なんで飛行機って安いときと高いときの値段の差が激しいの?意外な理由は… 【意外と知らない雑学】

まだまだ心底安心して旅行ができるようになるには時間がかかりそうだけど、旅行はしたい!
というわけで、実際行くあてがあるわけでもないのになんとなく飛行機の値段を調べてみたりすると…疑問に思うことはありませんか?

そう、どうして飛行機ってあんなにも値段の変動が激しいのでしょうか。たとえば閑散期の平日は1万円を切る値段で行ける区間も、多くの人が移動するお盆や年末年始などは片道3万円などに跳ね上がることも…。新幹線は繁忙期も閑散期も数百円しか変わらないのに、どうして飛行機はこんなに上がり下がりが激しいの!?

その理由を全世界で月間1億人が利用する航空券の比較検索サイト・スカイスキャナーさんにうかがいました。

Q.どうして飛行機の値段はあんなに変動が激しいのでしょうか?

▼「決められた席数を、いかに大きな収益を上げられるように販売するか」がポイント

まず、航空券の値段を決めているのは、基本的にはJALやANAなどの「航空会社さん」、もしくは航空会社さんから仕入れて航空券を売っている「旅行会社さん」です。

「何月何日のXXX便は、500席の飛行機を飛ばします」ということは、事前にある程度決められています。直前になって「あまり予約が入っていないから小さい飛行機に変えよう」ということも「予約が殺到しているからもっと大きい飛行機に変えよう」ということもそう頻繁に、簡単に行うことはできません。そのためシンプルに考えて「決められた席数を、いかに空席なく、大きな収益を上げられるように販売するか」が販売する側にとっては大事なことになりますよね。

座席数(人数枠)という「在庫量」が決まっているところで需要と供給を見極めて、どんな値段であっても満席が見込まれるような需要が高いところは高い値段で売る一方で、需要が低いところはできるだけ安い値段で売って、とにかく空席を作らないようにすることが重要です。

旅館やホテルも繁忙期と閑散期で値段が変わりますが、飛行機も同じ考えに基づいて値段設定されています。これをちょっと難しい言葉で言うと「レベニューマネジメント」と呼びます。「需要予測を基に収益をマネジメントして、最大化していく」という考え方です。

▼値段が決まるにはどんな要素が関わっている?

値付けには、

・過去の同時期にどれくらいの価格でどれくらい予約があったか、などのデータに基づいた需要予測

・機体のサイズや便数に基づく座席供給量

・同じ路線や日程に他の航空会社さんが何便運航していていくらで航空券を販売しているのか

など、たくさんの要素がかかわっています。一般的に、レベニューマネジメントシステムがこれらの複雑な要素やビッグデータを活用して、適切な価格を算出しています。

▼実は、このように値段の変動が激しくなったのは比較的最近のこと

このように飛行機やホテルの値段を頻繁に変更して販売することが可能になったのは、ある意味インターネットの普及のおかげです。
インターネットが普及する前は、たとえば旅行に行きたいと思ったらJTBやHISなど旅行会社さんの店舗に行って「東京から沖縄への旅行が、この航空券とこのホテルで何月何日から何月何日はこの値段」と印刷されたパンフレットなどを見て選ぶのが一般的でした。その期間中に値段を変えてしまうとパンフレットを何回も印刷し直す必要があり、そう気軽には値段を変えられないため、その特定のパッケージツアーの値段は一定期間維持されます。そのためインターネット普及前は「何月が安い」ということが今よりも確実に言える時代がありました。

今のようにインターネットで旅行を予約することが一般的になると、インターネットではパンフレットよりも頻繁に簡単に値段を変えられるので、売る側が需要と供給を見ながら細かく値段を変えて消費者に提示することができるようになりました。
そう聞くと「高い期間が増えているんじゃ?」と思ってしまうかもしれませんが、むしろ需給のトレンドを踏まえた細かい値段設定を消費者が直接インターネットで確認できる時代なので、消費者が安く行けるチャンスをキャッチできる機会が増えていると言えるでしょう。

Q.できるだけ飛行機に安く乗る方法はありますか?

▼確実に安く乗れる方法は、頻繁に検索するのみ!

上記のように、値付けにはかなり複雑な要素が関わってきているので「何週間前に予約すると安いんですか」「何月だと安いんですか」というお尋ねには、なかなかすべてのケースに当てはまる答えをお伝えできないのが本当のところです。ある程度「できるだけ早く予約すると安いことが多い」「繁忙期を避けると安いことが多い」などの傾向があるくらいです。

安い航空券を手に入れるには、日々価格の変動をチェックするのが重要です。これは株と同じような考え方かもしれません。
前述のとおり、「空席がなるべく少ない状態で飛行機を飛ばすこと」が航空会社さんにとっては理想的です。飛行機を1回飛ばすのにはものすごくコストがかかるので、当然のことながら、多少値下げしてでもなるべくたくさんの方に予約していただいたほうが利益になりますよね。
「できるだけ早く予約したほうが安い・出発日に近づくほど値上がりする」傾向はありますが、直前になっても空席が目立つ場合は「ちょっと安くしてでも売ろう」と、値下がりする場合もあります。

▼比較サイトを利用して安いタイミングをチェック

とはいえ毎日毎日複数のサイトの値段をチェックするのは手間だと思いますので、スカイスキャナーのように一括比較ができるサイトを利用してみるのも手です。
スカイスキャナーの機能を例に出すと、飛行機に乗る日程が決まっているなら「プライスアラート」を設定することで、値段の上下があるとメールで通知してもらえるようになります。そのタイミングでチェックすればいいので楽だと思います。
また、たとえば「10月にどこどこに行きたいけれど、日程はどこでもいい」なら、「チャート表示」をすれば月全体の値段の動きをグラフでひと目で見られるので、こちらがおすすめです。数あるスカイスキャナーの機能でぶっちぎりで便利な機能だと思っています。1日ずらすと値段がまったく変わることがパッと見でわかります。

スタッフがやってみたところこんな感じ。わかりやすい。

▼余談ですがこんなスカイスキャナーにはこんな妄想旅向けの機能も…

「まだ旅行はちょっと悩む…」という方は目的地を「すべての場所」にして検索したり、「地図から探す」という機能で妄想旅を楽しんでみるのもおすすめですよ。出発時期や出発地を指定すると世界中に予算いくらで行けるのかが見れて「あ、案外ここ安く行けるんだな」とわかって楽しめます。

見ているとめちゃくちゃ旅行に行きたくなるのでご注意ください(編集部スタッフは延々と長時間見ていました)

意外と知らない飛行機にまつわる雑学の数々。少しずつ飛行機に乗る予定を立てている方も、いつか安心して乗れる日を待っているあなたも、ぜひ参考にしてみてくださいね。

取材協力/スカイスキャナー
構成/後藤香織