門脇麦「他人の目に敏感です」【インタビュー後編】

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WI 門脇さんはデビューして5年経ちますが、仕事への思いや考え方は変わりましたか?

門脇 変わりましたね。この仕事を始めるきっかけって、ずっとやっていたバレエを辞めて、何か表現したいなってっていう気持ちがあり、映画にも興味があったのでこの仕事を選んだんですけど、いざ始めてみて……あまりにも自分が平凡で、人に掲示できるものが何もないという事を知って。表現したいという思いから、監督の為にというか、映画は監督の物なので、監督が表現したいことを、私(役者)の体を通して言葉にしたりすることで、映画が作られればいいなと思っていたんです。監督の為、現場の為、作品の為に頑張るっていう気持ちでしかやってなかったというか、それがすべての原動力だったんですけど……。でもだんだんそれだと、限界があるなということに気づいて。今も自信はないですけど(以前は)本当に自信がなかったので、この仕事を好きでやってるっていうよりは、オファーをいただいたのでやっているという方が、楽というか、逃げ道があるというか……そこに甘えていたんですが。今は好きだから、自分で選んでやっているっていうストレートでシンプルなところにきつつありますね。

 

WI その意識が変わったきっかけって何だったんでしょう?

門脇 何か限界を感じたんでしょうね。他人の為にというか、監督の為にっていう原動力を100にしてると、尽きてしまうというか……。逆に今の方が、そこが100じゃなくなったからこそ、監督の為にっていう思いは昔よりも何倍も強いです。その分キツいこともありますけど、そこがゴールじゃなくなったのは私にとってすごく大きな変化ですね。

 

WI 門脇さんが演技する上で大切にしている事はありますか?

門脇 絶対に大切にしたいのは、“映画の中の人”みたいにして終わらせたくないという事ですね。(演技に)説得力を持たせたいんですよね。例えば、今日、街ですれ違ったひとりの女の子の人生みたいな……。「あー、こういう子いるいる」みたいな。そういうのじゃないとあんまりやってて意味がないかなと思うので、そこはどんな役でも一番気をつけているかもしれないです。

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最後に「理由なき尾行」にかけて、「理由なき◯◯をするとしたら?」と質問すると、「基本的に理由なきことはしたくないんですよね」という答えが。その飾らない感じが、門脇さんらしい答えだなぁなんて思いました。そんな門脇さん主演の映画『二重生活』は、6月25日より新宿ピカデリー他、全国で公開中です。あなたも禁断の行為に引き込まれてしまうこと間違いナシ! (白鳥優香)

 

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理由なき尾行、はじめました。
何気なく覗き込んだ世界は、禁断の人間模様。
尾行を哲学する――全く新しい心理エンターテインメント。

【ストーリー】 表参道、渋谷…移りゆく東京の街の風景のなかで、 見ず知らずの他人を尾行し、いつしか禁断の行為にはまっていく――。
大学院の哲学科に通う珠(門脇麦)は、修士論文の準備を進めていた。担当の篠原教授(リリー・フランキー)は、ひとりの対象を追いかけて生活や行動を記録する“哲学的尾行”の実践を持ちかける。同棲中の彼(菅田将暉)にも相談できず、尾行に対して迷いを感じる珠は、ある日、資料を探しに立ち寄った書店で、マンションの隣の一軒家に美しい妻と娘とともに住む石坂(長谷川博己)の姿を目にする。作家のサイン会に立ち会っている編集者の石坂がその場を去ると、後を追うように店を出る珠。こうして珠の「尾行する日々」が始まった――。

監督・脚本:岸善幸「ラジオ」「開拓者たち」
音楽:岩代太郎
原作:小池真理子「二重生活」(角川文庫刊)

出演:門脇麦 長谷川博己 菅田将暉/河井青葉 篠原ゆき子 西田尚美 烏丸せつこ/リリー・フランキー
R-15 ©2015『二重生活』フィルムパートナーズ

 

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