それ、ホントはNGです!マナーのプロに聞いた「やりがちな食事のNGマナー」4選

マナーのプロに聞いた「やりがちな食事のNGマナー」4選

食事を楽しむマナー、あなたはどのくらいわかっていますか?

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もちろん和食、フレンチ……と、食事のジャンルによって知っているべきマナーはまったく異なります。
そんな数ある食事のマナーの中から、本日は知っておきたい「ついやりがちだけれど、実はNGのマナー」を厳選してご紹介。
(社)日本マナーOJTインストラクター協会やマナースクール「グレース」で代表を務める、言わば「マナーのプロ中のプロ」、笹西真理さんにお話をうかがいました。

主食に手を付けない

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ここ最近糖質制限ダイエットが流行していますね。その流れで、飲食店でもパンやごはんをほんの少しだけ食べてあとは残す、時にはまったく食べないという人もいらっしゃいますが、これはあまりお行儀がいいことではありません。
とはいえ、無理して本来食べたい量より多く食べる必要はありません。もし、糖質の量を減らしたいのであれば、オーダーのタイミングでお店の方にお伝えしましょう。ごはんやパンを減らしてもらうように伝えること自体はまったく問題ありません。食べたい量を美味しくいただきましょう。


ちまちま「三角食べ」

かわいらしいと思ってやっているのだと思いますが、女性に多いのが「ちまちま食べる」しぐさ。子どもの頃に、ごはん、味噌汁、おかずを少しずつ順番に食べていく、いわゆる「三角食べ」が良いことだ、と習いませんでしたか? 実はこの「三角食べ」、マナーとしては良くないことなんです。

たとえばイタリアンやフレンチに行くと2種類くらいパンが出てきて、両方を少しずつちぎって食べてしまう。和食でも料理をお皿の上であちらを食べたり、こちらを食べたりしてしまう。特に正式な和食では(洋食のコース料理もそうですが)一品ごとに「季節を盛り込む」「趣向を盛り込む」ものですから、ばらばらに料理をちまちま食べることは料理人やホストの心遣いを無視することにもつながります。見た目にもよろしくないですね。

一皿の中に何品か盛り込まれている場合は、左・右・奥の順で食べるようにしましょう。

また、男性から見ても、話ばかりしてまったく料理を食べなかったり、あまりにちまちま食べるのは好まれないようです。それよりは美味しそうにパクパク召し上がる方のほうが、楽しい食事の時間を過ごせそうですね。


取り分けはお店の人がするもの。そうでなければ、男性がするもの

特に大人数のときに、気が利く女子だと思われたい……という思いからでしょうか。大皿料理を、スプーンとフォーク等を使って積極的に取り分ける方がいますね。でも、実際、それをやったからといってあまり印象は良くなるわけではないですし(女子ウケは最悪)、実は、マナーとしても決して良くないことなんです。

まず、「取り分ける」は大前提として店側の仕事です。もしお客さん側がやるとすれば、それは男性の役割なんです。なぜかというと、取り分けの大皿って洋食が多いですよね(和食は、そもそもたいてい一人一膳で分けられていることが多いです)。洋食には「レディファースト」として、男性側に「女性を助する」というマナーがあります。
日本の女性たちはこまめに動きすぎてしまい、外国人の男性が「どうして日本の女性はなんでもやってしまうんだ」と言って嫌がっているのを聞きます。

ですから、そういったテーブルマナーをきちんと知っている、いわゆる高キャリア高年収の男性とお近づきになりたいなら、尚のことやらないほうがいいでしょう。特にお酒をつぐ場合は男性に注いでもらい、女性は笑顔で「ありがとうございます」とお礼を言うくらいのほうがいいんです。
「気が利く家庭的な女子だと思われたい!」と張り切るときほどやってしまいがちですが、本当にやらないほうがいいですね。


男性と女性、どちらが奥か知っていますか?

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どの席に座れば良いかも間違えて覚えている人が多いですが、これはお店のジャンルによって異なります。

和食(中華などアジア全般含む)    :女性が手前、男性が奥に座る

洋食(イタリアン、フレンチなども含む):男性が手前、女性が奥に座る

 

そう、真逆なのです。
これは「洋食はレディファースト」「アジアは(どちらかというと)男性上位の文化圏」ということをそのまま反映しています。
私はお店で接客をする方に向けた正しいマナーを指導する仕事もしていますが、和食のお店で女性が奥に座っていると、どちらから先にお料理をお出ししたらいいのかわからなくなってしまう、という声を聞きます。
ただ、このマナーを自分が知っていて男性側が知らない場合、和食のお店で男性が奥の席を勧めてくれたときなどは、いやいや私が手前にと、無理に固辞する必要はありません。

 


【まとめ】

笹西さんは「正直に申し上げますと、お店側はお客様がお店に入ってこられた時点で、そのお客様がサービスに慣れているか慣れていないかを察します。やはりマナーをご存じで、気持ちよく食事をしていただけそうな方をいいお席にご案内します」ともコメントします。

もちろん全部のマナーを知り尽くすことはなかなか難しいもの……ですが、これを機会に今年は正しいマナーを学ぶ、を目標にしてみるのも良さそうです。

次回、皆さんが迷うことが多い「デートでのお会計問題」について、引き続き笹西さんにうかがいます。

 

★次回はコチラ

笹西真理
(社)日本マナーOJTインストラクター協会(JAMOI)、株式会社トゥルース代表。国際線CA、大手コンサルティング関連会社を経て現在に至る。関東・関西・九州を中心にマナー講師を束ね、年間約3000本の人財育成研修を行う。ちょっとした気くばりや相手に合わせる「ユアペース」を掲げ、「思いやりの心を行動で表す」手法を教育を通して広く伝えている。

(社)日本マナーOJTインストラクター協会 www.jamoi.jp
マナースクール Grace www.grace-school.jp

 
構成/後藤香織