WI 押切さんといえば「背中を押してくれる」的な、前に進むイメージを持っている人も多いと思うのですが、4話の『甘くないショコラと有給休暇』の主人公のように、それだけじゃない、「前に進む」以外の選択や成長を見せる主人公たちの姿も印象的でした。
押切 なかには前に進まない、変化しないという選択肢もあって。でも、それもありだと思うんです。私も「ずっとこのままの自分で生きていければいい」と思った時期もありますし。でも、変化をしないでとどまることほど難しいことはないとも思うし、とどまることを選ぶときには、その時の気持ちもある。物語ってどうしても成長があるものじゃないですか。でも成長しなくても、気づきはあるっていうことを書いてみたかったんです。
WI 書くのが大変だった作品はありますか?
押切 筆がすすまない葛藤を重ねたのは、3章の『抱擁とハンカチーフ』ですね。なかなか書けない、才能って何なんだって、考えている時期でもあったので。でも仕事って結局「心」なんじゃないかな、と。たとえば私たちはファッションを届けているけど、その服のデザインの美しさを伝えたい、作品として残るものを読者に伝えたい、という気持ちがまず先にあるもの。そういう、「何を伝えるのか」を大事にしている時期だったこともあって、思っていることをどんどん入れていきました。
「永遠につながらなくても、それが活きなくても、今日が大切」―――タイトルに込められたメッセージと同様、世間が持っているただ「前向き」なだけではない押切さんに、多くの女性が共感するのではないでしょうか。
次回はそんな作家・押切もえの執筆背景に迫ります! 噂によると、缶詰合宿した……らしい!?(五十嵐ミワ)
★後編はコチラ→ 「勝手な遠慮は、結果的に相手を傷つける」押切もえインタビュー
『永遠とは違う一日』
著者/押切もえ 1,512円+税(新潮社)
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