「お通し」って、なんであるの?飲食店経営者にお通しへの意見を聞いてみた

「お通し」って、なんであるの?飲食店経営者に聞いてみた

居酒屋へ行き、お酒を頼むとお通しを出されますよね。

お酒とお通し
(c)Shutterstock.com

小さな小鉢に入っているので気に留めずに食べたら、とても美味しかったという経験が何度かあります。一方お会計をしようとしたら意外と高くて、レシートを見たらお通し代が500円以上したという店舗もありました。考えてみるとお通しって何の意味があるのでしょうか?

ということで今回は、飲食店に特化したリサーチサービス「飲食店リサーチ」を運営する株式会社シンクロ・フードが飲食店経営者・運営者255人に聞いた「飲食店が提供するお通しやサービス料に関するアンケート調査」の結果をご紹介します!

 

お通しを提供している店舗に質問。金額はいくらですか?

お通しの金額はいくらですか?グラフ

199円以下 3.4%
200円~299円 10.3%
300円~399円 48.3%
400円~499円 11.5%
500円~599円 17.2%
600円~699円 4.6%
700円~799円 0.0%
800円~899円 2.3%
900円~999円 0.0%
1,000円以上 2.3%

 

東京にある飲食店の割合は61.8%(首都圏の飲食店の割合は76.0%)存在する「お通し」。そんなお通しを提供している店舗に金額はいくらか聞いてみたところ、一番多いのが「300円~399円」でした! 中には1,000円以上のお通し代がある店舗もあるようで驚きが隠せません……。

そもそもお通しって、こっちが頼んでもいないものを勝手に出され、お金を払わなきゃいけないのであまり好きになれません。それは飲食店経営者でも分かると思います。

では、お通しを提供する上で気を付けていることは何かあるのでしょうか?

 


お通しを提供する上で気を付けていることは何ですか? (複数回答)

お通しを提供する上で気を付けていることは何ですか?グラフ

お通しの質にこだわっている 52.9%
定期的なメニューの変更を行っている 51.7%
「お通しカット」を可能にしている 31.0%
お通しの説明を目立つ場所に明記している 24.1%
外国人客は提供を行っていない 20.7%
その他 10.3%

 

お通しを提供する上で気を付けている事について聞いたところ、僅差で「お通しの質にこだわっている」(52.9%)、「定期的なメニューの変更を行っている」(51.7%)という結果になりました。頼んでいないものを提供する分、客が不満を抱かないよう、店舗ごとのこだわりが伺えます。

また、現在外国人客も増えてきたので「外国人客は提供を行っていない」(20.7%)、「「お通しカット」を可能にしている」(31.0%)という店舗もあるようです。日本人なら暗黙の了解みたいなところがありますが、外国人はその文化を理解していないため、困惑するのも当然だと思います。


お通しやサービス料、経営者の方の意見は?

最後にお通しやサービス料などについて、経営者の立場からの意見を聞いてみました!

<お通しを提供する>

  • 突き出しの文化。決して売り上げを望んでではなく、飲み始めのちょっとした気配りだとわかってもらいたいと思っております。(東京都/寿司/1店舗)
  • 基本的にはなくても構わないとも思います。ただ、お客様が手持ち無沙汰な時間を少しでも無くしたいのと、お出しするからには手の込んだ良いものをと考え、現状は提供しています。出来合いのものなどを形式上お出しするだけであれば、無い方が良いと思います(単に席料になってしまうので)。(大阪府/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

 

なるほど。お通しは飲む前の気配りなんですね……言われてみれば、「お通しは海外でいうチップと同じだ」という言葉をどこかで聞いたことがあります。そう考えると料理が出てくるのでお得に感じますね。では、お通しを提供しない店舗の意見はどうなのでしょうか?

 

<お通しを提供しない>

  • お通し代で、お金を頂きたい気持ちは非常にわかります(ついつい客数×単価を計算してしまいます)。ただ、お通しでお金をもらうのは、違和感を感じます。感謝の気持ち(無料)で「どうぞ」の方が、後々、リピーターになるような気がするので、お通し代は頂いてないです。(東京都/専門料理/1店舗)
  • 食べたくもないお通しをこちらの都合で勝手に出して、お通し代を頂くというやり方がどうしてもイヤだったので、当店では、お通しを出さず、お通し代も頂いておりません。サービス料も頂いておりません。そのかわり、ワンコイン500円のメニューをいくつかご用意してるので、それをオーダーされる方が非常に多いです。お客様が本当に食べたいものを自らオーダーして頂きたいです。(東京都/居酒屋・ダイニングバー/1店舗)

 

そう!そうなんだよ!と心の声が出てきそうですが、客数×単価のことを考えると、お通し代タダの店舗はどれだけすごいことをしているか実感します。経営が成り立たなければ意味がありません。お通し代がタダということを当たり前だと思わないことが大事ですね……。

 

<サービス料について>

  • 日本ではサービスの要求レベルが高いため、仕方ないと思います。例えばトイレのアメニティ。私の経験上、よほどの飲食店でない限り海外では充実していません。それに比べると日本では居酒屋でも、綿棒・楊枝・マウスウォッシュなど常備している事が多いです。無料で提供する水にしても、水道水をそのまま提供したら文句を言われてしまいます。浄水器の設置・フィルター交換の費用が対価として頂けないにも関わらず、無料で水を提供しなければいけない文化。その費用を賄うには、サービス料が必要と思います。(東京都/フランス料理/3~5店舗)

 

また、お通し文化は外国人には理解されにくいため、以下のような対策をしている店舗も……。

 

<外国人客への対応>

  • 確かに、お通しは外国人にはわかりづらい日本特有の文化のひとつだと思います。日本語メニューには載せていませんが、英語メニューには「appetizer for everyone」と表記し金額500円としています。(東京都/和食/2店舗)
  • 外国人のお客様には、注文を受ける前にチャージ料について説明し、承諾を得てから注文を受けているので問題が発生したことはない。説明なしで自動的(強制的)にチャージ料、お通し、サービス料を加えると問題になると思うが、説明をして理解してもらい、納得できなければそれらが発生しない他のお店に行ってもらう、で良いと思う。(東京都/バー/1店舗)

 


【まとめ】

普段気にも留めず当たり前のように食べて、当たり前のように料金を払っていたお通しですが、そこには一緒に飲んでいる人との楽しい時間を提供するための気遣いや、少しでも負担だと思われないよう工夫が施されていたことがよく分かりました。お通しは楽しい時間のスパイスだと思って、これからは大事にしていきたいと思います! (こぐれみき)

 

情報提供元/飲食店リサーチ