せではなくて、本当に楽しいんです。だから何かを言われるたびに、「私は人生楽しいんだけど、いったい何がいけないのかしら」と思ってしまいます。
私は、ファンであることを楽しんでいて、結局、ファンである自分が好き。誰かとお付き合いをすることって、人間関係のドロドロに突っ込んでいくことでもありますよね。ただでさえ仕事でストレスを抱えているのに、プライベートでそこまでストレスを抱えたくない。だからこそ、ファンとして、キャーッ、て、楽しいところだけ味わっていたいんだと思う。
この「学生時代の人間関係」問題、根が深そうです。
ここについて、次回さらにじっくりと掘り下げていきます。
次回はコチラ→ 学生時代の人間関係は、恋愛への考えと似ている。「友達とトイレに行かなかった」女性たちは、数十年後…
浅見悦子40代からの「自分らしく自由に自立して生きる」女性webメディアOTONA SALONEを2016年に立ち上げ、現職に。自らカラダを張りまくって40代女性の本音とリアルとガチなファッション、美容、婚活、仕事、女性の生き方の記事を執筆中。
婚活歴1年半、美容・健康編集者歴22年、元『S Cawaii!』編集長。
1972年生まれ。恋人いない歴8年超の独身街道まっしぐら。
★オトナサローネ https://otonasalone.jp/
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